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16/22

↑↑↑祝勝会だ↑↑↑胴上げだ↑↑↑

 数十年ぶりの優勝(ゆうしょう)が目前(もくぜん)に迫(せま)り、その球団の関係者たちは興奮(こうふん)していた。残り試合の数や、二位以下との差を考えると、もはや決まったも同然(どうぜん)だろう。


 優勝したら、祝勝会(しゅくしょうかい)を開いて、ビールかけをするつもりだ。


 しかし、この球団が前に祝勝会をしたのは、かなり昔(むかし)のことになる。当時のことをちゃんと知っている者が、球団内には一人もいない。


 球団関係者たちは不安になってくる。ビールかけをする時には、こういうことに気をつけよう、そんな注意(ちゅうい)事項(じこう)があるのかな。


 そこで、祝勝会をする上での注意事項を、さまざまな人脈(じんみゃく)を駆使(くし)して、色々と教えてもらってきた。


 それらの注意事項の中に、「ビールかけをする時には、狭(せま)い会場がいい」というものがあった。


 なぜかと言うと、逃(に)げる場所がほとんどないとなれば、参加者たちは回避(かいひ)をあきらめて、攻撃に専念(せんねん)する。その結果、広い会場でやるよりも、ビールかけが盛(も)り上がるのだとか。


 また、テレビ的にも、同じ画面に映(うつ)る選手たちの数が増えるので、派手(はで)に見えるらしい。


 そんなわけで、狭い会場を確保する。


 そして本日、優勝を決めた。複数のテレビ局が、祝勝会の様子(ようす)を生(なま)中継(ちゅうけい)しようと、会場に集まってくる。


 さっそくビールかけが始まった。


 数十年ぶりの優勝なので、非常に盛り上がる。


 ところが、用意していたビールの本数が少なかったみたいで、すぐになくなってしまった。


 けれども、選手たちの興奮は収(おさ)まらない。こんなことなら、もっとビールを用意しておけば良かった。


 そこで急遽(きゅうきょ)、「ビールかけの代(か)わりに、胴(どう)上(あ)げでもしようぜ」ということになった。


 球団社長の周囲(しゅうい)に、笑顔(えがお)で集まる選手たち。


「せーのー!」


 ビールかけの直後なので、球団社長も含(ふく)めた全員が、結構(けっこう)酔(よ)っ払(ぱら)っていた。


 で、狭い会場というのは、天井(てんじょう)がそこまで高くない。


 選手たちが胴上げの力(ちから)加減(かげん)を間違(まちが)えた結果、球団社長は勢(いきお)い良く天井に激突(げきとつ)した。


 祝勝会の会場が、一瞬にして凍(こお)りつく。


 その直後に、顔面(がんめん)血まみれ、虫(むし)の息(いき)で落下してくる球団社長。体のあちこちが、やばい感じに痙攣(けいれん)している。


 この事件以降、「ビールかけをする時には、胴上げ禁止!」という注意事項が追加(ついか)された。


 また、「胴上げをする時には、落ちてきた人をちゃんと受け止めよう!」、そんな注意事項も。


次回は「チアリーダー」のお話です。

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