第14話 修復と反撃の準備(前半)
「カイ。いちおう領主の兵士だ」
まだ籍は領主側にあるらしく、義理堅い性格がにじみ出ている。
ただ、ボアとの戦闘後に領地へ戻らない=殉職扱いになる可能性が高いため、
無理に戻る必要はないらしい。
「では、まずは被害の把握です」
ボアに荒らされた畑、水路は一部破損していた。
しかし、家屋は無事で、村人にも怪我人はいない。
(……最悪の事態は避けられた)
私は鑑定スキルを起動し、村の状態を細かく確認する。
―――畑:損壊率5%
――水路:破損箇所2ヶ所
――家屋:損壊なし
――村人:軽度の疲労のみ
「……おい、今鑑定って言ったか?」
「なんで鑑定なんて使えるやつが、こんな村にいるんだ」
「使える方は、少ないのですか?」
「当たり前だろ。相手の戦況が丸わかりになる鑑定スキルなんて反則だぞ……
どこの国も高待遇で迎えてくれるレア中のレアスキルだ」
カイは呆れたように頭をかいたが、すぐに真顔に戻った。
「今後は声に出さずに念じろ。それでスキルは発動するはずだ」
(……念じるだけで使えるんですね!)
試しに念じてみると、問題なく発動した。
(……うわぁ、声出してたの恥ずかしい、誰か教えてよ!!)
「俺が畑と水路を直す。任せとけ」
「お願いします。この分野はトマさんしかできません」
「そっちは任せた」
「では、私とカイさんとユイさんは、防衛に専念しましょう」
ユイが元気よく手を挙げる。
「任せて! あの領主にぎゃふんと言わせてあげるから!」
カイは肩をすくめた。
「……防衛って言ってもなぁ」
私たちは村長宅へ向かう。
気付けば、カイもどこか協力する気満々だった。
◆
村長宅に集まり、作戦会議を始めた。
「カイさん、領主はどれくらいの兵力で来ると思いますか?」
カイは腕を組み、少し考えてから答える。
「魔獣との戦闘も見込んで、騎兵がメインだろう。
武器は長槍。
この村程度なら……二十五人ってところだ」
「二十五……」
ユイが息をのむ。
「多くない?……」
「ですが、二十五人なら何とかなりますね」
私は頷き、作戦を切り出す。
「では、三種類の罠を設置します」
「三種類? 二週間しかないぞ。間に合うのか?」
「間に合わせます」
私が説明を始めると、カイは目を細めた。
「……悪くない。お前、どこでこのアイデアを手に入れた?」
「秘密です」
ユイはウキウキしながら身を乗り出す。
「いいね! 罠って聞くだけでワクワクする!」
村長は……すでに居眠りしていた。




