-新人の後輩(女)が、かつての親友-翔吾side
相変わらず。勢いで書き出しました。
こっちの方が一気に書き上げてしまいました。
新卒入社で俺がいる営業部に配属された新人の事務職。
「立花 瞳」
個人的に気になる存在だった。
この時は本当になんで気になってしまうのか、自分でもわからなかった。
第一、だいぶ年下だ。
その気になる新人の研修が終わり、
正式に俺の担当事務になった。
実際に仕事を振ってみると、さすがに最初は初めてということもあって、
失敗することもあったけど、失敗を糧にして日々コツコツと業務をこなしていった。
なれてくると、俺の仕事の進捗具合にも合わせられるようになり、
なんだろう・・・久々に阿吽の呼吸で仕事はスムーズに進むようになった。
こんな息の合ったことって、智、、依頼だなって、
ちょっと思い出すことが増えてきたのも事実だ。
ふとした行動が似ているんだ。
智に。
◼︎
智とは幼稚園からの幼馴染で、お互いにサッカー好きでつるむようになった。
小学校に入学した頃に同じタイミングで少年サッカー部に入り、
共に練習するようになり、部活がない日もお互い近くの広場で待ち合わせをして、
ずっとボールを蹴っていた。
そんな日々だったから、実際の試合でも智とペアで攻撃を仕掛けるようになり、
その頃から名コンビと言われるようになった。
そのスタイルは中学に進学してからも変わらずで、
中学総体でも俺たちの試合スタイルを崩さずにこなしていったところ、
県大会まで勝ち進むことができた。
そんな感じだったから、中学でも一緒にいることが当たり前になった。
その普通の日常が一変したのが、
中学最後の引退試合まで残りわずかに迫っていたある日。
いつも通りに部活帰りにコンビニへ立ち寄った時のこと、
俺が飲み物を選んでいるタイミングで後ろの方から・・
ガッシャーンっと激しい音と同時に後ろの棚が俺に倒れ込んできた。
「キャーーーー!!!」
「車がっつっっこんできた!!」
「おい!!!学生が巻き込まれているぞ!!!」
「救急車だ!!誰か救急車を呼んでくれ!!」
・・・え。学生が巻き込まれている??
その方向を見ると、智が立ち読みをしていた雑誌コーナーだ。
・・・俺はその瞬間。。真っ白になった。
「おい!!サトシ!!!サトシ!!!」
◼︎
救急車と消防車も合わせて到着し、救助活動を行なった。
智は間も無く救助され、俺もまた別の救急車に運ばれ怪我の手当をしてもらったが、
智は病院へ向かう救急車の中で息絶えてしまったとのことだった。
出血多量。
全身打撲。
ほぼ即死。
もう、そのあとのことは本当に何も覚えていない。
そのまま葬儀を行い、火葬も同席させてもらった。
事故の捜査については、
高齢者による自動車のハンドル操作誤りが原因だった。
自分も被害者になるので、警察からそう説明を受けた。
加害者となったその高齢者の親族より、
治療費代という名の慰謝料を受け取った。
智の家族は大事な息子を亡くしているので、
それなりの額の慰謝料を受け取ったようだったが、
彼らの辛さは自分から見ても、
どう接すればいいのかわからない程、憔悴しきっていた。
特に智の母さんが・・・。
そのタイミングだったから、なんとか出場したものの、
中学の引退試合も本領発揮することができず、惨敗に終わってしまった。
不甲斐ないな・・智に顔向けできない。
その悔しい思いを胸に高校は一層サッカーに打ち込むようになった。
その甲斐もあり高校では県大会優勝まで勝ち進むことが出来た。
プロへのお誘いもありがたいことにいただいてはいたが、
将来のことを真剣に考えた結果、大学進学を決め、
最終的に県外の大学に進学した。
大学生活でもサッカーは続けていた。
大学卒業後、俺はそのまま就職し今に至る。
◼︎
今はフィールドをフットサルに転向し、同じサッカー好きの仲間たちと、
月一程度に集まりフットサルを楽しんでいる。
立花とは俺の事務担当を受け持つようになってから、
たまたま俺のスマホに届いた「フットサル」のお誘いメッセージに目が入ったんだろうか、
「フットサルチームに入っているんですか?」と食い気味で聞かれた。
よくよく話してみると彼女も女子サッカーを長年続けていたが、
学生時代に靭帯を損傷してしまったので、続けることが出来なくなってしまったとのことだった。
「今度、私も参加してみたいな・・ひさびさにボール蹴りたいかも・・」
そんなサッカー繋がりで業務以外でも会話を交わすことが多くなった。
◼︎
そんな日々が続いていたが同期でもある同僚の川波から、
