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回る世界

さてさて、ヒロインに隠された秘密、とは?

「あっ、香澄、元気だったー?」

母親は相変わらずよく通る声で到着ロビーに繋がる通路から私を呼んだ。

そのまま颯爽と歩いてくる。


周囲の人が思わず見やる。

特別豪華な服装をしている訳でもない。

その上サングラスで顔を隠していても、艶やかな容姿は隠せない。


“あれ、ミツキじゃない?”

“え、サイン欲しい!”

到着ロビーが一斉に騒がしくなるが、当人は気にする素振りもない。


途中ファンとおぼしき人がペンと手帳を差し出すと、それを受け取り、一瞬でサインをして返す。

そんな事を数回繰り返ながら私の所へ来た。



「香澄っ!」

そして、あっという間に抱きしめられていた。

そのまま頭を撫で回す。


「ちょっ、子供じゃないんだから⋯」

そう言って私が離れると、今度はそのまま隣の晴人に向かう。


「晴人も大きく成ったねーー」

問答無用で晴人を抱きしめる。

「げ、元気だから、あの、美月さん離して⋯」

困惑する晴人。

ここまで億面もなく晴人に接するのはこの母親位だ。


「相変わらず親バカ」

七海が呆れた顔で言う。

「えー、だって可愛いいんだもん。七海も子供できれば分かるよー」

晴人の頭を撫で続けながら言う。


「それは無い⋯」

呆れ顔で返す七海。


「無理って訳でも無いんでしょ? だったら⋯」

言いながら撫で回していた晴人を七海の前に立たせる。


「このコとか、どう? 」

「はあっ?」

流石に七海も驚きの声を漏らす。

「み、美月さん??」

晴人もあまりの事に口をパクパクさせた。


「見た目、いいバランスだし⋯七海も一度子育てしてみない?」

当人は至って真面目に話す


「ちょっ、一体どう言う思考回路してるの!」

思わず晴人を母親から引き離す。


この人にはモラルとか常識がちょっと⋯いやかなり欠けている。

義理とは言え、兄との間に子供⋯私を作って、しかもそれを本妻に預けっ放しとか。

母親としての責任とかどう考えているんだろ。


それでも周囲から文句も言われずにいるのは、人徳と言うか魅力なのだろうけど。


「だってぇ」

拗ねた口調で母親は言った。

「だってじゃなくて」

「えー、どうして駄目なの?」

「それは⋯七海、一応妹って事に成ってるし⋯」

あれ、そう言えばなぜ駄目なんだろう?

親族ではないと母さんも言っていた。


「え、もしかして、香澄⋯?」

「な、なに?」

「晴人君を狙ってたり?」

母親が私の顔を覗き込みながら真剣に言う。


「んな訳! 仮にも弟!」

思わず声が大きくなった。

「仮じゃなくて本当に弟だけど⋯」

戸惑いながらも晴人が訂正する。


「もう、話をややこしくしないで⋯」

そう言って私が頭を抱えた時。


「香澄、目、どうしたの?」

七海が突然私の顔を見て言う。


「目? どうもしないよ?」

特に違和感は無い。

なにを言っているのだろう?


「あ、本当だ。真っ赤だよ」

晴人も私の顔を覗き込んで言う。


「え? 本当?」

言われてポシェットからハンドミラーを取り出す。

鏡に映った自分の顔。

目が赤い以外は特に普段と変わらない。

なのに、何故か違和感を感じた。


よく似てるけど、自分の顔じゃない感じ。

⋯なんだろ、これ?


その時、鏡の中の私とそっくりな少女が私に向って口を開いた。

『香澄じゃないよ、ミツキだよ』


その言葉を聞いた瞬間、世界がぐるり、と回転した感覚に襲われた。


「え、なに⋯」


果てし無い真っ暗な穴の中に落ちてゆく。

そう感じたと同時に、何も分からなくなった。

作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)

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ぜひぜひ御意見、お聞かせ下さいませ。

気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。

感想書いて下さる人には本当に感謝です。


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