第二十二話「最後の日」
終わる日ほど、
いつも通り始まる。
## 第二十二話「最後の日」
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朝。
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目が覚める。
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カーテンの隙間から光が入っていた。
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しょうまは天井を見上げる。
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しばらく動かなかった。
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そして、
スマホを見る。
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午前八時。
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通知が一件。
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たかとからだった。
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『起きてる?』
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しょうまは少し笑った。
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『起きてる』
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すぐに返信する。
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数秒後。
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『昼どうする?』
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しょうまは画面を見る。
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少しだけ考えた。
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今日帰る。
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その事実は変わらない。
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でも、
まだ昼までは時間がある。
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『行く』
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送信する。
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『迎え行く』
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いつも通りだった。
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それが少し嬉しかった。
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昼前。
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車に乗り込む。
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「おはよう」
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「昼だぞ」
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「夏休みだから」
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「便利な言葉だな」
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また同じやり取り。
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何回目か分からない。
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でも、
今日は少しだけ特別だった。
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車は走り出す。
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「どこ行く?」
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しょうまが聞く。
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たかとは少し考えた。
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「決めてない」
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「相変わらずだな」
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「お互い様」
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二人で笑った。
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しばらく沈黙。
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嫌な沈黙じゃない。
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「そういえばさ」
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たかとが言う。
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「ん?」
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「大学卒業してからさ」
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「うん」
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「一年も経ってないんだな」
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しょうまは少し驚いた。
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確かにそうだった。
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東京へ行った。
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働き始めた。
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新しい生活が始まった。
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いろいろ変わった気がしていた。
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でも、
まだ一年も経っていない。
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「長かった気もするし」
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「短かった気もする」
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しょうまが言う。
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「分かる」
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たかとは笑った。
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窓の外を見る。
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見慣れた沖縄の景色。
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明日には見られない景色だった。
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でも、
そのことはまだ口にしなかった。
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言葉にすると、
本当に終わってしまいそうだったから。




