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黎明を灯す光 ~神に至る道~  作者: Mr.Z


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073.緊急事態

 近くに着陸した大型輸送船のハッチが開く。全小隊100人と乗り込むと、船はすぐに離陸した。大型の輸送船がある事は知っていたが、飛んでいるのを見るのは初めてだった。


 旅客機の様に横並びの座席がいくつもあり、その一つに腰を下ろす。


「コマンダー。聞こえるか?」


 機内でも通信が届くか試してみるが、どうやら無駄みたいだ。そう思っていると、内壁に据え付けられているモニターが起動した。そこにはコマンダーの姿が。


『これを聞いているという事は、無事に船が着いたのだな』


 言い方からして、おそらく録画が流れていると思われる。だが、一体何故? 転送装置だけでなく、通信障害も同時に起きるなんて事ありえるのだろうか?


「騎士団長殿・・・」


 アンジェも同様の不安を抱いているらしい。コマンダーがこんな真似をするなんて一体・・・。


『落ち着いて聞いてほしい。今現在、アメリカが大規模の襲撃を受けている。新型オメガの能力により、アメリカ全域に通信障害が発生。転送装置を含め、大部分の機能が一時的に使用不可となっている。「ノアの箱舟」は現在敵の掃討に全力を注いでいるが、人手が足りない状況だ』


 ノアの箱舟。確かオートマタの母艦の名前だったはず。あれを使っても尚、人手が足りないというのか。どれ程の戦火が繰り広げられているのだろうか。


 その時ふと、ある事を思い出す。現在の時刻は午後3時。それよりも前に襲撃されていたと考えると、ミカエラはまだ学校にいるはずだ。通信も転送も使えないとなると、もしかしたら取り残されているのではないだろうか・・・。


 こういった時のオレの不安は、当たる確率が高い。


『君の力がすぐにでも必要だ。それと・・・最悪な事に、ガブリエル大統領とミカエラが取り残されている』


「クソッ!」


 当たってほしくない事に限って当たってしまう。ホントに呪われていないか疑いたくなる。


『君自身もすぐに戻りたいと考えているはずだ』


 当たり前だそんな事。すぐにでもミカエラの元へ駆け付けたい。だが、コマンダーならその事も理解しているはずだ。


『その為にその船を用意した。その場からワシントンまでの距離はおよそ1万キロメートル。それを1時間で移動する。シートベルトを締めて口は閉じておくんだ。体と舌を失いたくないなら』


 ほらな。その皮肉に対して搭乗者は全員無言でシートベルトを締め、口を閉じる。


『Gフォースを緩和する機能は付いているが、瞬間的に15Gの力を耐える必要がある。強化された君達なら耐えられるはずだ。・・・確証はないが』


「おい」


 録画だから声が届かないのに、つい声を出してしまった。隣にいるアンジェが涙目でこちらを見ている。


「き、騎士団長殿・・・」


「口を閉じろ。舌を噛むぞ・・・」


 ぐっと力を込めて口を閉じるアンジェ。オレももう口を開けるつもりはない。


 15G。オレの体重が今65キログラム程度。瞬間的に1トンのものが体の上に乗ると考えたら・・・。うん、余裕だな。今のオレなら問題なく耐えられるだろう。ただ、他の隊員達は耐えられるだろうか・・・。


『これより超高機動モードに突入する。善意で用意しておいたが、座席の脇に袋を用意している。必要な者は好きに使え』


 座席と座席の間に、ビニール袋があるのが確認できた。一体何に使うのだろうかと考えていると、カウントダウンが始まった。


『3、2,1――』


 そしてカウントが終わった瞬間、轟音と共に目玉が頭蓋骨の中に引っ込む感覚に襲われる。これがマッハ8・・・15Gの力か・・・。


 およそ10秒程で最高速度に到達し、体に掛かる重力が和らぐ。すると搭乗者全員が脇にあった袋を取り出し、その中に向かって嘔吐した。


「「「おええええぇぇぇぇぇ・・・」」」


 嘔吐の協奏曲。胃液の酸っぱい臭いがツンと鼻を刺激し、もらいゲロしそうになる。


「き、騎士団長殿・・・。気持ち悪いであります・・・オエエェェェ・・・」


 隣にいるアンジェも嘔吐をする。マジで勘弁してくれ・・・。


「うぷっ。・・・マジでもらいゲロしそう・・・」


 緊急事態なのは、どうやらアメリカだけではない様だ・・・。


 機内の中がゲロパニックになっている中、1時間が経過――


 遠隔操作ではなく、自動運転になっていたらしく、輸送船はホワイトハウスから北に1キロメートルの地点にある交差点に着陸した。


 減速は加速よりも緩やかなものだったので、降りた際にはパニックは起こらずに済んだ。本当に良かった・・・。


 すぐにホワイトハウスに向かうと、安全が確保されているのか、他の隊員とソルジャーの姿があった。状況確認の為、近くにいた隊に声を掛ける。


「状況は?」


「はっ。ホワイトハウス北側の安全は確保。しかし南側とガブリエル大統領がいる南東の議会議事堂までの道に新型オメガがいる為、足止めを食らっています」


 議会議事堂までの距離は約3キロメートル。たったそれだけの距離も確保できないなんて一体何をしているのかと怒鳴りたくなるも、新型オメガがどれ程厄介なものか分からない以上、強くは言えなかった。


 もしかして先程香港で戦ったクラゲオメガがいるのかと思ったが、どうやら違う様だ。


「新型オメガは2種確認されています。まずはこの通信障害を起こしているタワー状のオメガ。そしてそれを守っているオメガが非常に厄介でして・・・」


 新型が複数同時に出てくるのは、初めて香港で確認されたベルゼバブとバエル以来だろう。一体どんなオメガなのだろうか。


「そのオメガは、目からビームを放つのです」


 ・・・は?


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