「おい、ちょっと立花さん注意してみておいた方がいいみたいだぞ・・」と忠告を受けた。
その川波の彼女でもある同じ部署の事務から、
ある女性社員から立花に対してあたりがちょっと強くなっているようだと。
「なんか、お前さー・・・結構、立花と仲いいじゃん。
そのせいか、立花・・江南に嫉妬されているみたいなんだよ・・・」
「あー。あいつか・・・俺、一番苦手なんだよな・・ねちっこいんだよ。あいつ・・」
「わかるけど、あいつ何するかわからないから、ちょっと気にかけた方が良さそうだぞ」
「そうか・・ありがとう。ちょっと気をつける」
「あぁ!そうした方がいい」
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川波から忠告を受けてから、
できるだけあまり、一人にしないように手をかけていたが・・。
俺がちょっと席を外したタイミングで、
交通費精算の書類を早く総務へ提出しようとしたのか、上の階の総務へ向かってしまった。
あいつはここ最近、「運動不足なんです・・・」とエレベーターではなく階段を使っていた。
その階段はあまり人目につかないのが、
ちょっと気になってしまい様子を見に立花が向かったであろう階段へ足を運んだ。
階段を登り始めた時に・・上のほうから・・何か争う声が聞こえた。
「・・あんたが、水嶋さんにアプローチするなんて100年早いのよ!」
バンっ
「きゃっ・・」
おいっ!まじかよ・・・
ダッシュで駆け上がると、上から立花が落ちてきた。
俺はなんとか、立花を下から受け止めた。
落ちてきた勢いで、俺も背中の方を壁にぶつけてしまったが、
彼女自身に大事に至らなくて何より安心した。
ちらっと上の人影を見たが、おそらく江南だろう・・・。
きつめの香水の残り香が残っているし、
あのヘアスタイルも彼女独特だものな・・。
しかし、あんなところから落とすなんて・・・。
当の被害者である立花は気を失ったままだ。
俺は彼女を抱えたまま医務室へ向かった。
◼︎
事前に社内携帯で医務室を開けておいて欲しいと川波に協力をお願いしていたので、
到着した頃には川波が開けていたタイミングだった。
「あちゃー・・忠告通りになっちゃった感じ?」
「あぁ。ちょっと目を離した隙に・・・」
俺は彼女をそっとベットの上に寝かせた。
「そうか・・・。俺から部長に報告をしておくからそのまま立花のそばに居てやれ。」
「そうする。ありがとう川波。」
「いいってことよ。まっ!お前がこの子に対しては結構、大事にしていることがわかったしね!」
「はっ??」
「お?無自覚か・・・。まぁ。。ごゆっくり〜。」
◼︎
立花はすやすやと寝息をたてて寝ている。
その寝顔がちょっと可愛い・・。子犬みたいだ。
思わず、顔が緩んでしまう。
しかし、少し経ってからだろうか・・・
寝言?なのか、「ゔっ・・」と苦しみ初めていた。
顔もなんか険しい表情だ。
「・・ってぇ。なんだこれ。・・・」
「痛い!痛い!痛い!」
「息ができないっ!苦しい!」
「ってぇ・・・」
ここで、うっすらと目を覚まし始めた。
本当に大丈夫なのだろうか・・・非常に不安になり・・・。
「立花!立花!!大丈夫か!」
彼女は完全に目を覚ましたが、まだなんかぼんやりとしている。
「・・・ってぇ・・。」っと頭を抱えてしまった。
「っおい!本当に大丈夫か立花?起きれるか?」
ここで彼女がようやく俺を見つめ、思いもしない発言をした。
「・・・誰だ?立花って・・・」
俺は固まるしかなかった。
その後もう一度、彼女に体調を気遣うように何度か聞いたが、
最終的に返ってきたのが・・・・。
「・・ってか、翔吾。お前こそ大丈夫か?立花って俺に対して言ってる?」
「いつから俺は篠原から立花に変わってることになっているんだ?マジ意味不。」
彼女は俺をみて普段の「水嶋さん」呼びではなく「翔吾」呼びだった。
◼︎
何度か会話をしていくたびに、ようやく立花さんが戻ってきた。
厳密にいうと彼女は俺のかつての親友「智」の生まれ変わりだった。
俺もびっくりしたが、一番びっくりしたのが本人だ。
しかし、彼女のほっとした表情にちょっと心を奪われてしまった。
あいつは智だってことはわかるんだが、やっぱ今は立花なんだよな・・・。
だいぶ年下なんだが・・なんかほっとけない。
なんか庇護欲に駆られてしまう。
俺が守っていかないと、その本当の想いに気づかずに心に決めたのだった。
始めたばかりなので、次のエピソードもそんなに日を開けずに投下予定。




