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学園祭が近づくと⋯

だんだんと晴人を意識する香澄、です

数日が経った。

私の状況は相変わらずで、時折やけに眠い時間が有るのも変わらない。

厄介なのはそれが不定期な事で、登校中だろうが、授業中だろうが突然襲ってくる。


そう、ちょうど今の様に、ホームルームのタイミングでも。


「⋯⋯眠い」


私は、気を抜くと机に突っ伏して寝てしまいそうなのを何とか堪えていた。

文化祭の出し物を決めている最中だけど、全く頭に入らない。


「⋯文化祭の⋯カフェ⋯担当は須藤さん、金目さん⋯」

「さんせ〜」

隣の亜梨沙が手を挙げた。


「香澄の⋯姿愉しみ〜」

亜梨沙はこちらを向いて言った。


「ん⋯? んん?」

なんだって⋯??


「ありゃ、香澄またおねむ?」

「ゴメン、ちょっと⋯」

辛うじて返答した。


「委員長、もうホームルーム終わりで良い?」

亜梨沙は前に立つ委員長に声をかけた。


「はい、では議題は全て決まりましたので⋯終わります」

「はーい」


良かった、これで少し眠れる。

私はそのまま机にうつ伏せて、眠りに落ちた⋯⋯。



「⋯⋯だよ⋯⋯」

「もうす⋯⋯たら⋯」

なにやら周囲から声が聞こえた。

同時に、さわさわと柔らかい物が触れる感触。


「ん⋯なに⋯?」

机から頭を起こした。

⋯そうだ、ホームルームが終わってそのまま⋯。


「あ、香澄起きた? ちょっとそのまま」

私を覗き込んだ亜梨沙が言った。

「ん、なに?」


「もう少しで合わせ終わるから、動かないで」

反対側に立つ尊が、巻き尺を私に当てながら言った。

「採寸?」

「そそ」

「なん⋯で」

だんだんと意識が覚醒を始めた。


夕刻の教室。

夕日が窓越しにオレンジの光を投げかける。

既に放課後だろう。

周囲には亜梨沙と尊だけ。


「なんで採寸?」

尊が当てていた巻き尺を巻き取ったのを見て、私は身を起こした。


「尊のお母さんが材料代だけでメイド服作ってくれるって」

「まあ、母親は洋裁の経験があるからな」

尊が巻き尺の数字をメモしながら言った。

「それは凄いね。ん、メイド服? 誰の?」

「香澄の」

亜梨沙と尊は頷きながら私を見た。


「なぜ?」

「学園祭の出し物がメイドカフェに決まったから」

「⋯⋯えっ?」

私は思わず椅子から立ち上がった。


「ちょ⋯私⋯⋯知らな⋯」

言いかけて、眠る前にホームルームで何かその様なやり取りがあったのを思い出した。


「あ、亜梨沙⋯」

満面の笑みの亜梨沙を見る。

「なに?」

「計ったわね⋯」

亜梨沙は何かと言うと私に可愛い服を着せようとする。

がさつな私には似合わないのに⋯。


「香澄、自分でやるって言ってたよ」

「嘘ぉ?」

「本当だ。私も意外だなと思った」

尊が補足する。

この二人から言われたなら本当なのか⋯。

完全に寝ぼけていた⋯⋯。


「眠くて⋯覚えてない⋯」

「ありゃま」

「まさか⋯公衆の面前で、おいしくなーれ萌え萌えキューンをやる羽目になるとは」

「⋯めちゃめちゃやる気じゃん」

亜梨沙が笑いながら言った。



「まぁまぁ、香澄一人にやらせようとは言わないからさ」

亜梨沙が私の肩を叩いて言った。

「と言うと?」

「私と⋯」

「私も一緒だ」

尊も反対側の肩に手を置いた。


「ならまぁ⋯」

言いかけて、私ははっと気が付いた。


「メイド服って誰のデザイン?」

「はーい!」

亜梨沙が元気に手を挙げた。

「やっぱり」


亜梨沙はファッションデザイナーを目指している。

アクセサリーや小物にも詳しい。

適任と言えば、適任だけど⋯。


「デザイン画、見せて」

「はい」

亜梨沙はバッグからスケッチブックを取り出し、ページを開いた。


開かれたページにはフリルやアクセサリーを着けたメイド服のデザイン画が幾つか描かれている。

流石は亜梨沙だ。

どれも可愛く、センスがある。

でも⋯。


「⋯まさか本当にこれ⋯?」

決定、と丸で囲まれたデザイン画は、スカートはウルトラミニな上、胸元が限界ギリギリまで開いているデザイン。


「風俗の間違いじゃ⋯」

思わず亜梨沙の顔を見る。

「やだな、香澄、普通だよ、フツウ」

「いやいやいや⋯無理」


言いかけてメイド姿の自分を想像した。

想像の私はそのメイド服で何故か晴人にケーキを出していた。


「ま、末代までの恥だわ⋯」

思わず赤面する私を、亜梨沙と尊が頷き合って眺める。


「な、なに?」

「香澄、末代ってのはぁ⋯」

亜梨沙が私を指差す。

「当然、香澄が誰かさんの子供を産むって事になるな」

尊もそう言って私を見る。


「へあっ? そ、そう言う意味じゃ⋯」

「まさか、晴人君と⋯もう?」

「ちちちち、違うって!」


こんなのは亜梨沙の冗談。

私をからかっているだけ。

そんな事は分かっているのに、勝手に鼓動が激しくなる。

顔が熱を持つのを感じる。


「か、帰るっ!」

私は慌てて夕日の教室を飛び出した。


作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)

ここまで読んだらもうひと手間、評価をポチっと!

宜しくお願いします。


ぜひぜひ御意見、お聞かせ下さいませ。

気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。

感想書いて下さる人には本当に感謝です。


また、連載形式で数日ごとアップしますので、読み逃し無いようお気に入り登録も宜しくです。


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