第9話「畑の整備開始」
翌日。
朝から畑の整備を開始した。
昨日立てた改善計画に沿って、まずは土壌の入れ替えと区画整理だ。
トマが黙々と鍬を振り、ユイが土を運び、私は鑑定で効率の良い場所を指示する。
「ここ、下層が固いので掘り返した方がいいですね」
「……分かった」
トマは相変わらず無愛想だが、昨日より言葉が少しだけ柔らかい。
ユイはというと、相変わらず元気で、土を運びながら鼻歌まで歌っている。
「五十嵐さん、そっち終わったら次ここねー!」
「はいはい……」
畑仕事は想像以上に体力を使う。
だが、鑑定を使えば作業の優先順位が分かるため、効率は悪くない。
鑑定。
畑:改善進行中(効果:微)
土壌:通気性向上
魔獣被害:減少傾向(罠の効果)
「……お、いい感じですね」
「当たり前だろ。俺とユイがやってるんだ」
トマの言葉にユイが嬉しそうに笑う。
「トマさん、褒めた? 今、褒めたよね?」
「褒めてない」
「褒めたよね?」
「褒めてない」
この二人、本当に仲がいいのか悪いのか分からない。
そんなやり取りをしながら作業を続けていると、ふと森の方から風が吹いた。
木々がざわめき、鳥が一斉に飛び立つ。
嫌な予感がした。
鑑定。
森の状態:魔獣の移動パターンに変化
行動:逃走傾向(強)
原因:外的要因の可能性(高)
「……逃げてる?」
魔獣が“逃げる”というのは、普通ではない。
トマもユイも、心配そうに森の方をじっと見つめていた。
私は、まだこの世界を理解できていなかった




