Ep.012「お嬢様は○○○がキライ?」
エルちゃんについての話です。
越神は気づいている。この世界を見ている、あなたに。
「今日は、そうね。この話を聞かせてあげる」
彼女は「観察日記」を手に取り、ページを開く。
「エルちゃんがFクラスに来たきっかけの話よ」
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それは恋雲たち新一年生が加わった少しあとの話だ。
「ねー女神さまー」
私…美乃がそう呼んだところ、彼女は眉間にしわ寄せ、耳打ちしてくる
「あのね、ここは図書室なのよ?私は越神って名前ってことになってるから気を付けてよね。……で、なにかしら?」
私は反省し、小声で訊ねる。
「いや……エルちゃんって、魔法あるのかなって」
「知らないわ。私は彼女に干渉してないもの」
「え、Fクラスなのに?」
「Fクラスに魔法所持者が集まるよう仕組んだのは事実だけれど、それ以外を拒否したりしてないから。……たぶんなにか普通にやらかしたんでしょう?」
そういえばFクラスはあくまで問題のある生徒が集まるんだった。
私たちは女神の運命操作によってここに集められたけど、普通にFクラスに来るような生徒もいるってことか。
よし、聞いてこよう。
「私用事思い出した!さよーなら!」
女神さまに挨拶し、即座にその場をあとにした。
◆
「答えたくないのですが」
「ええー?なんでさ!」
あの後、中庭のベンチでサンドイッチを頬張るエルちゃんを見かけたので、そのまま手をひいて渡り廊下へとつれこんだ。エルちゃんはなぜか答えてくれなかった。
「ひ、人には知られたくないこともあるんです!」
彼女は真っ赤な顔をしながら走って行ってしまった。そんなに恥ずかしいことなのだろうか?
「うーん……なにか方法……あ!」
私は名案を思い付いた。
◆
「……というわけでお願いします!!」
私は教室で弁当を食べているみくも先輩に頭を下げる。
みくも先輩は少し困った顔をしていた。
「んー……そういう目的でこの力を使うのはなぁ……それに本人嫌がってるんだろう?」
「うっ……」
「いいんじゃない、みくもん?」
同意をしてくれたのはみくも先輩と一緒にいた桃音先輩だ。
「だってさ、みくもんの力って言わなければ相手に分からないでしょ?なら言いふらさないことを条件に、使えばいいと思うわけよー」
「さっすが桃音先輩!話の分かるお方だ!」
「ふふー」
「なるほどな。……本当に他言無用で頼むぞ?」
「はい!!」
みくも先輩は頷き、廊下に出て窓から中庭を見下ろす。
ベンチにはもくもくとサラダを口に運ぶエルちゃんがいる。
「掌握」
そして……みくも先輩は少し赤面した。
何か分かったようだが……
「あー……確かにこれは。知られたくなかっただろうなぁ……」
「なになに!?」
なんか、桃音先輩の方が楽しそうだった。
そしてみくも先輩もまた、かなり言いにくそうにしていた。
「彼女は、その……………………は、履いていないようだ」
……へ?
あー。
なるほど……。
「……エルちゃんってば……大胆だぁ」
「あんなに小動物っぽいのにね……」
「これは、絶対に秘密だな……頼むぞ」
「「はーい」」
自分の知らないところでひっそりと評価が変わったことを、エル・リーテンには知るよしもなかった。




