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一歩、二歩、三歩。  作者: ともり。


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23/32

第二十四話「まだ大丈夫」

本当に寂しい時ほど、

人はどうでもいい話をする。

## 第二十四話「まだ大丈夫」

---


車はゆっくり走り続けていた。


---


「そういえばさ」


---


しょうまが言う。


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「ん?」


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「ジューシーおにぎり買った?」


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たかとは吹き出した。


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「まだ言ってるのか」


---


「大事だぞ」


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「もう聞いた」


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「帰る前に食っとかないと」


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「三回は食っただろ」


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「たぶん五回」


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「食い過ぎだろ」


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二人で笑った。


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話の内容は、


どうでもよかった。


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本当にどうでもよかった。


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でも、


黙るのは少し嫌だった。


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「そういえばさ」


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今度はたかとが言う。


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「ん?」


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「高校の時」


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「うん」


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「お前、文化祭で迷子になってたよな」


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しょうまは思わず笑った。


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「あったな」


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「校内で迷子」


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「今考えても意味分からん」


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「伝説だった」


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「やめろ」


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また笑う。


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気づけば、


昔話ばかりしていた。


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高校。


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大学。


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バイト。


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免許取りたての頃。


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どれも、


ついこの前のことみたいだった。


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でも、


もう戻れない時間だった。


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「早いな」


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しょうまが言う。


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「何が」


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「いろいろ」


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たかとは少しだけ笑った。


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「年取ったな」


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「まだ二十代だぞ」


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「もう二十代だろ」


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二人で笑った。


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その時、


しょうまのスマホが震えた。


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母からのメッセージだった。


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『飛行機の時間、確認した?』


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しょうまは画面を見る。


---


数秒、


何も言わなかった。


---


「どうした?」


---


たかとが聞く。


---


しょうまはスマホを閉じる。


---


「いや」


---


少しだけ笑った。


---


「そろそろ現実見ろってさ」


---


たかとは何も言わなかった。


---


ただ、


少しだけ前を見た。


---


車は走り続ける。


---


でも、


時間だけは止まってくれなかった。


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