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黎明を灯す光 ~神に至るまでの軌跡~  作者: Mr.Z


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219.平穏

 クイーン討伐成功の報せ。それは地球とアールヴに大々的に告知された。オメガの脅威が去った訳ではないが、勝利の兆しが見えたのは確かだ。


 全国でお祭り騒ぎになっている最中、オレはアメリカの遥か上空にある母艦、その甲板でアニーと一緒に昼寝をしている。ふざけている訳ではなく、世界を消滅させる究極魔法『失楽園』を使ってから体がダルいのだ。その為、日の光を浴びながら昼寝をして充電しているって訳。


 アニーがいるのは本人たっての希望があったから。ホントは宇宙で眠りたかったけど、彼女が一緒に寝たいというので急遽甲板に毛布を敷いてお昼寝をする事にしたのだ。


 この体に睡眠は必要ないと思っていたけど、眠りにつこうと思えば眠る事が出来る。特に意味はないけど、みんなが寝ている間は暇だからオレも基本一緒に寝ている。それに元々アニー程ではないけど寝るのは嫌いじゃない。


 ガブリエル大統領から勝利の凱旋パレードをするから参加して欲しいと連絡があったが、それはルカに託した。変身の能力で今頃オレの姿になっている事だろう。ちなみにルカの代わりは背丈が似ていた一般兵にバイザーとウィッグを付けさせて対応させている。


 ホワイトハウスの周りを1周してから帰るだけだが、今のオレにはそれすらも面倒と感じてしまう程疲れている。この体になってから初めて疲労を感じるが、それもまた生きている実感が湧いて悪くない。


「ん~・・・猫の手プニュ~・・・」


 一体どんな夢を見ているのか分からないけど、オレに背中を向けて寝ている彼女を後ろから抱き締める。温かくて柔らかくて気持ち良い。彼女もオレの体温を感じているのか、無意識に体を押し付けてくる。


「んふー・・・」


 そして満足そうに息を漏らしては深い眠りに中を彷徨う。


 ――か、可愛い・・・。


 眠っているのに可愛いなんてもはや反則だ。スヤスヤと眠る彼女の手や髪を触ったりしていたら、気が付けば日が暮れる時間になっていた。


 日差しがなければエネルギー効率も下がるし、中に戻るとしよう。未だに目覚める気配を見せない彼女を抱き上げ、自室にテレポートして起こさない様にベッドに降ろしてあげる。


 朝から夕方まで日に当たっていたおかげで大分体のダルさが取れた。『失楽園』を使うのは無理だけど、アイン・ソフ・オウルぐらいなら使えるだろう。


 みんなもそろそろ戻ってくる事だろうと思っていたら、部屋の外で気配を感じた。ちょうど終わって戻ってきたみたいだ。


「おかえり」


 戻ってきた彼女達を出迎えるが、昨日の激戦の疲れが残っていたらしく、みんなお疲れの様子。


「つ、疲れたッス・・・」


「思っていたよりも大変だったであります・・・」


「鍛錬不足・・・」


 肉体的にも、精神的にも疲れているのだろう。それにずっと笑顔を振りまいていたのか、表情筋も強張っている。


「やっぱりこういうのは慣れないねぇ。アタシも坊やと一緒にサボればよかったよ」


「ケイジ様はサボったのではありません。あんなサイズのオメガと一人で戦われたのですから。疲れて当然です!」


 イザベラも肩が凝ったのか、自分で揉みながら首を回している。精神的な疲労は取れないが、肉体的な疲労なら何とか出来る。そう思って生命魔法で彼女達を癒してあげる。


「調和魔法や精霊魔法よりも便利だな・・・。私も生命魔法が使いたいぞ」


「ハハハ。セフィロトに乗り換えるって言ったら、ユグドラシル拗ねちゃいますよ」


「むぅ・・・だが戦うしか能がない女と思われるのは嫌だな・・・」


 唇を尖らせる彼女を、オレはそっと抱き締めた。


「クーナさんがいなかったら、オレ軽く後3回ぐらい死んでますよ」


 戦場で彼女に救われた回数は数え切れない。純粋な戦闘の技術で彼女に勝る存在はいないのだから。オレはオメガ因子の暴力で叩き潰しているだけだし。


「命の恩人のクーナさんを戦うしか能がない女なんて思わないですよ」


「そ、そうか。確かに、調和魔法がなければケイジを助けられない場面はいくつかあったからな」


 フンスと鼻息を漏らす彼女。こういった仕草が年長なのに子供っぽくて可愛い。好き。


 そのまま彼女達は一緒にお風呂に入りに行ってしまい、オレは部屋の隅にいたルカに声を掛ける。


「ごめんな。面倒な役押し付けちゃって」


 凱旋パレードでオレの姿で代わりを務めてくれたルカ。自身も疲れているのに快く引き受けてくれたのはありがたいが、無理していないか心配だ。


「いえ! お兄さんがクイーンと戦っている時、僕達は見守る事しか出来ませんでしたから・・・」


 まあ、ルカ達がいくら強かったとしても、宇宙空間で戦うのは無理だろう。それも引力すら発生させる質量と体積を持ったクイーンとの戦いとなると尚更厳しい。


「さすがにあのサイズのオメガと戦える人間なんていないから気にする必要はないさ」


 オレ一人で戦った事を気にしているルカの頭を撫でてやる。適材適所と言ってやりたいところだけど、多分ルカが求めているのはそんな言葉じゃない。そもそも言葉は求めていないだろう。


「なあ、みんな風呂から上がったらすぐ寝るだろうし、ルカの部屋に行かないか? 2人で」


「っ・・・はい」


 そう、言葉なんていらない。ルカも無言で女体に変身しているし、ヤる気満々だろう。超回復持ちのルカは、みんなと違って疲労をある程度軽減できる。つまり、みんなほど疲れている訳ではないのだ。となるとヤる事なんて1つだ。


「どっちが先にヘバるか勝負だな」


「お兄さんの体力には誰も勝てませんよ・・・」


 まあ、夜は長い。存分に楽しむとしよう。


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