Ep.008「読書ができれば構わないの」
絢音メインです。
越神は気づいている。この世界を見ている、あなたに。
「今日は、そうね。この話を聞かせてあげる」
彼女は「観察日記」を手に取り、ページを開く。
「絢音ちゃんがFクラスに来たきっかけの話よ」
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その日はとても良い天気だった。
試験中に居眠りする女子生徒が出るくらい、いい天気だった。
(退屈…)
試験自体はさほど難しくはないため、10分足らずで終了してしまった。
正直、私は直前まで読んでいた小説の続きを読みたくて仕方なかった。
やむを得ず、見直しをする(フリだが)ことにした。寝ても良いとは思うのに、
今の先生は厳しい人なので、そういうわけにもいかない。
事実先ほど居眠りをしていた子は怒鳴られていたし。
特にすることもなく問題を眺め続け時間をつぶし、かなり長く感じた試験は要約終わりを向かえた。これは今日の最後の予定なため、このあとはすぐに放課後だ。
お楽しみのすーぱー読書タイム。私―絢音は呼び出しを食らったあの子を尻目に教室を飛び出した。
(今借りてる小説6冊のうち、4冊を返却して、次は新シリーズの…)
何を返して何を借りるかスケジュールを立てながら図書室へと歩く。
特に誰とも話はせず図書室へついた私は予定していたとおり本を返して借りる。
図書室の一番奥……もはや私の指定席となっている座席へ腰掛け本を開き、物語の世界へと没頭する。
◆
「……君………藤堂君!起きて!」
そう声がかけられ、私は目を覚ます。
感じたのは夜の風。ついで視界に見慣れた警備員の姿がうつる。
どうやらまた寝過ぎていたようだ……
「すみません。帰りますね」
「絢音君、ちなみに前に教師に言われていたこと、覚えていたか?」
そう問われてもピンとこないため、はて、と困った顔をして見る。
「言ってたよ。最終下校時間の無視をもう一度やらかしたら、要塞行きだ、と」
「」
頬がひきつる。
「忘れてたは……通用しないぞ?」
私は脱兎のごとく逃げ出した。
◆
「聞いたぞ藤堂。また、やらかしたんだってな?」
翌日。朝から教師に通告書を叩きつけられる。
もう、言い逃れはできそうになかった……
「はぁ……Fクラス行きですか」
別に忌避感はない。普段からクラスメイトともそれほど話さないため私生活に影響はないのだ。
問題のある生徒が集まると聞いているが、実際会ったことはない。
(まぁ、なんとかなるでしょう)
そんな楽観的な態度のまま、私は要塞……Fクラスに足を踏み入れた。
そこでクラスメイトの少女とも再会を果たすことになるのだが、それはまた別の話だ。




