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一歩、二歩、三歩。  作者: ともり。


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22/32

第二十三話「当たり前じゃない」

当たり前だと思っていた時間は、

意外と簡単に終わってしまう。

## 第二十三話「当たり前じゃない」

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車は海沿いの道を走っていた。


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窓の外には青い海が見える。


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「暑っ」


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しょうまが言う。


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「沖縄だからな」


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「東京も暑いぞ」


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「人が多いから余計暑そう」


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「それはある」


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二人で笑った。


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信号待ち。


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たかとが窓の外を見る。


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「あの店」


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「ん?」


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「前、よく行ってたよな」


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しょうまも外を見る。


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大学の頃、


何度か行ったカフェだった。


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「あったな」


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「レポートやるって言って」


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「全然やらなかった」


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「ずっと喋ってた」


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また笑う。


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しばらく沈黙。


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そして、


たかとがぽつりと言った。


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「社会人になるとさ」


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「うん」


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「会うの難しくなるな」


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しょうまは少し驚いた。


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たかとから、


そんな話をすることは珍しかった。


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「まぁな」


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短く答える。


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「学生の頃は」


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たかとは続けた。


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「暇だったら連絡して」


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「そのまま会ってたしな」


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「確かに」


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「今は予定合わせないと無理だ」


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しょうまは頷いた。


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それは東京でも同じだった。


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仕事。


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生活。


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責任。


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少しずつ増えていく。


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「でもさ」


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しょうまが言う。


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「こうやって会えてるじゃん」


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たかとは少し笑った。


---


「まぁな」


---


それだけだった。


---


でも、


どこか嬉しそうだった。


---


車はゆっくり進む。


---


空は相変わらず青い。


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今日という日は、


まだ終わらない。


---


でも、


ずっと続くわけでもなかった。


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