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一歩、二歩、三歩。  作者: ともり。


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19/32

第二十話「そういえばさ」

ずっと続くと思っていた。

でも、 ずっと続くものなんてなかった。

## 第二十話「そういえばさ」

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定食屋を出る。


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外はまだ明るかった。


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「腹いっぱい」


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しょうまが言う。


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「食い過ぎだろ」


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「唐揚げが悪い」


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「店のせいにするな」


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二人で笑った。


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車に乗り込む。


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エアコンが動き始める。


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「帰る?」


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しょうまが聞く。


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「帰るか」


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たかとが答える。


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数分後。


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車はコンビニへ入った。


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「帰らないじゃん」


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「喉渇いた」


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「さっき飲んだだろ」


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「別腹」


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「便利な言葉だな」


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また笑った。


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飲み物を買う。


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車へ戻る。


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エンジンは切ったまま。


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窓を少し開ける。


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風が入ってきた。


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「そういえばさ」


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たかとが言った。


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「ん?」


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「大学の時覚えてる?」


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「何が」


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「卒業旅行行こうって話」


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しょうまは笑った。


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「あったな」


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「結局行かなかった」


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「みんな予定合わなかったからな」


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「そうだったな」


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しばらく沈黙が続く。


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「まぁ」


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しょうまが言う。


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「今なら金はある」


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「時間がない」


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たかとが即答した。


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二人で笑った。


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笑ったのに、


少しだけ寂しかった。


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大学の頃は、


時間だけはたくさんあった。


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集まろうと思えば集まれた。


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会おうと思えば会えた。


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でも、


今は違う。


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仕事があって。


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住む場所も違って。


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簡単には会えない。


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「不思議だな」


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しょうまが言う。


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「何が」


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「大学の時はさ」


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「うん」


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「いつでも会えると思ってた」


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たかとは少しだけ笑った。


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「俺も」


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短い返事だった。


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それ以上は言わなかった。


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言葉にすると、


少し照れくさかった。


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コンビニの駐車場。


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特別な場所じゃない。


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でも、


こうして話せる時間が、


当たり前じゃなくなっていることだけは分かった。


---


「そういえばさ」


---


今度はしょうまが言う。


---


話したいことは、


たぶんもう話している。


---


それなのに、


また次の話題を探してしまう。


---


もう少しだけ。


---


もう少しだけ、


この時間が続けばいいと思った。


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