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黎明を灯す光 ~神に至るまでの軌跡~  作者: Mr.Z


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188.恒例行事

 あの女性記者からの質問が終わると、他にもいくつか質問が飛び交う。生産性のある内容でありますようにと願いながら真面目そうな人を指名する。


「そちらの方どうぞ」


「オメガとの戦いを録画されたものがネットに公開されておりますが、ご存知でしょうか?」


「一部だけなら」


 全部は知らん。それにオレはネットサーフィンする程暇ではない。主にうちの天使達の相手で忙しいだけだけど。


「その中で複数の方が銃ではなく剣や斧で戦う姿が見受けられましたが、何故銃を使わないのでしょうか? 先日のマイアミでの巨大なオメガとの戦いでも、ウルシハ騎士団長は剣で戦っていましたが、特別な理由が?」


 斧で戦ってたのはマキナ達機械兵だろう。ってなるとロシアのモスクワでの戦闘も盗撮されたのか。まあ、この件をコマンダーが知らない訳がない。何も講じていないという事は、ガブリエル大統領も黙認しているのだろう。


「銃が有効でない巨大なオメガも多数いるので、近接戦闘をするケースもあります。それに混戦になれば味方への誤射、外した際は民間人や建物に被害が及ぶ可能性がある、といった理由になります。付け加えるとしたら、銃弾もただではありません。皆様の血税によって賄われております。なのでなるべく節約できる様に心掛けるのは当然ではないでしょうか?」


 オレが最後に銃を握ったがいつだったか覚えていないけど。それにしても中々良い返しが出来たんじゃないだろうか? ルシファーになってから頭の回転も早くなった気がする。


 自画自賛していると、満足したのか記者は礼を言って着席した。オレも満足したから帰りたいよ。だがそうも言っていられない。さっきのあの女性記者が許可も出していないのに立ち上がったからだ。


「そんな原始的な武器を使っているから殉職者が後を絶たないのではないでしょうか! その様な戦い方を強要している事にどう責任を取るつもりですか!?」


 ・・・何を言ってんの? あまりにもバカげた質問に唖然としていると、ガブリエル大統領にジェスチャーで早く答えろと合図を送られる。何を応えればいいんだ・・・。


「えー・・・別に何も責任を取るつもりはないです」


「・・・はい?」


 デジャヴ。呆れて物も言えないが、優しく答えてあげないと、きっと理解出来ないのだろう。


「そもそも近接戦闘は強要していませんし、近接戦闘を好んでするのは我々騎士団と他の特殊部隊のみです。そして両者からはまだほとんど犠牲者は出ておりません」


 騎士団の死者はゼロ。機械兵の犠牲も数人程度だったはずだが、おれはそこまで言ってからある事を思い出した。


 ――マキナのやつ・・・死んだのかな・・・?


 胸から下を吹き飛ばされたマキナの事をだ。あいつがどうなったのか確認するのを忘れていた。みんなが無事だったからそれで満足したとはいえ、生死の確認すらしていないのはさすがに残酷か。帰ったらコマンダーに確認してみよう。


 前回の戦いも含めて、機械兵に犠牲者は存在していないはず。機械の体が多少ばらされても、後から手足をくっつければいいだけだし、そもそも人の体と違って出血による死亡もない。マキナもそうだが、脳さえ無事なら死なないのだ。


 そう考えると、機械兵の死者はまだゼロのはず。つまり近接戦闘を好む連中は逆に誰も死んでいないと、真逆の結果が出ているのはオレ自身もビックリだ。


 ちなみに機械兵の事は言わない。非人道的だとか言われたらムカつくし。


 論破した訳ではないが、納得のいく答えを得られなかった女性記者はガタリと音を立てながら勢いよく座った。そのまま会見が終わるまでシットしていて欲しい。が、また良からぬ事が思い付いたのか、再度立ち上がる。


「適合者である貴方は力が強く、丸腰の生身であろうと危険ですが、ガブリエル大統領をはじめとする主要人物、そして我々に危害を加える可能性はあるのではないでしょうか!?」


 ホント、よくもまあ、こんな下らない事を思いつけるなぁ・・・。逆に関心してしまう。


 この質問にも答えなければならないのだろうかと考えるも、ガブリエル大統領からアイコンタクトを送られる。ため息をつきつつ、マイクに口を近付ける。


「もし攻撃されれば反撃はしますが、こちらから手を出す事はないでしょう。それはガブリエル大統領を含め、各国の首脳も理解しています。実際、我々は非常に良好な関係を築いています」


 最近会っていないけどドイツのヨハネス大統領とかフレンドリー過ぎて大統領じゃなくて気さくな近所のおじさんぐらいにしか思っていない。


「それに種の存亡が掛かった戦いをしているのに、そんな事をして誰が得をするのですか? 最後に――」


 再度強く記者を睨みつけて言葉を続ける。


「私はそれ程暇ではありません」


 主にうちの天使達の相手をして忙しいだけだけど。幸せだが、嫌な忙しさではないからいいけど。


 その発言に他の記者がクスクスと笑う中、煽られた女性記者が喚き始めたので、屈強な黒スーツのおじさん達にお願いして退出してもらった。正直最初からこうしておけばよかった。


 その後は特に問題もなく終わったが、後日あの記者がオレが女性差別主義者だとかある事ない事書いた記事を出してガブリエル大統領に制裁されていたのは言うまでもない。便乗してネット上でイキってコメントしていた奴らがコマンダーの標的になったのは、もはや恒例行事と化していた。 


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