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黎明を灯す光 ~神に至るまでの軌跡~  作者: Mr.Z


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208.消えた英雄

 アメリカで騎士団が公開された映像。いくつもの動画サイトでアップロードされた動画を見て、私はただ心配する事しか出来なかった。英語で何を言っているのか分からない為、日本語字幕を付けて再生しているが、ガブリエル大統領はお兄がどうなったのか詳しく説明せずにはぐらかしている。休んでいると言っているが、お兄は家に帰ってきていない。


「お兄、大丈夫なのかな・・・」


 表舞台から姿を消してしまったお兄がどうなったのか、美奈が帰ってきたら問いただそうと思っている。まあ、今日帰ってくるんだけど。


 ピンポーン――


 ちょうどウチに着いた様だ。出迎えると、一輝と凛の姿もあった。いつもの面子がいつもの様に勢揃いする。


「お邪魔しまーす!」


 休日なので、パパもママもいるから一緒に話を聞こうと美奈達を迎え入れ、お兄の事を聞いてみる。


「ん~私も詳しくは知らないんだけど、元気だよ? たまぁに食堂で見掛けるし。前線には出てないみたいだけどね~。多分、新しく団長になったヒンメル騎士団長の訓練の為じゃないかな?」


「あ、そうなんだ」


 どうやら無事みたい。けど前線から退いたって事は、怪我をしたんじゃないだろうか? それもそれで心配だけど、とりあえず元気ならそれでいい。パパとママも安心したのか、胸を撫で下ろしていた。


「私も美奈に聞きたいんだけど」


「リンリンが珍しいね? どったの?」


「ルシファー様に会った事ある?」


 凛の推しのルシファー。突如として現れた救世の天使の情報はネット上でも少なく、その正体は謎に包まれている。


 鬼気迫る勢いで美奈に詰め寄る凛だが、美奈は静かに否定した。


「会うどころか見た事すらないよ? 軍人の中だと騎士団ぐらいしか話した事ないと思う。軍事基地にいないから普段どこにいるかも分からないし、私みたいな戦場に行かない後方支援部隊だと実物を見る機会なんてそもそもないんだよね~」


「そんな・・・私のルシファー様・・・」


 別に凛のルシファーじゃない。私もその正体が気になるが、知ったところで何をする訳でもないし、気にするだけ時間の無駄だ。まあ、凛みたいに推している人は気になるだろうけど。


 お兄が無事だという事が分かっただけでも良かった。でも、3年以上家に帰る事もなく、ずっと戦い続けているのは肉体的にも精神的にも辛いはず。帰ってきた時は盛大にもてなしてあげないと。


「あ、そういえば、前言った事覚えてる?」


「前言った事?」


 美奈が突然そんな事を言うが、どの事を言っているのか見当もつかない。


「ほら、騎士団が美女ばかりでお兄さんがハーレム状態だって話」


「あ、うん。何となく覚えてるけど・・・」


「あれって噂じゃなくて本当だったの! この前珍しく食堂に騎士団全員で来たと思ったら皆お兄さんにメロメロでビックリしちゃった!」


「ふーん・・・」


 こっちが家族全員で心配している中、お兄は女の人と遊ぶので忙しかったと? 帰ってきたら出迎えてあげようと思ってたけど、殴り殺してやろうか?


「軍人になったらそんなにモテるのか・・・?」


 一輝がふと呟くが、美奈が鋭い眼光で睨み付ける。


「一輝には関係ないでしょ?」


「あ、当たり前だろ!? 俺には美奈がいるから!」


 弁明する一輝だが、今の一言はアウトだ。美奈の機嫌は一気に最下層まで墜落してしまった。


「でも、それって仕方がないんじゃない?」


「どうしてそう思うの? リンリン」


「お兄さんって最前線で戦ってたんでしょ? 守ってもらったり、一緒に戦ってたら惚れてもおかしくないと思って」


 確かに・・・。強くて頼りになるというだけで格好いいと思ってしまうのも無理はない。映像でしか見てないけど、お兄があんなにイケメンになると思っていなかったし、その上強いとなると女性に言い寄られても仕方がないとは思ってしまう。


 一方で、こっちがどれだけ心配しているのか理解して欲しいという思いもある訳で。ハーレムで忙しくしているぐらいだったら、一度でもいいから帰ればいいのに・・・。


「確かに、後方支援部隊の子達は皆お兄さんに感謝してるし、惚れてる子もいるからね~。あ、でも騎士団以外の人とは女性関係は一切ないみたい。一人だけ怪しいのがいるけど、あの子は多分普通じゃないから分っかんないんだよな~」


「・・・最低限の節操はあるんだね。その怪しい人はどんな人なの?」


 本当に最低限かもしれないけど。ただ、その怪しい人次第だろう。


「えっとね・・・もの凄く口が悪い黒髪ロングのロリっ子なんだよね・・・その子」


「・・・え?」


 聞き間違えた? 軍の中にロリっ子、っているか子供がいるの?


「いや、ロリっ子っていうか、見た目は中学生ぐらいの女の子なんだけど・・・大人もペコペコしてるから階級は高い、と思う・・・。正直あの子の事は良く分からないんだよね・・・」


 そんな子とも関係を持っているとしたら、軽蔑しそう・・・。


 今頃、お兄はどこで何をしているのだろうか・・・? ・・・どうせ日本食が恋しくなって、食べ物の事しか考えてないんだろうけど。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ぶぇっくし! この体でもくしゃみは出るんだな・・・」


 宇宙で翼を広げて日光浴していたら、不意にくしゃみが出てきた。風邪はひかないと思うけど、この体特有の症状とかあるかもしれないから気を付けないと。


 それかもしかして、オレの噂をしている人がいるとか? ・・・いや、いないか。オレが表舞台から姿を消して半年以上経つし。家族もオレの事を忘れて、今頃寿司でも食べているかもしれない。


 ――ああ・・・また寿司食べたくなってきた。カツ丼でも蕎麦でもいいけど、和食が食べたい・・・。


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