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美少女メイド

やっぱり学校生活に学園祭は欠かせません

「うーん、これだと弱いよねぇ」

クラス委員の茜がこぼした。


今日は放課後の教室に女子が集まって文化祭のメイドカフェで出すメニューを考えていた。

一方の男子は教室の飾り付けを検討している。


考えてみると、文化祭でのカフェはかなり難易度が高い。

教室内では火気厳禁だから、いわゆる調理ができない。


「電気ポットでお湯を沸かせば紅茶やコーヒーは出来そう」

茜が文化祭のルールブックを見ながら言った。


「クーラーボックスを持ち込んで、冷たいドリンクも何とかなるかな」

亜梨沙も見ながら言う。


「でも⋯乳製品はNGだし、オーブンすら使えないから、ピザもオムライスも無理だよ?」

私は溜め息をつきながら言った。


「なんだかんだ言ってやる気あるじゃん」

亜梨沙が指先で私を突く。

「やるなら半端は嫌だし」

「どうせなら学祭イチって言われたいよねぇ」

茜が嘆息した。



と、そこへ、

「風の噂に聞いたんだけど〜」

背後からのんびりした声が聞こえた。

晴人だ。

思わず鼓動が早くなる。


「あ、晴人君〜」

正面の亜梨沙が猫撫声を出した。

「香澄、メイドやるんだって?」

私の顔を見ながら晴人は尋ねた。


「そ、そうだけど? 文句ある?」

いや、風の噂って。

恥ずかしいから晴人には隠してたのに。


「文句は無いけど⋯せっかくだから七海も入れてくれない?」

と、背後に立っていた七海を指差す。

「え、七海、自分のクラスは?」

「自由参加に成った」

「あ〜⋯」


要はクラスでは出し物はしない、ということだ。


ウチのクラスは亜梨沙や茜のリーダーシップが強いので上手く纏まっているけど。

部活の方で忙しい生徒が多かったり、どうしても意見がまとまらないとそうなる。


その場合、個人で集まって出し物をしたり、他のクラスや部活の手伝いをするのもアリだ。



「七海ちゃんがメイドっ! これは勝ち確だよ茜!」

それを聞いた亜梨沙が歓喜の声を上げた。

「いや、学園祭に勝負とかないから。でも⋯それはありがたいな」

茜も頷いた。


「七海がメイドやったら凄いことに成りそうだけどね⋯」

私も同意した。

既に学内で話題の美少女にメイド姿で給仕してもらえるとなれば⋯恐らく、学校の男子の半数⋯いや三分の二は来店するだろう。


「七海は良いの?」

私は七海に尋ねた。

「なにが?」

「メイドとか興味無いのかと⋯」

「無い」

「え? ならなぜ?」

「でも香澄と一緒に学園祭するのは面白そう」

そう言って私の手を握る。


「そ、そう?」

懐かれているのは悪い気分では無いけど、少し気になる事があった。


「あのさ⋯メイド服のデザイン、結構露出高めだけど⋯大丈夫?」

七海に向かって尋ねる。

「気にしない」

七海は平然と答えた。


と、そこに亜梨沙が割って入った。

「いやいや、香澄、違うよ」

「? なにが?」

「私がそんな、素材の持ち味を殺す様なデザインをすると思う?」

「え、と言うと?」

「あのメイド服は香澄専用だから。七海ちゃんには別のデザインするし」

「えーと、具体的には?」

「七海ちゃんなら、クラシカルメイド風が似合うんじゃないかな」

「なるほど、それなら安心⋯って、ちょっと待って」


私は早速スケッチブックを開く亜梨沙を睨んだ。

「なに?」

「それって⋯私にはあの破廉恥(はれんち)メイド服が似合ってるって事?!」

「破廉恥(はれんち)って⋯香澄の魅力を生かしたデザインってだけだよぅ」

「⋯私の魅力って⋯?」

「そりゃもう、エロい所! あ、健全にね」

「いや、 健全にエロいってなに?」

「要するに男子が放って置かないと言うか⋯晴人君もそう思うよね」



突然話の矛先を向けられた晴人は戸惑いながら答えた。

「ま、まぁ、クラスの男子でも香澄と付き合いたいって奴は多いよ」

「はあっ? そんな事アンタ一言も⋯」

初耳だった。


「お姉ちゃん取られたく無いもんね〜」

亜梨沙が晴人をからかう。

「ち、違っ、わざわざ言うほどの事じゃないと言うか、知ってると思ってた」


頬を掻きながら晴人は答える。

って事は、その言葉は嘘なんだ⋯。


「いや、全然知らないけど⋯」

とりあえず私は答えた。

まぁこれは本当だ。

私と付き合いたいなんて、ウチの学校、奇特な趣味人が多いのだろうか?



「そう? 最近、特に香澄はエ⋯魅力が増してると思うけど?」

亜梨沙が私の胸元をつつきながら言った。

「う、そ、それは」

言われて返答に詰まった。


ミツキの影響で目や髪色が変化して派手な外見に成っているのを忘れていた。

特にミツキがメインに成って行動している時には、更にセクシーに見えるらしい。



「とりあえず七海ちゃんは大歓迎よ」

茜は七海に手を差し出し握手した。

「ありがとう」

七海も微笑んで答えた。


「で、もう一つ提案あるんだけど」

晴人が身を乗り出して言った。


「なに?」

「俺に⋯キッチン任せない?」

「は?」

その場に居た七海と私以外の女子の視線が一瞬で集まる。

晴人がキッチン=学園祭中ウチのクラスと行動を共にすると言うことになる。



「アンタはクラスの出し物があるでしょ?」

私は呆れながら尋ねる。

「それが⋯色々忙しくて」

「手伝えないの? 当日の手伝いとかは無いの?」

「当日は予定ないよ」

「ふーん?」


私はちょっと疑わしげに晴人を見た。

意外と立ち回りが上手い、異母弟だった。

クラスでの圧倒的な女子の支持率を考えれば、当日の予定が無い役割になるくらい、コヤツには簡単だろう。


「と言っても、キッチンなんて無いんだけど?」

教室は裸火禁止でコンロも置けない。

それは先程確認したばかりだ。


「それが、有るんだな。有るところには」

晴人はちょっと悪そうに、ニヤリと笑った。

作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)

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