【悪役会議4】
【悪役会議4】
「力くらべなら、まけないぞ」
金太郎はそういうと、
くまを
りょうてで
たかく
さしあげて、
地面に
なげつけました。
金太郎のつよさに
おどろいた
くまは、
こうさんしました。
しか
や
うさぎ
も、
金太郎のつよさに
おどろきました。
画・米内穂豊、文/構成・千葉幹夫「新・講談社の絵本⑨ 金太郎」講談社 2023年
部屋の中央には
こたつが安座し、
お盆にお茶セットとポットが乗っているような
昭和の趣のコンセプト・レジャーホテルであった。
美月は座椅子にもたれて
ブラウン管のテレビから流れるクイズ番組を
ぼんやりと眺めている。
一寸法師の浪漫技により改造され
爆乳と化した後であるので
美月は自分の足元さえ見えないほど
パツンパツンかつ
ブルンブルンな
凶悪肉塊も
視界には常に入ってきている。
ことあるごとに自撮りし
重さに耐えかね
テーブルに乗せたりしながら
突如として訪れた
巨乳ライフを満喫したり
疎んじたりとしてきたのだが
どうやらすでに萎みつつあるようで
直後はHカップくらいあったのが
今はFカップくらいになっていたのだから
今のうちに楽しんでおかなければと
焦りも感じている。
「こんなに肩凝りが大変だとは知らなかったわ。
話には聞いていたけど」
斧熊はといえば
こちらも必死
かつ名残惜しそうな顔で
座椅子の後ろから
美月の双丘を揉みしだきながら
オイルをまぶし
丹念にマッサージしつつ
「これが一生続くのは
維持に苦労するだろうね。
ちょっとの間だけ体験できるのは
むしろラッキーかも」
と話を合わせるが
心中では
(やっぱり良いよな)
などとも考えているし、
同時に
(すぐに飽きそうだな)
とも思ってもいた。
いつまででも
揉んでいたいし
揉まれていたい
オッパイではあるが
ホログラムとして現れている
乙姫が
さっきから会議を続けようと促してくるので
美月も斧熊も
マッサージを続けながら
適当に相づちを入れている。
今は反省点を振り返るフェーズらしく
『まさか浦島太郎までも覚醒しちゃうとは
予想外であったな。な?』
と乙姫がしつこく言うので
「あふん、そうね。
浦島さんね」
と何も考えずに胸を揉まれながら
美月が言うと
『一寸法師への対策はどうだった?
なあ、どうだった?』
と今度は斧熊へと振ってくるので
「あー、ええと、
動体視力は
奴のスピードには付いていけたと思うけど、
浦島太郎が想定外だったか。
時間を止められたから
刀を奪われたのに気づかなかったって言われても、
どうすりゃいいのか」
と巨乳を
下から掬い上げるような手付きで
揉みながら答え
『仏のお鉢にも裏切られてしまったな。
一寸法師が説得したのうだろうが
奴にそのような能力があったとは
これも想定外であったな。
なあって』
と乙姫にしては
異例の我慢強さで会議を進めるも
「やば、実家に何て言い訳しよう。
お鉢を失くしましたなんて言えない」
と美月は別の心配を始めてしまう。
斧熊が暗い雰囲気と
自分らの責任から逃れようと
「大オニの復活はまだ?
あとどれくらいかかるだろうか」
と話題を変えると
『正直なところ、まだ無理であるな』
と乙姫は首を振る。
「奥の手として
桃ちゃんに全て話して
説得するのは無理かな。
良い人そうだったし
悪用される恐れは少ないんじゃないか?」
と斧熊が短絡的な解決策を提案したところ
乙姫は
『奴らを信用してはいけない。
特に浦島太郎は、
その血族もな』
と言って急に険しい顔をする。
『浦島が覚醒したとなっては
わらわも出張らねばなるまい。
玉手箱については任せておけ。
元々わらわの持ち物だし』
乙姫が力強く言うが
「でも竜宮城に抑留されてるんでしょ」
という美月の質問には
『その竜の玉を持って行ってたもれ。
ホログラムでリモート対応する』
とのことである。
さらに乙姫は
『そして肝心の一寸法師対策だがこちらも考えがある。
日本野鳥の会、京都支部さんのホームページによると
キジはことわざ「焼け野のキギス(キジ)」にあるように
母性愛が強く、
卵を抱く雌は山火事が発生して自分が焼け死んでも
卵を守り続けるという。
このキジの習性を利用してやるのじゃ』
と言ってニヤリと笑った。
続いて
ロケーションの確認フェーズに進むと
美月は少し前向きとなり
「次は
兵庫県の山の中だったわよね」
と乙姫が写し出したマップを見ると
「いわゆる「スキーの聖地」ってところだよ。
若いころには何度も行ったものさ」
と往時のプレイボーイぶりに想いを馳せていたら
美月に
「スキーってやったことない。
何が楽しいの?」
とすげなく返され
「これもジェネレーションギャップか」
と嘆いた。
相変わらずのレンタカー移動であるが
高原リゾートホテルはやはり予約がいっぱいであり
宿泊料も高額なので
キャンプ場にてテントを借りることも
検討しなければならなかった。
乙姫が
『三体目のお供キジが揃ったら
もう後がないぞ。
そうなる前にケリをつけようではないか』
と締めの挨拶のような雰囲気の声で言うので
「楽しかったミーティングも
これが最後ってことね」
と
おっぱいをもみもみされながら
美月がしんみり反応すると
「……だといいな」
と斧熊も
おっぱいをもみもみしつつ頷いた。
『じゃあ恒例の
お仕置き筋トレタイムさね』
これまで下半身、腕力、動体視力、という流れで鍛えてきたが
最後のメニューは
自分の身体をイメージ通りに動かすトレーニングであると言い
乙姫が用意してきたのは
日本舞踊でも用いられる
一本歯下駄であった。
斧熊は
「体幹も鍛えられるんだよな。
動画で見たことがある」
と嫌がる素振りもなく
座ったままの姿勢で
下駄を履こうとするのに
美月は
「もう見ないでもオチが分かるから」
と呆れ
ツードア式の冷蔵庫から
氷を取り出し
少しの水と一緒にレジ袋に入れ
氷嚢を用意し
斧熊が
「こたつの回りを歩いてみよう」
と朗らかに言って
立ち上がった瞬間に
よろめき
倒れるまいと前に踏み出して
三歩目で
足首をくねっと捻り
畳の上に倒れ込み
悶絶する。
足首を氷嚢で冷やされながら
美月に
「騎乗位はもう飽きたんですけど。
疲れるし」
と嫌みを言われても
斧熊は
「毎度すみません」
と半笑いで返すことしかできず
「こっちが腰のトレーニングを強いられてるのかしら」
と美月は笑い、
それほど間を置かず
やがて乙姫は
『ダイナミックに揺れるのう。
壮観であるわい』
と興奮しながら
食い入るように見つめることとなる。




