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黎明を灯す光 ~神に至る道~  作者: Mr.Z


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045.数の暴力

 その白いオメガの対策方法が思い付かない現状を打破する為に、思考回路の路線を変更してみる。


 オレの攻撃を軽々と避けるヤツにどう攻撃を当てればいいのだろうか?


 そしてヤツの再生力を上回る攻撃をするには、どうすればいいだろうか?


 思考を巡らせても、解決策は出てこない。そのおかげで、一つの結論が出た。


 うん、諦めよう――


 結果、諦める事にした。一人で戦うという事を。


「こちら騎士団。全隊員に告げる。これから門の前まで新型オメガを誘導する。合図をしたら射撃せよ」


 オープンチャンネルで全隊員に通信。作戦を伝える。


 一人で倒せそうにないなら、みんなで倒せばいい。隊員達の元に行かせてしまえば、皆殺しにされるリスクだってある。だが、一人で対処できるとは到底思えない。


 オレは何度かヤツに斬り掛かる。何度か剣を避けられるが、避けられないと判断した場合のみ攻撃を防ぐ習性がある。その一手を、攻撃の手を緩める事なく待ちわびる。


 刹那、ヤツが剣を盾にして攻撃を防いだ。


 その瞬間、空かさずヤツの細い胴体に回し蹴りを叩きこむ。その軽い体は10メートル程吹き飛び、木に接触する。ダメージを与えたと期待した訳ではないが、ポールダンサーの如く木を軸に、体をスルリと回転させて制止する。上からこちらを見下すその姿にイラつきを覚える。


「いけ好かないヤツ」


 木から落ちる事無く、こちらを見下す白いオメガに対して、オレはすぐさま背を向けて逃げる。戦略的撤退ってヤツだ。


 逃げるオレを、ヤツは関節が見当たらない細い手足を器用に使って、木から木へ飛び移りながら追いかけてくる。


「ターザンかよ!?」


 その動きはまさに野生児。木がある所はマズいと判断し、森林公園の中から道路へ身を出す。だが、ヤツは道路に出てくる事なく、相変わらず野生児の真似事をしながら追いかけてくる。


 おそらく、地上を走るよりもそちらの方が速いのだろう。あの細い足は走るのに向いていないのかもしれない。


 だが、すぐそこは先程の戦闘で木々がなぎ倒されている。ここからどうするのかと、走りながら視線を向けると、ヤツは道路に出て奇怪な動きで再度オレを追いかけた。


 左腕と両足は伸縮自在だったようで、跳んでは左腕を伸ばして地面に突き刺し、伸ばしたその腕を縮めて加速する。その勢いのまま、次は足を地面に突き刺しては伸ばして加速する。それを繰り返して急接近してきた。


「そんなんあり!?」


 蛇の動きで追ってくるかなと思っていたオレの予想を超え、とても生物の動きとは思えない方法で移動するその姿に驚きを隠せない。


 急加速して接近しながら剣を振るってくるヤツの攻撃をサイドステップで避ける。その動きが直線的だったおかげで、攻撃を避けるのは簡単だった。


 ふむ・・・。こうやって跳んできた所をカウンターしたら倒せるかもしれない――


 もし失敗したら学習される可能性もある為、この手は後で使おう。今は隊員達に協力してもらった方がこの白いオメガを倒せる可能性が高いだろうから。


 再度走り、隊員達の元へ向かう。既に視界には、編隊を組んで身構えているのが確認できた。優秀な兵士達だ。その場所までの距離はおよそ300メートル。射程距離は十分だが、この細身の怪物を倒すには、もう少し距離を詰める必要がある。


 その後、白いオメガの猛攻をかいくぐりながら、命からがら防衛戦の100メートルまで到達する。理不尽な鬼ごっこを終わりにしようと、オレは頭の中で考えていたプランを実行する。


 背後から迫る白いオメガを迎撃する為、その場に立ち止まる。案の定、ヤツは先程と同様に跳んで加速し、空中で剣を振るう。だが、そんな単調な攻撃なんて簡単に防げる。


 オレは両手で剣を持ち、ヤツの剣を弾く為に全力で振り上げた。


「おらぁっ!」


 ガキンッ――


 掛け声と共に放った斬撃が白いオメガの剣を弾き、その体の勢いをも殺す。隙だらけになったその一瞬を見逃しては、完全に勝機を失ってしまう。オレは体を回転させ、右足で後ろ回し蹴りを放つ。


 その一撃は白いオメガの胴体を捉え、渾身の一撃と言っても過言ではない一撃となった。その一撃が、白いオメガの体を30メートル程吹き飛ばす結果となった。


 地面に落下し、転がる。体勢を立て直す為に地面に剣を刺して減速するも、そこは隊員達が築いた防衛線の目の前。


「今だ! 撃てぇっ!」


 オレはすぐに通信で射撃命令をしつつ、道路脇にある倒れた木々の中に退避する。刹那、銃弾の雨がヤツに向かって降り注ぐ。その弾幕は凄まじく、いくらヤツでもただでは済まないだろう。


 少しだけ顔を出して様子を伺うも、その光景は一方的だった。ヤツの体にハチの巣の様に穴が開き、更に左足も銃弾によって千切れ、地面に転がっている。


 オレは普段オメガがやっている事をやり返しただけだ。それは、数の暴力。数万という斥候型をいつも送ってくるという事は、オメガも数の力というものを理解しているはずだ。


 それを今回、たった1体だけ戦場に放り込まれた特別なオメガに思い知らせる事となった。計画が上手くいった事に、口元が綻ぶ。


 戦争は、一人でするものではないのだよ。オメガ君。


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