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取巻き悪役令嬢らーめんを嗜む ~下民いびりでストレスマッハなのでニンニクオオメマシマシでいきます!!~  作者: 国木田。


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第21話ウサギさんカフェと迫る絶対君主

「……推薦状を取り消す。それしか、私の命が助かる道はありませんわ……!」


一晩中、激痛に苛まれる胃袋を抱えてのたうち回った末、スカーレットは冷酷な決断を下した。


(セレスティーヌ様が学園に来場されるのは午後…せめて午前だけで店を閉めてくれれば…)


どんなに美味しいラーメンだろうと、命には代えられない。

レインの出店を中止か午前だけにさせ、セレスティーヌとの遭遇を未然に防ぐ――それが唯一の生存ルートだった。


早朝、スカーレットは一般模擬店の設営エリアへと足を運んだ。


「レイン、話が――」

「スカーレット様!」


仕込みテントの奥から飛び出してきたレインは、額に汗を光らせ、少年のように瞳を輝かせていた。


「見てください! 今朝、ハラルド領から届いたばかりの、朝摘みの最高品質の月大葉です! 鶏油の温度管理も寸分の狂いもありません。……あなたが書いてくださったアグニス家の推薦状に、絶対に泥は塗りません。最高の一杯を作ってみせます!」


「あ……」


その濁りのない、純粋な情熱。

料理人として大舞台に挑む少年の顔を前にして、スカーレットの喉はカチコチに凍りついた。


(……い、言えない……! 『自分の保身のために出店をやめるか時間を短縮してくださいまし』なんて、この純粋無垢なイケメンを前にして言えるはずがありませんわ……!!)


「え、ええ……せいぜい励みなさいな……!」


結局、引き攣った笑顔を残し、スカーレットはその場から逃げるように立ち去るしかなかった。


◆


「諦めるなスカーレット、何か考えなさい……!」


談話室で頭を抱え、過去の記憶を必死に手繰り寄せる。

セレスティーヌと過ごした地獄のような学園生活。

冷徹な粛清、無慈悲な命令、微笑みながら下される断罪――思い出すだけで吐き気をもよおし、スカーレットは何度も口元を押さえた。


「うぷっ……ダメ、思い出すだけで胃液が……! ……待ちなさい?」


ふと、過去の記憶の片隅に、奇妙な光景が浮かび上がった。


あれは一年前の春。

学園の裏庭にある飼育小屋の前を通りかかった時のことだ。

あの冷酷無比な氷の絶対君主・セレスティーヌが、小屋の中の白くてモフモフしたウサギを、頬を赤らめてうっとりと見つめていたのだ。


(……セレスティーヌ様は、大のウサギ好き……!?)


電維が走る。


(これですわ! 学園祭当日、セレスティーヌ様をウサギ関連の出し物に釘付けにして、模擬店エリアのレインから徹底的に遠ざければいいのですわ!!)


プログラムを確認すると、幸運にも第三校舎の教室で『うさぎのお茶会カフェ』という催しが登録されていた。完璧な隠れ蓑だった。


◆


学園祭当日の午後。


正面広場に豪奢な黒塗りの馬車が滑り込み、漆黒のドレスに身を包んだセレスティーヌが優雅に降り立った。

スカーレットは、ミリアとレムを引き連れて最敬礼で出迎える。


「ご機嫌麗しゅうございます、セレスティーヌ様」

「ええ。よく頑張っていらっしゃるわね、スカーレット様」


氷のように冷たく、だが完璧な美貌の笑み。

それだけでスカーレットの心臓はキュッと縮み上がる。


「恐れ入ります。本日はセレスティーヌ様のために、特別なおもてなしをご用意いたしましたの。ウサギさんをメインにした、愛らしいカフェの視察へご案内いたしますわ」


「まあ……ウサギさん? ふふ、嬉しいですわね。案内なさい」


セレスティーヌの瞳がわずかに和らぐ。


(勝った……! 私の機転が命を救いましたわ!)と内心でガッツポーズを決めるスカーレット。


だが――。


案内した第三校舎の教室の扉をガラガラと開けた瞬間、スカーレットの視界に飛び込んできたのは、モフモフの小動物ではなかった。


「いらっしゃいませぇ〜、ご主人様っ♡」


室内にいたのは、ハイレグのレオタードに網タイツ、頭にウサギの耳カチューシャをつけ、大きなお尻に丸い尻尾をつけた女子生徒たち――いわゆる『バニーガール姿のコンカフェ』だった。


「………………」


静寂。

教室内の空気が、一瞬でマイナス二百度まで凍結した。


セレスティーヌの瞳から一切の光が消え去り、漆黒の闇のような絶対零度の冷気が室内を満たしていく。


「……あら。わたくしの愛するウサギさんを、このような下賤な色気の道具に仕立て上げるとは……実におもしろい趣向ですわね?」


ひゅっ、と息を呑む音。

ミリアは恐怖でガタガタと震え、レムですら手に持っていたチュロスをピタリと止めて硬直している。


(し、死ぬ……! 今度こそ一族ごとミンチにされますわぁあああああっ!!)


処刑の刃が首元に触れたような極限状態。スカーレットの脳内が限界を突破して火花を散らした。


次の瞬間、スカーレットはバッと扇子を広げ、氷点下の室内へ高らかに言い放った。


「――お、お気づきになりましたか、セレスティーヌ様!」


「……何がかしら」


「本日は! 日頃の私たちの仕事ぶりを、セレスティーヌ様に直々にご覧いただこうと思いまして! このような神聖なるウサギさんを冒涜し、学園の風紀を乱す下賤な催しを企んだ不届き者たちを……今ここで、一匹残らず学園から排除して差し上げますわ!!」


(ごめんなさい企画者の生徒たち! でも私の命には代えられませんのーーーっ!!)


内心で全力の土下座を捧げながら、下っ端悪役令嬢は生き残りを懸けた地獄の公開粛清劇の火蓋を切って落とすのだった。

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スカーレット嬢が恐れる、悪役令嬢セレスティーヌ様の活躍を描く「性悪悪役令嬢の怪獣防衛収支報告書 ~王子を囮にし、萌え(ウサギさん)を害する怪獣は筋肉ワンパンで超黒字ですわ!~」もよろしくお願いします☆

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