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暗闇の中

なかなか女の子を生き生き描くのは難しいですね。

予想はしてましたが(汗)

「一体、何があった?」

七海が私に尋ねる。


「分からない⋯けど亜梨沙がその中に倒れてて」

「倒れて?」


ビーッビーッビーッ!


七海が聞き返した直後、突然の警報音と共に、頭上から霧状の水が一斉に噴き出した。


「きゃっ、なに?」

私は思わず頭をかがめる。

「スプリンクラー⋯まずい」

七海は頭上の散水口を見て言った。

どうやら教室内が暗くなったために、煙探知機が反応したらしい。


と、先程までは教室内に立ち込めていた暗黒が、霧状になって廊下に溢れ出してきた。


「ちょっ、出てきたよ?」

「⋯早く止めないと、亜梨沙が食べられる」

「食べっ? ど、どうすれば?」

「中に入って連れ出すしかない」

七海は教室を睨みながらそう言った。


「けど、部屋に入ったら何か触手みたいのが居て⋯」

「触手? 蛤か⋯蛸?」

「中に本体は居なかったけど、どこからともなく」

「たぶん実体じゃない」


「え、それどうしたら⋯」

「香澄、力技はあなた担当」

「わ、私?」

「今なら元気満タン、でしよ」

「え⋯?」


先程の晴人との事を言っているらしいと気が付くのに数秒かかった。

確かにあれからずっと体中に力が溢れるのを感じている。


「時間がない、早く」

七海に言われ、集中力を上げる。

幸い周囲には七海以外は居ない。

多少の事ならばれないはずだ。


「⋯⋯行くっ!」

ともかく後のことは考えず、全力を足に集中させてダッシュした。


ヒュオン!


一瞬の風切音と共に、私は教室の中央に駆け込んだ。

一か八かだったけど上手く行った。

所要時間は0.5秒無かったと思う。

駆け込んだ時の衝撃波が暗闇や机や椅子を跳ね飛ばしていた。


これだけ早ければまだあのヌルヌルは来ないはず。


「亜梨沙!」

備品が床に散乱する中、倒れた亜梨沙に走り寄る。


「ゲホゲホッ」

亜梨沙が倒れたまま咳込んだ。

良かった、まだ無事。

と、ここで私は足を止めた。


私だけならもう一度全力で外に駆け戻る事ができる。

でも、亜梨沙は?

無理矢理抱きかかえて全力で走れば、手足の筋肉を痛めるかも知れない。

体のできていない赤ちゃんを振り回す様な物だ。


しかし猶予はない。

一度は衝撃波で吹き飛んだ闇が、再び私達の周囲で濃度を上げ始めている。


「亜梨沙、ちょっとだけ我慢して」

私は亜梨沙をおんぶして早足で歩き出した。


十歩程を歩き、何とか教室を出ようとした時。


ガーーーッ!

目前で教室の扉が音を立てて勝手に閉じた。


「ちょっ!」

亜梨沙を背負いながら片手で扉を開けようとした。

しかし、先程は軽々と開いた扉がピクリとも動かない。

「え、何で?」


ちょっとはしたないが、大きく足を上げて、扉に全力の回し蹴りをする。

力を宿した状態での蹴りだから、教室のドア程度は破れると思った。

が。


グニャッ

扉に当たった足は手応えなく、そのまま扉にめり込んでゆく。


「え、なんで?」

慌てて蹴り込んだ足を引く。

すると今度は体重を乗せた反対側の軸足が床に沈んでゆく。


「やだっ、ちょっと!」

慌てて亜梨沙を床に下ろして手を床についた。

その手もゆっくりと床にめり込む。


「え、えいっ!」

慌てて体を捻って反動を付け、床から跳ね上がる。

そのまま空中で半ひねりをし、机の上に着地した。

机もじわじわと床に沈んでいるものの、多少の時間は稼げそうだ。


そのかわり、床に飲み込まれていた制服の袖は見事に引きちぎられてしまった。


「亜梨沙っ!」

床に下ろした亜梨沙に手を伸ばす。

何故か亜梨沙は床に飲み込まれてはいない。

⋯早く助けないと。


と、意識を失っていたはずの亜梨沙が、ふらふらと立ち上がった。

「⋯⋯から⋯すれ⋯⋯のよ」

立ち上がった亜梨沙は俯いて、何事かを呟いている。


「亜梨沙、こっちに来て!」

机の上から手を伸ばす私を、亜梨沙はゆっくりと見た。

まるで機械仕掛けの人形の様に、ゆっくりと。


「⋯⋯ちゃえ」

亜梨沙は私に向かって何かを呟いた。

「亜梨沙、どうしたの? 危ないよ?」

私は一向に動かない亜梨沙に声をかけた。


「香澄なんて⋯居なくなっちゃえ」


まるで感情を無くした瞳で。

私をまっすぐに見つめて。

大好きな親友の亜梨沙は、私にそう言った。


作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)

ここまで読んだらもうひと手間、評価をポチっと!

宜しくお願いします。


ぜひぜひ御意見、お聞かせ下さいませ。

気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。

感想書いて下さる人には本当に感謝です。


また、連載形式で数日ごとアップしますので、読み逃し無いようお気に入り登録も宜しくです。


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