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ミツキマジック

ミツキが本当に居るのか確認する香澄です

放課後の図書館。

私と尊は奥の机に向かい合わせに座っている。

書架によって入り口のカウンターからは死角になる場所だった。


尊に頼んでにミツキの存在を確認するのを手伝ってもらうことにした。

亜梨沙じゃなくて尊を選んだのは、尊なら秘密を守ってくれると思ったから。


私は借りてきたトランプの箱を取り出し、尊に渡す。


「その中から1枚を選んで、私には数字を見せないで⋯その防犯カメラに向けてね」

私は図書館の角にある防犯カメラを指差す。


「何かのマジック?」

怪訝そうな尊。

「まぁ、そう。まだ練習中だからナイショでね」

「分かった」


尊は言われるままトランプのカードを1枚取り出し、部屋の奥のカメラに示す。

もちろん、私からはカードの数字は見えない。


『ミツキ、カードの数字、見える? 』

私は頭の中でミツキに呼びかけた。

『ちょっと待ってね⋯カメラ探してる⋯見つけた。ハートの5だよ』


先の交差点でミツキが私に迫ってくるトラックを発見できたのは、近くの防犯カメラの映像を確認したからと聞いた。

AIの仮想人格である彼女は、ネットワークやそれに接続された機器に自由にアクセスできるらしい。


逆に言えば、私の知らない事実をミツキが把握しているのなら、彼女は本当に存在していることになる。


「尊、ハートの5、で合ってる?」

「正解だ! 見事だな!」

尊は手品と信じている様だ。


「他にも幾つか試してみて」

「そうだな⋯これは?」

同様にトランプの1枚をカメラに示す。


『ミツキ、今度は?』

『クラブのキング、だよ』


「それはクラブのキング」

「おお、正解だ」


それから何枚かのカードで試し、全て正解した。


「それじゃ、この紙に何か好きな文章を書いてトランプと同じ様に⋯」

「これも香澄には見せないで、だよな?」

「そうね、私は後ろを向いておくよ」


私は後ろを向き、尊が書き終わるのを待った。


「これは⋯?」

背後から尊が問い掛ける。

どうやら書き終わったようだ。


『ミツキ、読める?』

『ふふ、尊ちゃん、やるね。紙は白紙だよ』

『なるほど⋯』


「尊、白紙とは考えたね」

私は背を向けたままそう言った。


「こ!」

「こ?」

「これは凄い! 一体どうやって?」

振り向くと、尊は本気で驚いていた。

机に置かれた紙には何も文章が書かれていない。

尊は文章を書くふりをして私を試した訳だ。


「手品のタネはナイショだよ。でも手伝ってくれてありがとう」

「こちらこそ、面白い物を見た。このマジック、いつお披露目するんだ?」

「んー、学園祭とか、かな⋯」

私は曖昧に濁した。


ミツキの事を他人に話すのは慎重にならざるを得ない。

でも、ずっとこのままでいる訳にも行かないだろう。


“七海と母親に相談してみよう⋯”


そう考えながら私は尊と共に図書館を後にした。



「ミツキと会話できる様になった?」

話を聞いた七海は驚いた様子だった。


「そうそう」

私は実家のリビングで七海と話していた。

七海は複雑な顔をした。

「あまり良いことじゃない⋯」


言いながら私の髪に触れる。

その髪色は随分と明るい茶色になっていた。

髪を染めてる娘なら、まぁこのくらいの色の娘は居るだろう。

だから学校では特に指摘もされなかった。


でも私は全く染めてもいないのに、これだけ色が変わった。

「コレって、まずい?」

私も髪を見ながら尋ねる。


「憑依が進んだ事になる」

「憑依って⋯お化けみたい」

「まぁそう」


頷く七海に、

『お化けじゃないよ、ミツキだよ!』

頭の中でミツキが言った。


「当人はお化けじゃないって言ってるけど⋯」

「そう言う問題じゃない」

「どう言う問題なの?」

「香澄の脳に二人分の負荷が掛かってる」

「⋯どうりで最近いつも眠いと思った」


七海の表情が曇る。

「それ、かなりまずい」

「そ、そうなの?」

「容姿が変化して、自分以外の声が聞こえる⋯憑依としては末期症状」

「ちょっと、怖いこと言わないで」

私は憑依と言う言葉に戸惑っていた。

でも、七海が言うと妙に説得力がある。


「相手がミツキだから何とか成ってるけど」

七海は私の髪を撫でながら言った。

「うー、それ、どうすれば良いのよ」

「やはりミツキが目覚めたなら身体が必要」

「身体って⋯?」


七海はしばし考え込み、答えた。

「こうなったら熊しか⋯」

「熊?」

「律斗が持ってる」

「そうなの?」

「後で律斗に連絡してみる」

「う、うん、よろしく⋯」

良くは分からないが“熊”というのがキーになる様だ。


「香澄はできるだけ安静に⋯」

「分かった」


『香澄、なんか⋯ゴメン』

頭の中でミツキがしょげた声を出した。

『仕方ないよ、わざとじゃないんだもん』

『できるだけおとなしくしてるね⋯』

『お互いにね』


私はそれだけ答えると、ベッドに向かった。

やはり、頭が鉛を詰めた様に重かった。

横になった途端、私は眠りに落ちていた。


作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)

ここまで読んだらもうひと手間、評価をポチっと!

宜しくお願いします。


ぜひぜひ御意見、お聞かせ下さいませ。

気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。

感想書いて下さる人には本当に感謝です。


また、連載形式で数日ごとアップしますので、読み逃し無いようお気に入り登録も宜しくです。


他にも小説家になろうに色々作品アップしてますので、良かったら見てみて下さい。

ファンタジーからSFまで色々揃えてます。


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