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黎明を灯す光 ~神に至る道~  作者: Mr.Z


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034.魔剣ラグナロク

 その後、親睦を深める為にお互いの家族構成や趣味を話し合った。そもそもなんで親睦を深めているんだっけ?


「ならケイジって今恋人いないんだ」


「いないいない。いたとしても、会えなくて寂しい思いをするのなんて嫌だから。遠距離恋愛は無理かなぁ。日本に帰れればいいんだけど」


 なんでこの話をする流れになったのか、思い出してみる。


 オレが映画アクションが好きで、ミカエラも(恋愛ものが)好きだって話から、恋人がどうのって話になった。話噛み合ってなくない?


「じゃあ、私が立候補してもいいよね? 私の立場なら一緒にいられるから、寂しい思いなんてさせないよ」


「・・・え?」


 それってどういう意味でしょうかと尋ねようとするも、彼女がそれを許さなかった。


 チュッ――


 一瞬、思考が停止する。オレの頬に、柔らかい何かが押し付けられる。頬にキスされたのだと気付いた時には、既に彼女は部屋のから出て、顔だけを出していた。


「考えておいてね」


 最期にウィンクしながら、彼女はドアを閉めていなくなってしまった。彼女にキスされた頬とは反対の頬をビンタしてみる。バチンッ。・・・痛い、夢じゃない。


 最後の最後にまた彼女に翻弄されてしまった自分が情けない。男なら主導権を握りたかったが、結局一度も握らせてくれなかった。けど嫌な気分ではなかった。むしろ心地良いと思える余韻に浸っていると、本日二度目のコマンダーからの呼び出しが掛かる。


 今回は会議室ではなく、ラボへ来るように連絡があった。タイミング的に彼女がいなくなるのを見計らっていたのだろう。大人しく目的地に足を運んだ。


 母艦内にある、主に新たな武器や装置を開発をしている部屋。ラボに着くと、コマンダーがいた。その傍らには召集の際、オレを拉致しに家に押し掛けてきた時と同じタイプのアンドロイドが、布に包まれた棒状の何かを持っていた。


「今回は大統領はなし?」


『なしだ。君に渡したいものがある』


 コマンダーの言葉で、アンドロイドが手に持っていた物をオレに手渡す。巻かれている布を取り除くと、中にはアダマンタイトで出来た黒い剣があった。持ってみた感じ、重さは50キログラム程。今のオレならギリギリ片手で振るのに支障がない重さだ。


 そして刀身は1.5メートルと長く、両刃が黒く輝く。柄から刃の先まで全て真っ黒だが。


「・・・剣?」


『そうだ。原始的な武器だが、知能の低い君にはちょうどいいだろう』


 ふとその剣で試し斬りがしたくなり、宙に浮いている球体に向かって振るうも、それは空振りに終わる。


『これならば残りの弾薬を気にする必要もない。それにオメガとの戦闘記録から、君には近接戦闘に高い適性がある事が判明している』


「確かに弾切れの心配はないけどさ・・・」


『先の市街地での戦闘の際、流れ弾で死傷した人間の個体が3ついたという観点から、状況次第では近接武器が有用と判断した』


 流れ弾で3人・・・。オレの知らない所でそんな事が起きていたのか。確かに市街地で、かつ住民が逃げ遅れている状況では無闇に射撃できない。そんな時に、使えるものがあのナイフだけでは心許ない。それに、この剣があれば、バエルとの戦闘がもっと楽になっていただろう。


『だが、君は剣の振り方を知らないだろう。我々が君の肉体構造から最適な剣術を導き出した。その情報も渡しておこう』


 確かに剣の振り方なんて知らない。その情報をもとに勉強というか訓練する必要がある。コマンダーが情報を渡すと言っていたから、紙に印刷した資料でもくれるのかと思っていると、アンドロイドがたくさんの管が刺さっているヘルメットみたいなものを持ってくる。管の根本には黒い箱のコンピューターに繋がっている。それをオレの頭に被せる。


 何コレ? SFチックなそれに刺さっている管の根本が、青い光を放つ。それはゆっくりとオレの頭の上にあるヘルメットに管を通って近づいてくる。嫌な予感がすると思った直後、それがヘルメットに到達した瞬間に頭からつま先まで、全身に高電流が流れる。


「あばばっばばばっぶあぶあっばっばばばっ」


 およそ5秒程その状態が続く。そしてそれが止まると、体から焼け焦げた臭い漂う。そんな気がした。


「このヤロウ! こんな事するなら先に言えよ!」


『先に言えば、君は逃げるだろう』


「当たり前だ!」


 人の体で好き勝手実験しやがって、とコマンダーに向かって剣を振るう。剣は空を切ったが、その動きは非常に滑らかなものだった。まるで昔から剣術を習っていたかの様に。オレは軽く剣を数回振り、脳と体の誤差を修正する。


「お? これは凄いな・・・」


 まるで自分が剣の達人にでもなったかと思えるその感覚は、非常に気分が高揚した。


『1分足らずで脳と体の動きがリンクしている。やはり君には体を動かす才能がある』


「へへん。そんなに褒めるなよ」


『頭を使う才能はないが』


「一言多いんだよお前は!」


 ブンッと、空を切る音が響く。アイツ、いつか絶対溶かして延べ棒にしてやる。


 この剣を入れる鞘を探すも、鞘は用意されていなかった。


『鞘はない。アダマンタイトは意思で形状が変化するが、バカな君では使いこなせないと判断し、待機状態と剣状態の2つの形態のみ登録してある』


 本当にコイツは一言多いな!


 文句を言う気持ちにすらなれず、オレは剣に対して通常状態になれ~と、念じる。するとアダマンタイトの剣が、溶けたかの様にその形を変え、黒い腕輪となり、オレの右腕に嵌る。それは剣の時よりも明らかに軽くなっており、質量保存の法則を無視していた。


「なんで軽くなったんだ? 大きさも変わってるし」


『アダマンタイトの性質だ。限度はあるが、質量と体積を自由に変化させる事ができる』


「へぇ~。すげぇ」


 地球上の物理法則すら無視するそれの価値は計り知れない。そんなものをプレゼントしてくれたコマンダーには感謝しないとだな。この剣にも名前を付けてあげないと。


 この剣の名前は――


「今日からお前は、魔剣ラグナロクだ!」


『それの名前は試作型アダマントソードだ』


「・・・魔剣ラグナロクだ!」


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