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家族会議

香澄の秘密が明らかに成ります

久し振りに家族が全員揃った。

私と両親や晴人と母さん、それに加えて七海とミツキ⋯の熊。


いつもは空き気味の藍染のダイニングルームもだいぶ賑やかだ。


ダイニングには来客時のため、中央に10人程は座れる大きなテーブルが置かれている。

傍らにカトラリーの棚とラックがあり、母さんが好きだと言う小さな絵が壁に彩りを添えている。

華美ではないが、そこそこ上品と言えるだろう。



「少し状況を説明させてくれ」

中央に座った父親の律斗が立ち上がり、皆に向かって口を開いた。


「まずはミツキについて。晴人は会うのは初めてだと思うが⋯」

「初めてって言っても、熊のぬいぐるみ⋯」

晴人が戸惑いながら答える。


「ぬいぐるみはあくまで我々とコミュニケーションを取るためのインターフェースだ。ミツキの本体はグローバルAIの内部にある」

「熊はリモコン人形みたいなもの?」

「まぁそうだ。ただ、ミツキはある事故が原因で、ここ20年ほどシステム内で半覚醒状態だった」

「その前は私達と一緒に過ごしてたんだよ」

母親がミツキを見ながら言う。

「香澄は当然知っているだろう?」

「存在はずっと知ってたけど、熊は初めてだよ」

「⋯そうか⋯私達にとっては馴染みの姿だから⋯失念していたな」

「そうなの?」

「ああ、ミツキと言えば熊だ」

大きく頷く父親。

「熊言うな〜」

そう言いながらもミツキも楽しそう。

私が知らない両親達の関係らしい。



「えと、良い?」

私はずっと気になっていた事を尋ねる事にした。

「香澄、どうした?」

「なぜミツキと私は交信できたの?」

「それが次の話だが⋯香澄には生体発振の能力があるらしい」

「発振?」

「元々、人間の神経伝達は電流で行われている。つまり誰でも僅かな発電・発振能力は持っている訳だ。香澄はそれが遥かに強力だと考えられる」



「香澄、それに関しては私の影響⋯かな」

七海が手を挙げ言った。

「七海ちゃん?」

「律斗とは何度か繋がったから。恐らく私の力が律斗を経由して子供の香澄に流れた」

「えっ? つ、繋がった?」

その言葉に私は思わず反応してしまった。


「香澄が期待している様な物じゃない」

少し呆れ気味に七海は答えた。

「そ、そう?」

「七海の予知を使うためには必要だったんだ」

父親は七海の言葉を継いだ。

何か、とんでもない話なのに母親や母さんはその事を既に承知していたみたいだ。

軽く頷いている⋯⋯マジで?



「推測だが、幼い頃の香澄はその力を使って、グローバルネットワーク経由でミツキと交信する手段を獲得したのだろう。その事はミツキの反応からしてもほぼ確実だ」


「な、なるほどぉ⋯」

やっぱり自分の事なのにイマイチ、ピンと来ない。

「以来、香澄はミツキとずっとシンクロしていた。この事自体は私も認識していたが、交信手段がずっと不明だった」


と、父親が私を見た。

「え、なに?」

「まさか生体発振とは⋯」

「それってそんなに変なの?」

「変というか⋯有り体にいって超能力だ」

「そう?」

「皆もこの事は当面秘密にしてくれ。ミツキに関しては私の研究の為のドールと言う事で問題ない」


「僕も良いかな?」

今度は晴人が手を上げた。


「香澄の電気って今後問題無いの? その、学生生活するのに⋯」

「話は聞いた。少なくともミツキとシンクロしている間は不随意に放電する事は無いだろう」


「それなら良かったわ。香澄ちゃんが感電しないかと心配だもの」

胸に手を当てながら母さんが安堵の表情を浮かべた。

相変わらず微妙に外れた反応をするけど、それも私を心配してくれての事だろう。


『安心して、香澄』

私の頭の中に懐かしいミツキの声が響いた。

「ミツキ?」

私はミツキ熊の方を見た。


「こうして離れていても、大丈夫だよ」

ミツキは皆に聞こえる様に声で話した。

「それって、どのくらいの距離まで?」

晴人は尋ねる。

「ドールとの直接交信は先程の様子からすると10kmほどか。ただモバイル回線経由なら電波の届く限り有効だな」

「え、もしかして香澄、スマホ不要?」

晴人が戸惑いながら言った。


「んな訳⋯」

言いながら、試しに晴人のスマホを呼び出そうとしてみた。

目を閉じて、流れる何かに意識を集中してみる⋯。

何か⋯⋯遠い所に⋯気になる渦みたいなものが⋯あと少しで届きそう⋯。


“ヴーヴー”


そう思ったと同時に、晴人のスマホが呼び出し音を響かせた。


「え、嘘?」

晴人は慌ててポケットからスマホを取り出す。


「香澄から、って⋯」

晴人はスマホの画面を皆に見せた。

そこには確かに私のスマホの電話番号が表示されていた。


「香澄、自分のスマホを見てみろ」

父親が興味深げに覗き込んだ。


私は慌ててスマホを取り出す。

画面には発信中の表示が出ている。

「え、な、なんで??」

もちろん私はスマホには一切触れていない。


「Bluetoothで接続⋯と出ているな」

「そ、そうなの?」

「ああ。⋯香澄は潜在的に周囲のデバイスに接続できると言うことか」

「わ、分からないけど⋯そんな事可能なの?」

「普通は通信暗号の突破は不可能だが⋯」

言いながら父親は私のスマホの画面をもう一度確認して言った。


「香澄、ワイヤレスのヘッドフォンは使っているか?」

「ま、まぁ、たまに」

「その暗号化パターンを獲得した、のだろうな」

「私が? そう言われても⋯」

「感覚的な物だ⋯我々の匂いや音に近い感覚かも知れん」

「そう言われれば、何か渦みたいなの見えた気が⋯」

あのぼんやりと見えた感覚がそれ?


「頼もしい」

七海が身を乗り出して私の肩に手を置く。

「こんな形で跡継ぎが現れるなんて」

「え、跡、継がないよ?」

私は戸惑いながら答えた。


「その力はきちんと使いこなせる様に成っておいたほうがいい。今後のためにも」

私を見つめ頷く七海。


「そう言われると⋯言い返せないじゃない」

「じゃ、決まり」

七海はぺろりと赤い舌を出して唇を舐めた。

作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)

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気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。

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