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黎明を灯す光 ~神に至るまでの軌跡~  作者: Mr.Z


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213.開戦

 輸送船でオメガのアジトへと足を運んだオレ達は、そのまま地表へと着陸していく。ハッチが開くと同時に熱気が輸送船内に入り込むが、各々の防具に熱対策をしている為、誰も苦しむ事はない。


 輸送船から降りると、船は自動的に離陸して帰還する。帰りは転送装置を使うから問題ない。それよりも、オレ達が地表に姿を現した事に働きアリみたいなオメガが動揺しているのが見て取れた。


 サソリに似た足をした四足歩行。ケンタウロスみたいに上半身が生えているが、それは首がない人間の上半身に非常に近しい見た目をしている。色は岩の様に灰色で、鎖骨の辺りに黒い目があり、肩から太い腕が2本、腹部に細い腕が2本ある。それぞれ力仕事用と細かい仕事用といったところか。


 その見た目から戦闘力はあまりなさそうだ。だが、オレ達の姿を見てから作業の手を止めて襲い掛かってきた。


「迎撃開始」


 最前列にいた一般兵が射撃を開始すると、やはり戦闘用のオメガではないせいか、あっさりと絶命してしまう。勝てないと悟ってか、惑星のあちこちに空いている穴の中へと逃げていく。


「呆気ないな・・・」


 これならトウテツの方がまだ強いんじゃないかと思ったその時、雑用オメガと入れ替わる様にトウテツやらバエルがわらわらと出てきた。始めから透明状態を解除し、暴走した状態で見るのは初めてだ。それだけ本気という事だろう。


 射撃で倒したいところだが、無数に空いた穴から出てきたせいであっという間に囲まれてしまい、誤射を気にして無闇に銃を撃てない状況になってしまった。


 そんな時はオレの出番だ。すぐに上空に飛び立ち、セフィロトを抜きつつ、翼を広げて詠唱を始める。


「生命を司りし世界樹セフィロトよ。無限に光り輝く命の灯をもって、敵を打ち払え! 『アイン・ソフ・オウル』ッ!」


 黄金に光り輝く魔方陣が展開され、光の矢がトウテツとバエルを貫いて殲滅していく。完全詠唱をすれば、その分威力が上がる。数万の敵に対して使うには過剰だが、今回は穴を塞ぐ目的もあるからだ。


 光の矢が穴の内部で爆発し、穴を塞いで増援が現れるのを防ぐのに成功する。全てを塞いでしまっては意味がないので、囲まれない様に周囲と背後の穴のみを塞ぐ。


 敵の数はおよそ数万。前に観測した時の10分の1程度の数がいない辺り、まだ温存しているはず。一般兵を下げつつ、左右に展開させる。前後2列になり、前の人間はしゃがみ、後ろが立った状態の二段構えで待機。


 ガサガサ――


 予想通り、塞いでいない穴から再びトウテツとバエルが。その他にも初めて目にする戦車型のオメガも出てきたではないか。ここに来て新型が現れるとは。とは言っても鱗が青く、翼のないだけのドラゴンだ。赤く、翼のあるドラゴン『ヴォーティガン』の下位互換かと思ったが、巨大な穴からどんどんそいつが現れる。


 どうやら数で勝負を仕掛けてくるドラゴンみたいだ。土煙をあげながら、トウテツを踏み潰すのも気にせずに突進してくるその姿に一般兵が恐怖して銃を乱射するが、銃弾が弾かれてしまう。一般兵の装備だと倒すのは不可能だろう。


「射撃やめ。重装兵、構え」


 そんな時はイザベラ達の出番だ。彼らの装備も日に日に改良されて威力が増している。あんなドラゴンもどきなんて余裕だろう。


「ぶちかましてやれ」


「任せておきな!」


 嬉々としてバトルライフルを連射するイザベラ。それに続く重装兵4人。一般兵数千人の射撃ではものともしなかったドラゴンもどきが、イザベラ達5人によって蹂躙される。鱗を貫通した弾丸が、体内で爆発して一度の射撃でバラバラになる光景に、目を奪われている一般兵。


「一般兵は生き残っているトウテツの対処を。マキナ、機械兵はバエルを殲滅しろ」


「りょーうかい」


 命令に忠実な機械兵部隊『デウスエクス』。そのリーダーであるマキナ(美少女)達がバエルを正確に撃ち抜いていく。ちなみにマキナの姿を真似てボディを美少女にする連中が一部現れたのは予想外だった。それは後日からかうとして、遅れて一般兵がトウテツの射撃を開始する。


 正直、オレ一人で対処出来る状況だが、みんなで勝ち取った勝利でないと意味がない。この戦いは人類の希望となり、オメガとの戦いの歴史として後世に残す必要があるのだから。その為にも上空を飛んでいるステルスドローンで録画しているのだ。


 ドローンが30機ほど上空を飛び回っている。目視は出来ないが、そこにあるのは感じ取れる。その映像を生配信する話も浮上したが、R指定な光景が映る可能性が高いので、とりあえず録画だけにしておいた。配信は編集した上で後日公開予定。


 重装兵によって爆散していくドラゴンもどき、そして手も足も出せずに撃ち抜かれていくトウテツとバエル。順調に進んでいる中、穴の一つから大量の空中を遊泳出来る魚型オメガのメジェドが現れた。


 その数と密度から巨大な龍が現れたと錯覚してしまいそうになるが、それが龍の形状を保ったまま一般兵に襲い掛かる。


 一般兵は広く展開している為、ミカエラのサイコキネシスでは守り切れないだろう。オレなら守れるだろうが、ここは一度スルーする。見捨てたり、見殺しにする訳ではない。理由ならちゃんとある。


 そのまま黒い巨大な一本の影が、数十人の一般兵を襲っては戦線を離脱していく。そこに残ったのは肉を食い千切られた一般兵の姿。それなりの血を流しながら倒れ、傷口を押さえては泣き喚いている。


 簡単な勝利では意味がないのだ。彼らには申し訳ないが、ある程度の苦戦を『演じる』必要がある。


 ルシファーに依存するだけの弱い人類のままではダメなのだ。


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