完全無欠
読みやすく、面白いラノベを目指して書いてます。
※本連載は横書きに特化して書いています。
『香澄! 逃げて!』
咄嗟に避けたその場所が、巨大な触腕によってえぐられる。
ミツキの声が聞こえなければ、私は潰されていた。
辺りは立ち込めた黒い霧に包まれ、視界が悪い。
ただ、おかげで校舎からこの魔物はまだ見えないはず。
一旦下がって怪物から距離を置く。
どうする?
このまま騒ぎが続けば他の生徒や教師が来てしまう。
悩む間にも、次の触腕が再び振り下ろされ、それをギリギリで回避。
先の魔物は焼く事で倒せた。
体は大きくても同じ存在なら、あの策は有効だろう。
ただ、この場でもう一度あれをやると⋯。
「また制服、燃えちゃうよね⋯」
もう一度、触腕を回避しながら思わず漏らした。
さすがにここでそれはまずい。
またミツキに服を作って貰うとしても、その間、全校生徒に裸を見られてしまう。
『香澄、先に服作る?』
『え、そんな事もできるの?』
『もちろん。組成を調整すれば、不燃性も付与できる。ただ、そうすると私はスリープしゃうから⋯』
『その後は私一人で何とかしなきゃってことね』
今ここには七海も居ない。
ミツキのサポートも無くなれば、後は本当に私だけでやるしかない。
正直不安はある。
でも。
背後の黒霧に霞む校舎を見る。
一瞬、亜梨沙や尊、茜達と過ごした情景が浮かんだ。
走馬灯?
冗談じゃない。それは私が守る大切な時間だ。
『やろう、ミツキ!』
『うん』
『⋯あ、でも』
『?』
『スカートの裾は少し長めでね』
『ふふっ、了解だよ!』
間合いを取り、呼吸を整える。
あの時と同じ様に自然と体が動く。
『「妻手にポジトロン、弓手にエレクトロン⋯」』
力が指先に集まってくる感覚⋯。
『「アニヒレーション!」』
パンッ!
両手が打ち合う。
莫大な光が私を囲み、渦巻く。
意識が溶ける、不思議な一瞬の時間が過ぎた。
目を開くと、そこには魔法少女の衣装をまとった私が居た。
赤と青のオッドアイに燃える様なグラデーションの髪が靡く。
周囲でキラキラと輝く光の粒子が弾けた。
時間が遅く感じる。
渦巻く闇も、飛ぶコンクリートの破片も速度は変わらないのに、全てを把握できる。
これは⋯ミツキの演算速度が付与されている?
『香澄、あとはお願い⋯』
ミツキからの信号が減衰してゆく。
『ありがとう。後は任せて』
ここからは私ひとり⋯いや、ミツキがくれた衣装とこの体も一緒。
何も怖く無い。
「行くよっ!」
私は蠢く魔物に向かって加速した。
作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)
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