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一歩、二歩、三歩。  作者: ともり。


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17/32

第十七話「昼飯行く?」

会う理由なんて、

本当はなくてもよかった。

## 第十七話「昼飯行く?」

---


翌日。


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十時過ぎ。


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しょうまは実家のソファに寝転がっていた。


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エアコンの音。


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テレビの音。


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夏休みだった。


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スマホが鳴る。


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たかとからだった。


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『起きてる?』


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『起きてる』


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すぐに返信する。


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既読。


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数秒後。


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『昼飯行く?』


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しょうまは少し笑った。


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『行く』


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即答だった。


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『迎え行く』


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『了解』


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短いやり取り。


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でも、


なぜか嬉しかった。


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昼前。


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たかとの車に乗り込む。


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「おはよう」


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「もう昼だぞ」


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「夏休みだから」


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「便利な言葉だな」


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「だろ?」


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いつもの流れだった。


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車が走り出す。


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「何食う?」


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たかとが聞く。


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「何でもいい」


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「それが一番困る」


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「じゃあお前決めろ」


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「結局俺かよ」


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二人で笑った。


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しばらく考えて、


たかとが言う。


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「定食屋行くか」


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「いいな」


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「大学の時たまに行ってたとこ」


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「あー」


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しょうまは思い出した。


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「唐揚げ多い店」


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「そうそれ」


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「まだあるの?」


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「ある」


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少し安心した。


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最近、


なくなった店の話ばかりしていた気がする。


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だから、


残っている店の話は嬉しかった。


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車はそのまま走る。


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何気ない昼飯。


---


何気ない休日。


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でも、


しょうまは思う。


---


東京に戻ったら、


こういう時間はなくなるんだろうなと。


---


まだ二日ある。


---


でも、


もう二日しかない。


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