第十七話「昼飯行く?」
会う理由なんて、
本当はなくてもよかった。
## 第十七話「昼飯行く?」
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翌日。
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十時過ぎ。
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しょうまは実家のソファに寝転がっていた。
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エアコンの音。
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テレビの音。
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夏休みだった。
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スマホが鳴る。
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たかとからだった。
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『起きてる?』
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『起きてる』
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すぐに返信する。
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既読。
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数秒後。
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『昼飯行く?』
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しょうまは少し笑った。
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『行く』
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即答だった。
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『迎え行く』
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『了解』
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短いやり取り。
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でも、
なぜか嬉しかった。
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昼前。
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たかとの車に乗り込む。
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「おはよう」
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「もう昼だぞ」
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「夏休みだから」
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「便利な言葉だな」
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「だろ?」
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いつもの流れだった。
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車が走り出す。
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「何食う?」
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たかとが聞く。
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「何でもいい」
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「それが一番困る」
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「じゃあお前決めろ」
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「結局俺かよ」
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二人で笑った。
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しばらく考えて、
たかとが言う。
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「定食屋行くか」
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「いいな」
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「大学の時たまに行ってたとこ」
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「あー」
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しょうまは思い出した。
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「唐揚げ多い店」
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「そうそれ」
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「まだあるの?」
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「ある」
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少し安心した。
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最近、
なくなった店の話ばかりしていた気がする。
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だから、
残っている店の話は嬉しかった。
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車はそのまま走る。
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何気ない昼飯。
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何気ない休日。
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でも、
しょうまは思う。
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東京に戻ったら、
こういう時間はなくなるんだろうなと。
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まだ二日ある。
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でも、
もう二日しかない。




