プロローグ2 「大賢者の血筋」
大賢者。人間の域を超えた魔力量を持ち、禁忌魔法を扱うことのできる唯一の存在。
数百年に一度現れる伝説の魔物、シャララ。それを滅ぼすには、禁忌魔法を使うしかない。
だが、その代償は術者の命だった。
ゆえに、大賢者の血を受け継ぐ者は、生まれながらにして一つの使命を背負う。
いつか自らの命を捧げ、シャララを滅ぼすこと。
それが、大賢者の血筋を受け継ぐ者に課せられた宿命だった。
地上都市リュキル。
冒険者PUBで頭を悩ませている少女。そして、その様子を心配そうに見つめる三人の大人がいた。
「ミレ、いい加減に決めなさい」
「そうだぞ。今日もダンジョンに潜らないといけないんだ」
「二人とも急かすな。ミレはゆっくりと選べばいい」
「私のお腹、何を食べたがっているのかな………」
ミレはメニュー表を真剣に見つめていた。席に着いてから、もう十分以上経っている。
ほか三人の料理はすでに届いており、食べ終わっている者もいる。
「ああ、アードさんとロアンさんの料理も分けてもらえばよかった」
「いいから、早く注文しろよ!」
三人は、ミレの優柔不断な姿を見て、思わず顔を見合わせた。
本当に、この少女が世界の命運を背負う大賢者の後継者なのだろうか
そんな考えが彼等の脳裏をよぎる。
「ごめんなさい。それじゃあスライムゼリーのパスタで!」
「かしこまりました」
ずっと傍に付いていてくれた店員さんも、ようやくその場から離れることができた。
本当に、ミレは大賢者の器を持っているのだろうか………そんな考えが三人の脳裏をよぎる。
ミレが料理を食べ終わり、ようやく冒険者PUBを後にし、四人はダンジョンの入り口に向かった。
「全員、準備はできているな」
背中に大きな斧。全身を鉄の鎧で守っている戦士のロアンが三人に問う。
「はい。バッチリです」
大賢者の娘のミレが元気よく返事する。ミレは動きやすさを重視しており、ロアンとは違い、兜や鎧は装備しておらず、小さな盾と魔石が込められた杖を両手に持っている。
「当然ですよ」
鼻の下をこすりながら返事する。武闘家のアード。
棘付きのフィンガーレスグローブを装着している。
アードは素早い肉弾戦を得意としているため、ミレと同じく防具は身に付けていない。
「私も準備できてます」
アードの後に続いて答える、真っ赤のローブを身に纏うホーメー。
攻撃魔法を得意としている魔導士であり、たいていの魔導士よりも魔力量は多く、その実力はこの街でもお墨付きである。
「よし、それじゃあ行くぞ」
ロアンを先頭に、四人はダンジョンに潜っていった。
そして、彼等はダンジョンで不思議な少年を発見するのだった。




