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元上場企業CEO、鑑定と経営で廃村から世界に反撃の宣戦布告する  作者: 50


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第11話「領主と赤い目」

『おい、村長はどこだ。徴収の時間だぞ』


 村の入り口に響いたその声は、妙に通る。

 馬上から見下ろすその男は、いかにも「自分は偉い」と思っている顔をしていた。


 背後には武装した兵士が十数名。

 村の空気が一瞬で張り詰める。


「……最悪のタイミング」


 ユイが小さく舌打ちした。

 村長は震える手で前に出る。


「こ、これはこれは領主様……わざわざ我々の村に……

 な、何もない村ではありますが、どうぞお立ち寄りくださ……」


『聞こえんのか!! 徴収だと言っておるだろう!!』


 怒号が村中に響き、村長は悔しさを飲み込むように唇を噛んだ。

 村人たちは一斉にうつむく。


 ——完全に“支配者”の態度だ。


 それでも村長は、村を守るため一歩前に出た。


「お、恐れながら申しますが……徴収、税金は……二週間後のお約束のはずで……」


『余興を楽しんでおったらな、剣が欠けてしまってな。

 となると、新調せねばなるまい。その代金を払わせてやると言っておる。光栄に思え』


「そ、そんな……!」


 村長の顔が青ざめる。


 私は領主の腰の剣を鑑定した。


 鑑定。


 剣:性能★2

 材質:安価な鉄

 装飾:豪華(見た目だけ)

 一部破損(刃こぼれ)

 推定価格:35万ゼニ


 ——35万ゼニ?


「ユイさん、35万ゼニって……どれくらい?」


「どれくらいって……私たちが死ぬ気で働いても月6万ゼニだよ?

 半年分の村の総収入レベル。払えるわけないでしょ」


 ユイはため息をつき、ぼそっと毒を吐く。


「見栄に金使って、私服肥やすタイプか……この領土、終わってるわ」


 ただ、私はひとつ気になることがあった。


「領主様、その剣が欠けるほどの“余興”とは……どんなことでしょうか?」


『おぉ、お前は良いことを聞いてくれるな!

 それがな、森でボアを狩っていたら、なかなか大きいサイズがいてな!

 逃げるわ刺しても止まらぬわで、やっと仕留めた時に刃が欠けたのだ!』


 その瞬間——

 トマ、ユイ、そして私の三人は同時に息を呑んだ。


 昨日の森のざわつき。

 魔獣の逃走パターンの変化。

 そして今日の“魔獣の血が混じった水路”。


 ——全部、こいつのせいか。


「……馬鹿が。森を荒らしやがって」


 トマが低く呟く。

 ユイも怒りを隠さない。


「余興で森を荒らすとか……最低」


 領主はそんな空気など気にも留めず、馬上で胸を張った。


『さあ、金を出せ! 剣の代金だ!』


 その時だった。


 ——森が、騒ぎ始めた。


 風が逆流するように吹き、木々がざわざわと揺れる。

 鳥が一斉に飛び立ち、地面が微かに震えた。


「な、なんだ……?」


 兵士たちの馬が落ち着きを失い、嘶きながら後ずさる。


 森の奥から——

 低く、重い、獣の唸り声が響いた。


 そして。


 闇の中に、**赤く光る目が無数に浮かび上がった。**


 私は反射的に鑑定を使う。


 鑑定。


 魔獣群:ボア(多数)

 状態:激昂/復讐行動

 原因:仲間の殺害(外的要因:領主)

 危険度:Dランク

 ※ランク:弱いF〜S強い


「……やばい」


 ユイが鍬を握りしめる。


「ちょ、ちょっと……数、多すぎない?」


「ちょ、ちょっと待て! なんだあれは!!」


 領主が馬上で叫ぶが、馬は完全に怯えている。


「……来るぞ」


 トマが短く言った。


 赤い目が、一斉にこちらへ向かって動き出した。


 森が、怒りを吐き出すように吠えた。

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