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元上場企業CEO、鑑定と経営で廃村から世界に反撃の宣戦布告する  作者: 50


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8/15

第8話「畑の本格調査」

 ユイに半ば腕を引っ張られる形で、私は再び畑へ戻ってきた。


「トマさーん、この人連れてきたよー」


 ユイの声に、鍬を振るっていたトマがこちらをちらりと見る。

 相変わらずの無愛想だが、ユイの前ではほんの少しだけ態度が柔らかい気がする。


「……またか。何の用だ」


「畑の状態を、もう少し詳しく見せていただけませんか?」


 私は畑に足を踏み入れ、鑑定を使う。


 鑑定。


 土壌:やや痩せ気味(改善可能)

 栄養バランス:窒素・リンは十分、カリウム不足

 状態:連作障害(中度)

 原因:魔獣の糞尿による偏り/耕作不足

 改善案:土壌入れ替え・輪作・堆肥投入


 ——やっぱり、連作障害が進んでいる。


 私はスコップで土を掘り、層を確認する。

 表層は乾き、下層は固く締まり、さらにその下には黒ずんだ層があった。


「魔獣の糞尿が溜まってますね。

 これが栄養の偏りを生んで、根菜以外が育たない原因なのでは?」


 トマは眉一つ動かさない。


「知ってる」


 ——やっぱり全部分かってる。


「でも、魔獣の対策や食糧難のリスクがあるため、改善に踏み切れないんですよね?」


「……そうだ」


 トマの声は低いが、諦めが混じっていた。


「それなら、私も背負います。トマさんが背負っている責任」


 トマは鍬を止め、こちらを見る。


「……よそ者が何を言っている」


「ええ、よそ者ですが知ってます。例えばトマさんの右手の症状とか」


「!!」


 トマは顔色こそ変えなかったが、ユイを流し目で見たあたり、

 ——一人で抱えていたのだろう。


「痺れが日に日に広がってきて、もう鍬を振るのもギリギリなのでは?」


 ユイが横から口を挟む。


「この人、嘘つくタイプじゃないよ。

 それに、あなた一人で抱え込んでるの知ってるし……怪我は知らなかったけど」


 トマは小さく舌打ちした。


「……分かった。協力はする。だが、最終的な責任は俺にある。

 お前は背負うな。冷静な判断を常にしろ」


「わかりました」


「……あのー、わたしは?」


 ユイが心配そうに手を挙げる。


「お前は責任取れや」


「なんでよ!」


 トマとユイの押し問答を見ていると、信頼関係の深さがよく分かる。

 ……あれ、親子だったりして?


 三人で畑の中央に集まり、改善計画を立て始めた。


 ——土壌の入れ替え

 ——輪作の導入

 ——堆肥の作成

 ——魔獣避けの強化


 話し合いは順調に進んだが、ふと森の方から風が吹き、木々がざわめいた。


 その瞬間、背筋に微かな違和感が走る。


 鑑定。


 森の状態:魔獣の移動パターンに変化/警戒度上昇


「……なんだ?」


 トマもユイも、同じ方向を見ていた。


 森が、何かを知らせているようだった。

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