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元上場企業CEO、鑑定と経営で廃村から世界に反撃の宣戦布告する  作者: 50


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第13話「拒絶と本音」

 兵士は、倒れた仲間のそばに膝をついたまま動かなかった。


 ボアの足音も、領主の悲鳴も、すべて遠くへ消えた。


「……もし良ければ、村の再建を手伝ってくれませんか?」


 私の言葉に、兵士はゆっくりと顔を上げた。


「すまない、それは無理だ」


 短く、乾いた声だった。

 兵士は淡々と言い、倒れた仲間の手をそっと組み直した。

 その仕草だけは、妙に丁寧だった。


「理由を聞いてもいいですか?」


 兵士は村を見渡し、最後に森を見た。


「村を守るには戦力が足りない」

「今日みたいな魔獣ならまだいい。だが……」


 兵士は高台の方角を睨む。


「あの領主なら、必ずここを攻めてくる。

 兵を増やして、怒り狂って、村ごと焼き払うだろう」


 村長が秘蔵の酒瓶をより強く抱き込む。


「俺は、勝ち目のない戦いに身を投じる気はない」


 トマさんが前に出る。


「勝ち目がないなんて、誰が決めた?」


 私も続く。


「領主たちが攻めてくるのは、早くても二週間後です。

 領内に戻り、貴族へ報告し、装備を整え、兵士を増員して……

 すぐには来れません」


「その間に、この村の防衛力を上げるんです」


 兵士は鼻で笑った。


「ばか言え。相手は領主だ。

 手を出したら貴族が来る。もっと厄介なことになるぞ!」


 トマさんが拳を握る。


「だからと言って戦わないわけにはいかない。

 もう懲り懲りだ」


 ユイも前に出る。


「もうこれ以上は、私たちも限界。

 ボアにやられた畑も治さないといけないし……

 どのみち死ぬなら戦うよ」


 兵士は顔をしかめた。


「馬鹿どもにはついていけん」


 そう言って村の外れへ歩き出す。


 だが、数歩進んだところで足を止めた。


「……二週間、か」


 私の言葉が引っかかったらしい。


「領主が戻って、報告して、兵を集めて……」

 兵士は小さく舌打ちした。

「確かに、すぐには来れんだろう」


 トマさんが腕を組む。


「だから、その間に強くなりゃいいだけだろ」


「簡単に言うな。村人出身のお前たちに何ができる」


「できるさ。やるしかねぇんだよ」


 ユイが前に出る。


「畑も壊れたし、家も直さなきゃいけないし……。

 でもね、何もしないでやられるのは嫌なの。

 この村を焼かれるなんて、もっと嫌」


 兵士は眉をひそめた。


「……村人が領主と戦う? 前代未聞だぞ」


「いえ、戦って勝つまでがセットです」


 私は簡潔に案を伝える。


「この村は周囲を魔獣が潜む森で囲まれています。となると、入り口は必然的に正面からです」


「あの領主が罠を警戒して迂回しますか?

 しないでしょうね。この村は終わったと思っていますから」


 兵士はしばらく黙っていた。


 風が吹き、森の葉が揺れる。

 やがて、兵士は深く息を吐いた。


「……罠だけじゃ防ぎきれんだろ」


 そう言って歩き出す。


 だが、今度は村の外ではなく、村の中央へ向かっていた。


 トマさんがニヤリと笑う。


「おい、どこ行くんだよ」


「……見ておくだけだ。お前らがどれだけ馬鹿か」


 ユイが嬉しそうに笑った。


「見てるだけでも十分だよ!」


 兵士は顔を背けた。


「……ごちゃごちゃ言ってないで早く作業を開始しろ。

 二週間しかないぞ」


 そこで私はふと気づいた。


「……そういえば、あなたの名前をまだ聞いてませんでした」


 兵士は振り返らずに答えた。


「カイ。いちおう領主の兵士だ」


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