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モーニングキス

何となく予想していた形になってきました!

が、まだまだ予断は許しません⋯

朝の通学路を私は走っていた。

時刻は7時少し前。

まだ登校する生徒も少なく、初秋の空気はヒンヤリと冷たかった。


「はっ!」

駆け足をそのまま助走にして、気合と共に高さ2メートル程の公園のフェンスを飛び越え、ルートをショートカットする。

ジャンプにはまだまだ余裕はある。

3m程度までなら簡単に飛び越せるだろう。


このところ毎朝、七海に言われた通りに海で練習をして、そのまま海岸から学校まで走っている。

かなりの距離だと思ったが、簡単に走破できてしまった。

そして、練習を重ねるうちに力の使い方がわかってきた。


「かるっ!」

思わず声が出た。

空気の様に身体が軽く、走っても全く疲れない。と言うか、疲れる前に学校に着いてしまう。


七海はこれくらいは普通、だと言った。

⋯あの娘の普通がどの程度か分からないけど、そうらしい。


校門の前に着いた所で、その七海と晴人に行き会った。


「はよ!」

2人と並んで校庭を歩く。


「かなり掴めた?」

七海が私を見ながら尋ねる。


「まぁ、そうかな? 身体が軽いよ」

「使い過ぎてバレない様に」

「う、うん。そうだね」


私達の会話を聞いていた晴人が尋ねた。

「あのさ、香澄と同じ事、俺はできないの?」

「晴人にはできない。質が違うから」

「そっかぁ」

残念そうに空を仰ぐ晴人。


「晴人には⋯」

「ちょ、ストップ!」

私は慌てて言いかけた七海の口を塞いだ。


七海によると、実は晴人には私とまた違った形質が備わっている。

それは⋯“魅力《チャーム》”。

他人の自分に対する好感度を無自覚に上げる力だ。

元々、私達の父親もずいぶん理不尽にモテたらしいが、それに七海からの力が加わり、晴人の潜在能力は相当なものらしい。


もちろん、今でも無意識にその力が発揮されていて、特に異性に異様にモテるのはそのためだそうだ。


やっぱり。

コイツがあんなにモテるなんておかしいと思った。


「嫉妬?」

七海がちょっと面白そうに私を見た。

「いや、そうじゃなくて」


お調子者の晴人がそんな力を自覚してしまったらどうなるか。

考えただけでも頭が痛い。


「やっぱり女の子は⋯その⋯気持ち大事だし」

さすがにこれ以上は言いにくい。

「だから、さっさと繋がれば安心なのに」

七海は溜め息をついた。


「そんなの嫌だよ」

「なぜ?」

「だって、その、これって晴人の力のせい。自分の本当の気持ちじゃない訳でしよ?」


「? ⋯ああ、そう言う事」

七海は軽く手を打った。


「うん」

「香澄には晴人の力は影響しない」

「え?」

「香澄は私の力を継いでいるから、当然」

「え、だって、それじゃこの気持ちは⋯?」


晴人の顔を見るたびに胸がモヤモヤするのは?

思わず抱きしめたくなるのは?

思うと身体が熱を帯びるのは⋯?


「だから早く繋がれと。香澄が力を吸えばその分晴人の力を抑えられる」

七海は予想外のことを言った。

「え、それって、そう言う意味だったの?」

「そう」

「そ、それじゃ仕方無い、じゃない」

「そうね」

七海は軽くウィンクをした。



私は呼吸を整え、隣を歩く晴人の手を取り見つめた。

「これは晴人の毒牙から他の娘を守るためだから」

「え、いや、何だか分からないけど、毒牙は酷くない?」

意味が分からずキョトンとする晴人。


「酷くない。こないだも私の唇奪おうとしたでしょ」

「それは⋯香澄だって応えてくれたし⋯」

「⋯10年早い」

「え?」

「お姉ちゃんの唇奪おうなんて」

そう言うなり私は晴人と唇を重ねた。


キュン!


前回の時とは全く違う感覚が体中を走った。

体の中に温かくて力強い流れの様な物が入ってくる。

ピリピリと全身の感覚が刺激される。

それは痛みと快感を同時に伴っていた。

⋯これが繋がるって事?


「ぷはっ!」

あまりの快感に思わず唇を離した。


「か、香澄、これなに⋯?」

同じ様な感覚を感じたらしい。

晴人も戸惑っている。

でも私は止まらなかった。


「唇は⋯私が奪うんだからね」

そう言ってもう一度、唇を重ねた。

晴人も今度は答えた。


気がつけばかなりの間、互いに情熱的なキスを交わしていた。


「香澄、ストップ。それ以上は晴人がマズい」

七海に背中を叩かれ、ハッと我に返る。


抱きしめた晴人は少し呆然としていた。

「⋯あ⋯あれ⋯」

言いながら首を振り、背中を伸ばす。


「ご、ごめん、大丈夫?」

「あ、ああ。今のってなに⋯?」

「え、何と言うか⋯」

聞かれ、どう説明しようかと悩んでいると。


「それはどう見ても親愛の表現じゃないよね、香澄?」

私の後ろから怒りに震える声が聞こえた。


「えひゃっ?」

思わず振り向くと、拳を握りしめた亜梨沙と気まずそうな表情の尊がいた。

ちょうど登校してきた所らしい。

「見たわよ、バッチリと。本気のヤツ」

亜梨沙は一歩踏み出して言った。



「そ、それは⋯」

「まさかアンタ達⋯既にそこまでデキてたなんて」

「デ、デキてはいないよ⋯たまたまキスしただけで⋯」

何とか言い訳を考える。

だが、それは逆効果だったみたいだ。


「たまたまでキスしてたまるかぁ! 私の純情を返せ! 」

「いや、純情て。亜梨沙、それはさすがに無理が」

「問答無用! あ、まさか、タマタマってそう言う?!」

「下品がすぎる! んな訳ないでしょ」

「ええい裏切り者、そこになおれー」

顔を真っ赤にして手を振りまわす亜梨沙。


私は追いかけて来る亜梨沙をバックステップでかわしながら晴人たちに声をかけた。

「ご、ごめんまた後で!」

「キス位で騒がしい」

「あ、香澄、ちょっと⋯行っちゃった」


2人の声を背中に聞きながら、私は校舎に逃げ込んだ。


作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)

ここまで読んだらもうひと手間、評価をポチっと!

宜しくお願いします。


ぜひぜひ御意見、お聞かせ下さいませ。

気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。

感想書いて下さる人には本当に感謝です。


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