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ミツキとの約束

何とかメイドカフェを切り盛りする香澄達ですが⋯

『ごめん、ミツキ、少しの間⋯』

私は意識の中でミツキに呼びかけた。

『大丈夫、私のせいだもん。任せて』

事態を承知しているミツキから、すぐに返答が返ってきた。


教室を区切った簡易バックヤード。

突然の睡魔に襲われた私は、椅子に腰を下ろした。

幸い私は休憩時間で引き上げてきた所。

今は七海と尊がフロアを担当している。


「交代時間でよか⋯た」

そう言っている間にも、感覚が鈍くなってゆき、身体に力が入らない。

視界が薄灰色に滲んでゆく⋯。


『少し休めば回復するから⋯』

『全然いいよー、メイド服、着てみたかったから』

『へ、変な事はしないで⋯よ⋯』

『しないよ! 心配性だなぁ』


私が眠ってしまっても、体をミツキに任せる事はできる。

今までも通学途中や授業中など、何度かそうしてミツキに突然の睡魔に対処して貰っていた。


まぁ、ミツキはちょっと男子にサービスしすぎな所があって⋯後で誤魔化すのに苦労したことも有るけど。


『お願⋯い』

それを最後に、私の意識は急速に沈んで行った。


⋯⋯⋯。

次に私が目を覚ましたのは2時間ほど後だった。


「あれ⋯」

『あ、起きた?』

ミツキの声を聞きながらバックヤードを出て店内に戻る。


「もう閉店⋯?」

見ると店内には誰も客が居ない。

「食材が終わっちゃったら、閉めるしか無いよ⋯」

隣の茜が溜め息混じりに言った。


「そっか⋯」

言われて壁のバラの花を見る。

並んだ数は70個。

私の時より随分数が増えている。


『アンタ、サービスし過ぎ』

私はミツキに言った。

眠っていた間の事も記憶には残っている。

ミツキは客にウィンクや投げキッスしたりして、愛想を振りまいていた。

『えへへ、つい⋯』

『本当に⋯』


挿絵(By みてみん)


そこへ、晴人がドアを開けて入ってきた。

「明日の分の食材、買い出しに行くけど⋯?」


本来、2日分で使うはずの食材を今日一日で使ってしまった。

今日の売上はあるから、それを使って追加の買い出しをするしかない。


「んじゃ、着替えるから一緒に行こ」

晴人一人では荷物が多すぎるだろう。

私は更衣室に向かおうとした。

が、そこに。


「あー、ここかぁ。可愛いって評判な店はぁ」

ドカドカと3人の男子生徒が、晴人の来たドアから店内に入ってきた。

制服から見るに他校の生徒らしい。


「あのー、今日はもう閉店⋯」

ドアの近くに居た茜が3人に声をかけた。


「うっせ! まだ学園祭中だろ!」

言いながら大柄の男子生徒が茜を突き飛ばす。


「キャッ」

バランスを崩し茜は転倒した。


「ちょっと! 乱暴は許さないから!」

私は言いながら茜を助け起こした。

その姿を見たもう一人の生徒が下卑た笑いを浮かべた。


「おお、コイツかぁ⋯」

言いながら私の腕を取り、無理やり引き寄せた。


「ちょっと! 閉店だって言ってるでしょう?」

「んじゃ、お姉ちゃんがアフターでサービスしてくれよ」

言いながら私を両手で抱きしめようとする。



「やだっ!今時こんなチンピラ、居るの?」

男子生徒を両手で避けつつ、思わず本心が口に出た。

だが、それはさすがにタイミングが悪かったみたいだ。



「ああっ! なんだ、こいつ!」

「ふざけるな!」

チンピラと言われて腹が立ったのだろうか。

3人が私を無理矢理押し倒そうとする。


「ちょっと!」

「やめろ、香澄を離せ!」

思わず、近くにいた晴人が制止に入る。

「うっせっ!」

「あぐっ」


男の回し蹴りで晴人は壁際まで蹴り飛ばされ、倒れた。


「晴人っ! ⋯アンタ達っ!」

脳震盪を起こしたのか、そのまま晴人は起き上がらない。


万が一の事もある。

早く様子を確認しないと。

私は3人を睨んだ。


今、教室に居るのは、晴人以外は片付けに残った女生徒が数名。

皆、怯えて身を竦(すく)めている。


いま、晴人を助けられるのは私しか居ない。

でも、この3人に押さえ込まれて、私だって何が出来るだろう。


⋯悔しい。

もっと私がしっかりしていれば。

大事な弟を、晴人をこんな目に合わせた奴らを許さないのに!


『大丈夫だよ、香澄』

怒りに震える私の頭にミツキの声が響いた。

『ミツキ?! 』

『香澄が本当の力を出せばこんな奴等、一撃だよ』

『え、そんな⋯?』

本当の力、と言っても多勢に無勢のこの状況で?


『ほら⋯力を貸すよ』

『え? え?』

『思い出してよ、私達が初めて会った時の事』

『それって、昔の事?』

『香澄は私と繋がるために。繋がり続けるために、ずっと⋯』


私も最初に父親の研究室でミツキと接続した時のことを思い出し初めていた。


仲良く話して⋯でも、時間が終わってもうミツキと会えないって⋯。


「そうだ、ミツキとずっと居たいから、私⋯何かを⋯」

あの時、私は何をしただろう⋯?

なにか、ミツキとの間で⋯⋯。


「ん、姉ちゃん何をブツブツと⋯?」

男子生徒は怪訝な顔で私を見た。



『香澄は、その力で私と繋がり続けてくれたよね⋯』

だんだんと思い出した⋯あの時、私は得意な“それ”でミツキと繋がる方法を見つけたのだ。


『うん⋯思い出した⋯でも、それで?』

『その力を、アイツらを倒す為に使いなよ!』

『で、でも、そんな事をしたら、ミツキとの繋がりが⋯ずっと一緒って約束したのに⋯』

『大丈夫、またすぐ繋がれるよ。だって私はもう目覚めたもん。だから、香澄も⋯ね』

『本当に? 嘘じゃないよね?』

『約束する! だから香澄も⋯⋯目覚めて!』


「ミツキっ!」

叫ぶと同時に私はミツキとの接続に使っていた自分の力を⋯解放した。


『バチンッ!』

衝撃音と共に同時に青白い電光が私を中心に教室に迸った。


作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)

ここまで読んだらもうひと手間、評価をポチっと!

宜しくお願いします。


ぜひぜひ御意見、お聞かせ下さいませ。

気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。

感想書いて下さる人には本当に感謝です。


また、連載形式で数日ごとアップしますので、読み逃し無いようお気に入り登録も宜しくです。


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