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黎明を灯す光 ~神に至るまでの軌跡~  作者: Mr.Z


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238.神と首脳

 定期的にある連合の会議。今回は初めて先進国のトップが全員が集まった。その中でも肩身が狭い思いをしている日本の首相と防衛大臣と防衛省のお偉方の3人は、端っこにこじんまりと座っている。


 初めて自国が襲われてから会議に参加するその危機感の無さに、誰もが呆れて声すら掛けていなかった。可哀想とは思わない。ただオレが入隊してから首相、総理大臣が変わっていたらしく、初めて見る顔だった。興味がないから名前を聞く真似なんてしないけど。


 オレはどうしているかというと、司会兼進行役のガブリエル大統領の隣に座り、良く分からない話に時々頷くだけのが仕事。オメガ関連の話なら分かるけど、GDPとか言われても分からん。


「既にオメガを生み出す3体『クイーン』の内、2体の討伐に成功している。成し遂げたのはルシファーだが、その彼から注意喚起がある」


 あ、そこオレに振るのね。予めガブリエル大統領には今後のオメガの傾向についていくつか注意して欲しい事を伝えていたが、どうやらオレの口から話して欲しい様だ。


「1体目のクイーン討伐まで、オメガは正面から勝負を仕掛ける事しかしてこなかった。策を講じてこなかった訳ではないが、極めて単調なものだった。だが、2体目のクイーンは囮、陽動、間接的な攻撃を仕掛けてきた。コマンダー、月面の映像を」


 コマンダーに頼み、ホログラムで月の映像を出してもらう。そこには黒く侵食された月があった。既に隕石が衝突して出来たクレーターの様に除去したが、これはもしオレがそうしなかった場合のもの。


「クイーンは自身とオメガの中でも最強クラスのサタン4体と共に月の裏に侵入した。すぐに討伐はしたが、月には過去に現れたオメガの改良種と思わしきものがいた」


 要領の良いコマンダーは何も言われずともそのオメガの情報を映し出してくれる。


「コイツの体液は物質の分子構造を崩壊させる。今回のクイーンは自身とサタンを囮にし、月そのものをこのオメガで破壊する事が目的だったんだ」


「オメガの最高戦力をぶつけて君を倒すのではなく、あくまで足止めをしつつ月を破壊するのが目的だったと?」


 ドイツのヨハネス大統領が問う。


「そうだ。オメガは既にオレを殺せない事を理解している。だからこそ、月を破壊する事で地球を間接的に生物が住めない星にしようとした可能性が高い」


「わお・・・でもどうして地球を破壊するんだい? オメガの目的ってオリハルコンと世界樹じゃないのかい?」


「・・・憶測になるが、地球を破壊する事で戦力を削ごうとしたのだろう。アールヴヘイムにはオートマタの無人兵器であるソルジャーが使えない。自然との調和を第一とするアールヴがそれを許さないからだ。だからこそ、地球を破壊し、人間さえ消してしまえばアールヴだけの相手をすればいいと考えたのかもしれない」


「オメガってそこまで頭が回るんだね・・・」


 オリハルコンの事はあえて何も言わなかった。日本にはオレが漆葉啓司だという事を打ち明けるつもりは無いからだ。それを察したヨハネス大統領は追及する事は無かった。おちゃらけた雰囲気の人だが、大統領になるぐらいには頭がキレる。オレの意図を察してくれたのだろう。


 それと頭が回るのはオメガというよりもクイーンが、だろう。全てのオメガは生みの親であるクイーンの命令の元でしか動いていないのがオレの考えだ。だから1体目のクイーンを倒した後、2体目のクイーンは様子見の為にちょこちょこと襲撃してきたのだろう。


 クイーン間での引継ぎが上手くいっていなかったせいで、敵の事を自分で確認する必要があったのかもしれない。その上で改良種という考えに至った。そうなると、3体目のクイーンも一筋縄でいかないはず。


「イモータルボーイ。本当にクイーンという指揮系統が変わる事でオメガの動きに変化があるのか?」


 今まで沈黙を貫いていたフランスのサミュエル大統領が口を開いた。この考えに疑問を抱くのも無理はないが、オレは確信している。ほぼだけど。


「現に2体目のクイーンは今まで襲われていなかった日本を襲撃している。1体目のクイーンはひたすら人口が多い国、もしくは重要な国をメインに襲っていた為、日本が襲われる事は無かった」


「確かに・・・。2体目になってから初めて襲われた国は日本だけではない」


「それに植物型のオメガも初めて現れた。同時に他のオメガをゾンビにするオメガなんて、1体目のクイーンからは考えられなかった方向性だ」


「なるほど・・・流石だ。やはり一番参考にすべきは現地の意見だな」


 納得してくれたのか、サミュエル大統領は頷いてそれ以上何も言わなかった。一応褒められたのかな?


「そして肝心な事は、3体目のクイーンの傾向はまだ何も分からないって事だ。後手に回ってしまう現状、各国には常時警戒態勢でいる事と国民に避難経路の周知徹底を頼みたい。かつてアメリカの大規模襲撃の際には、オートマタのレーダーを欺く為のオメガを生み出してきたと聞く。もしかしたら近しい作戦を講じてくる可能性があるからな」


 その言葉に各国の首脳が緊張感を持った面持ちで頷いた。まだまだ安全になったとは言えない。オメガを絶滅させるまでは――


 ――なんか途中からオレがずっと喋っちゃったな。オレこんなキャラじゃないんだけど・・・。


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