怪しい男
読みやすく、面白いラノベを目指して書いてます。
※本連載は横書きに特化して書いています。
『香澄、来たよっ!』
ミツキの声が頭に響いた。
『どこっ?』
『もう学校の前!』
窓から見ると、校門からスーツ姿の男性が校内に入ろうとしていた。
小柄で細身、あの映像に映っていた男性に違いない。
私は急いで校門に駆けつけた。
あらかじめミツキに学校周辺の監視を頼んでおいたのが役に立った。
私はその男性の前に立った。
「部外者は立ち入り禁止ですよ、細田さん?」
「な、なんだお前⋯」
「何だと言われると⋯ここの生徒で、映像の投稿主ですけど⋯」
細田は手を振り回しながら叫んだ。
「お、お前か、あの動画は! 何で削除できないんだ? それに、いつの間に撮影した?!」
あの動画は仕掛けがしてあって、外部からの操作では消すことができない。
消すためには学内の端末から操作する必要がある。
それ以前に、学内の掲示板を部外者が操作できる事が問題なんだけど⋯。
そのうちデーターを削除するために現れるとは思っていた。
しかし、こんなに白昼堂々と侵入しようとするとは⋯。
「いつ、と言われても⋯学内の防犯カメラは24時間撮影してますし⋯」
「防犯映像の保持期間は2年だ、今頃残っているはずはない⋯」
「よくご存じですね」
なるほど、この男は防犯カメラの映像が削除されるのを待って事件を起こした、と言う事なのか。
「実は、削除データーの復旧が得意な友人がいるんです」
「ふざけるな、個人情報の保護違反だ、肖像権の侵害だつ! 今すぐ消せっ!」
細田は興奮して目をぎょろつかせた。
「なぜそんなに慌てているのですか? 何か都合が悪い物でも?」
「お前には、関係ないっ」
言いながら、細田は私を突き飛ばして校内に入ろうとする。
それを片手で制止した。
「そうですか。てっきり、教室に海魔の欠片を隠していたのがバレると都合悪いのかと⋯」
「なんっ?」
細田は弾かれた様に私の顔を見た。
「お、お前は⋯そうだ、く、車を止めた、化け物、そうだろ!」
震える手で私を指差す。
「ば、化け物って?! 失礼なっ!あのせいで制服破れちゃったんですよ! 弁償してください!」
私は細田に一歩詰め寄る。
「か、金はお前たちが出すべきだろっ! あれだけの発見をバカにして、予算を減らしてっ!」
「⋯それが不満であんな事?」
「こんな学校はなぁ! こうしてっ!」
細田は突然、ポケットから黒い枝の様な物を取り出すと、口に放り込んだ。
「えっ、それっ!」
止める間もなくそのまま飲み込む。
ブワーーー!
瞬間、一昨日の事件を遥かに超える濃密な闇が溢れ出す。
「嘘、じ、自分に?!」
まさかそんな自殺行為をするとは。
数時間接触しただけで亜梨沙は今も入院しているのに。
闇は集まって固まり、黒い巨大な蛸の様な化け物へと変化してゆく⋯。
ヌルヌルとした巨大な触腕が校門を打ち付け、捻じ曲げた。
グギャギャグォーー。
辺りにおぞましい鳴き声が響いた。
作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)
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