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黎明を灯す光 ~神に至る道~  作者: Mr.Z


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022.香港襲撃

 香港に初めて踏み入れたオレは、そこが近未来的な都市である事に驚く。


 不思議な形の高層ビルが多いんだなと感想を抱きつつ、『旺角(おうかく)』と呼ばれる繁華街にある、大きな交差点で防衛網を築く。渋滞している車両を全て退け、スペースを確保するのにかなりの時間が取られた。


「試作型ソルジャーが投下される。交差点の中心部から離れろ」


 通信装置を使い、隊員達に通達する。高層ビルに囲まれた交差点の真ん中に、光の柱が空から降ってくる。中からおよそ高さ4メートル程の黒い機械兵が4機、姿を現す。


 見た目はごついロボットといった感じで、頭から腰まで四角い寸胴鍋の様にくびれのないボディ。四角いバケツでも被っているみたいだ。


 頭と思わしき場所にはコマンダーと同じ赤い光を放つ目がある。オートマタってこの赤目のデザイン好きだな。


 ボディの側面からは腕ではなく巨大な二門の砲塔が取り付けられており、両腕で計4つの砲塔が威圧感を放っている。見た目は強そうだが、その性能はどうだか。


 試作型ソルジャー4機は、それぞれ十字の交差点の各方向を守る様に分かれる。


 オレ達第一中隊の役割は敵の殲滅。住民の避難は第十中隊に任せ、戦闘に専念する事にしたのだ。それぞれの試作型ソルジャーの前方にパルスシールドを展開して隊員達を25人配置する。東西南北、全ての方向を合わせて100人だ。


 残りの100人は、10人10組の小隊を編成した上で付近の建物の屋上に配備する。索敵と上からの射撃が目的。


 また、今回はトウテツを歩兵、ベヒーモスを試作型ソルジャー、クトゥルフはオレが持つレーザーライフルで排除するつもりだ。


 レーザーライフル。その名の通り、凝縮された光を照射して敵を焼き殺す武器。質量を持たないレーザーは、サイコキネシスに防がれないという仮説の基、新たに設計された試作品。


 ただし、ブラックホールはその超重力によって光をも捻じ曲げる為、クトゥルフがブラックホールを生み出す前に使う必要がある。


「総員、その場で待機。間もなく卵型ポッドの着弾時刻だ」


 スーツに内臓されている左腕の端末ユニットで時間を確認すると、コマンダーが計算した時刻まで残り30秒といったところ。刻一刻と迫る『その時』までの時間が、やたらと長く感じる。


 すると屋上に配備した部隊から通信が入る。


「ポッドを確認! こちらに飛んでくる数、4つです!」


 ポッドの数は10個と予測されている内の4つがこちらに飛来している。オレ達の中隊で4割の敵を抑えなければいけないその状況に、運が悪いと愚痴を言いたくなる。


「総員警戒態勢! 絶対に気を抜くなよ! 油断した奴から死ぬぞ!」


 中隊長として、隊員達への命令と鼓舞を忘れない。・・・鼓舞はしていないか。ただ気を引き締めさせただけだ。


 隕石の様に迫りくるポッドが落下した直後、鼓膜を激しく震わせる轟音が響き渡る。交差点の北側、東側、西側の道に卵型ポッドが1つずつ落下し、4つ目は南側にある3つの高層ビルを巻き込む様に突き刺さっていた。


 ビルがクッション代わりになっているのだろう。そのポッドを見ると、改めてその巨大さに驚かされる。周りにある高層ビルと同等の幅がある。そんなものが4つも落ちてきたのだ。


 最悪だと悪態をつきたいが、そうも言ってられない。既に北、東、西にある3つの巨大な卵の殻が割れ、中から大量のトウテツが出てきているのだから。南側のポッドが割れていないのを確認してからすぐに指示を出す。


「射撃開始! 奴らを近付けるな! 南側はそのまま待機! ポッドに動きがあれば各自の判断で射撃を許可する!」


 隊員達が一斉に射撃を始める。鼓膜が痛くなるほどの銃声の嵐で、トウテツを一方的に蹂躙していく。そんな中、北側と東側にベヒーモスが2体ずつ、西側にクトゥルフが3体確認される。ベヒーモスを視認した瞬間、試作型ソルジャーが動く。


 4つの砲門をベヒーモスに向け、ライフルよりも鈍い音を響かせながら砲弾を発射する。それは一発も外す事なくベヒーモスの頭部を連続で撃ち抜く。固い外皮に銃弾が弾かれると思ったが、搭載されている弾丸が榴弾なのか、着弾と同時に爆発してベヒーモスの外皮を剝がしていく。最後に頭部を吹き飛ばしてその命を刈り取る。あっという間に4体いたベヒーモスを殲滅する。


「へぇ、意外とやるじゃん」


 オートマタの技術力に関心しつつ、オレは自分の仕事をする為にクトゥルフに向かって新しい武器の銃口を向ける。レーザーライフルの射撃は少し特殊で、引き金を2秒ほど引く事で光を凝縮、つまりチャージし、引き金を離す事でレーザーが射出される。


 オレは説明通りに引き金を引くとキュイーンと男心をくすぐるチャージ音が響く。2秒それを続けた後、クトゥルフに照準を合わせて引き金を離す。バシュンッという音と共に閃光が走る。再びクトゥルフに視線を向けると、その脳みそには焼け焦げた風穴が出来ていた。絶命したクトゥルフが地面に落ちる。


 この銃・・・最高だ!


 オレはそのまま残り2体のクトゥルフも同様に撃ち抜く。1体目は脳のど真ん中を、2体目と3体目はそれぞれ左右の脳を撃って仕留める。クトゥルフの検体を持ち帰る為に。これでコマンダーにネチネチ言われいているクーナさんを助けられる。


 こうして南側以外の制圧に成功する。南側は相変わらずポッドに動きがなく、地上部隊は警戒態勢のまま待機していた。


「別動隊、そちらの状況は?」


 もしポッドが突き刺さっているビルの内部をオメガが移動していたら? その可能性もある為、屋上に配備した別動隊に連絡するも、返事はなかった。


「おい、応答しろ。聞こえないのか?」


 返事が返ってくる事はない。瞬間、背中から冷や汗が噴き出す。


 嫌な予感がする――。


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