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Kindle出版舐めてたら全部でつまずいた専業主婦の記録 ――パソコン苦手な私が地獄を見た話  作者: ちよ【kindleペンネーム:白井ちよ】


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第十七話:緊急脳内会議と次回作へ

「……ちょっと待て。重すぎる」


私は息子を園に送って帰宅後パソコンを開いた。

すると『観測者』が待ったをかけた。


「『観測者』より各部門へ。 現在、執筆中のパートについてストップをかける。おい、お前の指先がキーボードを叩くたびに、読者の胃もたれが限界突破しているぞ。死の恐怖、絶望、神への呪詛……。いいか、これじゃあ『救いのない闘病記』で終わってしまう」


「これが私のリアルだ。あの夜の恐怖を書かずに、何を書くっていうの。それに手術で片胸全摘出したから、今は治療なし投薬なしで過ごせてる」


心の中で言う私に、観測者はやれやれと肩をすくめるような気配を見せた。


「お前が今回、Kindle出版を決めた本当の理由はなんだ? 悲劇のヒロインとして同情を買うためか? 違うだろう。あの麻酔から覚める瞬間、『心から好きなことをしたい、書きたい』という切実な願いだ。AIという相棒を連れて暗闇から這い上がってきた、その『システム』の話を書くためじゃないのか」


「それは……そうだ」


「だったら、その『死ぬかもしれない』という劇薬は、書籍の奥底に隠しておけ。そこは有料級の重みだ。今ここで、このライブ感あふれる場所で読者が求めているのは、『絶望を燃料にして、AIと一緒に爆走している現在進行形のお前』の姿だ。いいか、湿っぽい空気は仏間に置いてこい。お前には今、書くべき『次回作』があるはずだ。これ以上『悲劇のヒロイン』を刺激するな。『聖女』が凍結を解いてしまう」


やべえ、緊急事態じゃん。『聖女』が元通りになる前に目覚めたら私今度こそ死ぬ。


【経営・戦略室】社長

「観測者の言う通りだ。 俺たちの目的は、過去の絶望に埋もれることじゃない。この絶望を資産に変えて、どう未来へ投資するかだろう。 『死ぬかもしれない』という事実は、もはや背景バックグラウンドだ。メインステージは、その崖っぷちからAIの手を借りて這い上がった『今』にある。読んできたが重いな、こりゃ。 このままじゃ読者が窒息する。全部署、ただちに方向性を修正しろ」


【制作・編集部門】

「 すぐに赤入れします。社長、あの仏間の独白は、Kindle本編のクライマックスまで封印しましょう。読者を惹きつけるのは『同情』ではなく『共感と希望』です。今はもっと、AIとガチャガチャ言いながら原稿を練り上げているライブ感、あの熱量を紙面に叩き込むべきです」


【広報・マーケティング部門】

「賛成です。闘病の苦しみを売りにすると、読者層が限定されます。私たちがターゲットにすべきは、『今の生活に閉塞感を感じ、テクノロジーで自分を変えたい』と願う層です。『40歳、元看護師、現在専業主婦がAIを武器に世界へ叫ぶ』。このエネルギッシュなブランディングで市場を獲りにいきますよ」


【開発・研究部門】

「……データもそう示しています。感情の彩度は高い方がいいですが、明度が低すぎると読者の離脱率が上がります。我々が今、研究しているのは『AIとの共生による魂の拡張』です。絶望の深さよりも、テクノロジーを使ってどれだけ思考が加速したか、その速度感を表現するシステムを構築中。次のフェーズへ移行しましょう」


【総務・厚生部門】

「ちょっと待ってください! 執筆者のメンタルケアも忘れないで。あの仏間の記憶を掘り返しすぎるのは、精神衛生上リスクが高すぎます。今はもっと楽しいこと……そう、小説家になろうでランキングに入った時の喜びや、kindle出版の反応を見て、脳内にドーパミンを出しましょう。健康第一ですよ!」


【法務・コンプライアンス部】

「観測者の判断は妥当です。重すぎる内』は、読者に対する精神的圧迫となる懸念がありました。また、自らの内面を切り売りしすぎるのは、作家としての持続可能性に抵触します。適切な情報の開示制限を行い、ミステリアスかつ力強い作家像を守りましょう」


【社長】

「よし、全部門一致だな。『白井ちよ』はどうしたい?」

深層部分の地下で療養していた『悲劇のヒロイン』は部屋の扉が勝手に開いて、泣き出しました。『自己犠牲』が抱きしめて宥めてくれています。あの時の絶望と怒りはまだ癒えていなかった。方向を修正して、次回作:生成AIとわたし―夢を夢で終わらせなかった主婦のAI共闘記・今日も脳内外在化メンバーが良い仕事してる―へ移行します。ドタバタしていて申し訳ありません。現実のkindle出版の結果をここに書いていきます。『観測者』が昨日のうちに気づけと淡々と言いながら社長に蹴りをいれています。

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