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黎明を灯す光 ~神に至る道~  作者: Mr.Z


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021.試作型ソルジャー

 新たな適合者達。最初の1万人の内、9千人は死亡。残り千人となった為、新たに召集され補充された新人。


 それらが訓練兵を卒業し、二等兵になったのだ。そんなヒヨッ子で編成された新しい中隊。その顔ぶれはまさしく、戦場を知らない200人のアホ面だった。と言ってもオレも数か月早く訓練兵を脱しただけであまり変わらないかもしれないけど。ピヨピヨ。


 中隊長になった今、この連中の訓練を見る必要があるのだが、はっきり言って歳が下だという事でかなり舐められている。


「これより体力訓練を行い、その後戦闘訓練を始める。全員、装備を持って走り込みの準備を」


 訓練内容はオレが受けたものと変わらないので、前の中隊長と同じ様に指示を出してみるも、隊員達はテキパキとは動かず、ゆっくりと装備を背負う。お喋りしている連中もいるらしく、そいつらの声が耳に届く。


「うちの隊長小さくて可愛くない?」

「家に帰りたい」

「何であんなガキが隊長なんだよ」


 ダルっ。なんだこいつら。


 そう思ってしまうも彼らは彼らで色々の悩みがあり、そして真実を知らないから呑気でいられるのだ。とパワハラを怖がる大人みたいに考えてみるが、もう我慢の限界だ。数人同郷の日本人がいるのを確認できたが、もはや日本人同士だからと仲良しこよしするつもりはない。


 オレは実銃のハンドガンをホルスターから抜き、そいつらの足元に向かって射撃する。


 ダンダンッ――


 2発の銃声が鳴り響く。そのおかげか、もはやその場でお喋りしている人間も、だらだらと動く人間は一人もいなくなった。


 訓練に励め、そうすれば生き残れるかもしれないんだから・・・。


 オレが近寄りがたいサイコパス子供隊長と呼ばれる様になってから2週間が経過した。そろそろオメガが攻めてくる頃ではないだろうかと予測すると、予感的中とばかりに警告音が鳴り響く。


『香港にオメガを確認。第一中隊から第十中隊は出撃準備をして下さい。繰り返します。香港に――』


 それも初めての地球での任務。とはいえ市街地という事は空爆は期待できそうにない。それも都市部ともなれば調和魔法による制圧も厳しいだろう。そもそもアールヴは今回の作戦に参加するのだろうか。


 情報が届くまでは何も分からない為、とりあえず準備を始める。アールヴに行った時の装備とは異なり、オレ専用の仕様になっていた。


 ピタッとした紺色のスーツから真っ黒のスーツになった。肩や肘、膝には同様にプロテクターが付いているが、それも白から黒になっている。腰には予備のナイフとマガジンを入れる為のポーチが付いている。


 ヘルメットはなくなり、変わりに額から顎下まで顔全体を覆う黒いマスクが支給された。それをオレの顔に張り付けると、クリアな視界が確保される。留め具のないマスクを顔に張り付けるだけで、宇宙空間でも呼吸が出来るし、何かが飛来して頭部に当たりそうになったとしても自動でシールドを展開して防御する優れものだ。ただ、周りからは黒いのっぺらぼうにしか見えない模様。


 ただこれを付けるとどこを見ているのか、どんな表情をしているのか分からなくなる為、威圧感が増す。そのおかげで、訓練中にこれを付けていると、隊員達はみな従順になるのだ。子供隊長舐めんな。


 そして最後に新たな武器、レーザーライフルを手にし、オレ達第一中隊は5機の輸送船に乗り、香港に向かう。道中で敵の情報が伝達される。


『司令部より通達。現時点でオメガは香港には到達しておりません。しかし、15分後に輸送型クラーケンが発射した卵型輸送ポッドが都市部に着弾する予定です。予測されるオメガの数は、斥候型のトウテツ1万、戦車型のベヒーモス15、異能型のクトゥルフ10です。また、今までの傾向により新型オメガが現れる可能性が非常に高いと予測されています。今回の作戦は敵の殲滅になりますが、まだ避難できていない住民が多数いる為、非常に厳しい戦況になる事が予測されます。全隊員は住民の安全を確保しながら戦闘を行って下さい』


 新しく司令部に入ったのか、それは聞き慣れない女性の声だった。その新人さんが伝えてくれた内容から、敵の数は今までの戦場に比べて最も少ない事が分かった。一方で、それ以上のハンデが今回の戦いにはある。


 国民が多い中国では、避難時に大混乱が起こる可能性があるのは前々から言われていた。それは東京等の都市でも同じ事が言えるが、実際住民を守りながら戦う余裕なんて果たしてあるのだろうか? 今までの戦闘を顧みても、自分達の身すらまともに守れない状況が多いのに。


『また、今回はオートマタが開発した無人兵器、試作型ソルジャーが作戦に参加する予定です。戦闘の際には、ソルジャーを有効活用して下さい』


 オートマタのソルジャー。それは人型無人兵器というのが適切だろう。要は武装したロボットだ。元々、オートマタはその無人兵器を使ってオメガと戦い続けていたが、資源が枯渇寸前という問題に直面したせいで出し渋っていた。


 ただ試作型という事は、アダマンタイトで出来たソルジャーではなく、地球上の原子を用いたものが今回実戦に送り込まれるのだろう。その強さは未知数だ。オートマタが新たな合金でも生み出して最強の兵器であるのを願うばかりだ。試験運用段階の兵器の為、実戦で使えるかはまだ分からない。


 そんな事も知らずに安心しきっている隊員達を横目に、オレは一人心の中で祈る。


 ――今回の任務こそ、大勢の死者が出ない様に、と。


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