↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黎明を灯す光 ~神に至るまでの軌跡~  作者: Mr.Z


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

186/251

183.世界樹セフィロト

 段々と遠慮のない物言いになる悪魔オメガに踵落としをお見舞いし、地面に叩きつける。砂埃が舞い、晴れると何とか立ち上がった悪魔オメガの姿が。たったの2発で満身創痍になったヤツの近くに着地し、腕を組んで考える。


「うーん・・・。悪魔オメガっているのも語呂が悪いし・・・。名前を付けるとしたら・・・」


 悪魔の名前と言ったら・・・ダンテ? いや、コイツにその名前は勿体ない。その名前はもっとスタイリッシュなデビルハンターの方が良く似合う。となると――


「サタンだな」


 ミスターは要らない。ただのサタン。悪魔の名前と言えばその2つぐらいしか知らない。ベリアルとかベルゼバブとかメジャーなところは既に取られているからな。


 でもルシファーとサタンってイコールじゃなかったっけ? 詳しくは知らないけどそうだった様な気が・・・まあ、どうでもいいか。


『くっ。人間風情が勝手に名前など付けるな・・・』


「なら名前はあるのか?」


『我々に名前など必要ない』


「面倒くさいヤツだな・・・」


 そういうところ、ホントにコマンダーにそっくりだ。文句の一つでも言ってやりたいが、アイツと一緒で効かないだろう。


 瀕死でいさせるのも可愛そうだし、止めを刺そうと近付くと、再びサタンは飛んで逃げてしまった。


「ああ、もう! 逃げてばっかりだな!」


 追い掛けようとしたその時、サタンがすぐ上空で止まっている事に気付く。


『貴様は強い。それは認めよう。だが、我々には貴様にない強みがある』


「はいはい。で、その心は?」


『我々の軍勢があれだけだったと?』


 サタンがそう言うと小惑星の陰にでも隠れていたのか、クラーケンが現れて卵型ポッドをいくつも射出する。隠れていたんじゃなくてポータルを通ってワープしてきたのかと考えていると、ポッドが地表に着弾して中からトウテツやベヒーモスの群れがワラワラと出てくる。


 ――全部で10万ぐらいか?


 まるで地平線が迫ってきているかの様な光景に対して、オレはため息をつく。いくら大群であろうと、所詮は雑魚の群れ。面倒だが勝てない訳ではない。


 群れを倒している間にサタンに逃げられるのだけは避けたいので、先に倒してしまおうと考えると、再びユグドラシルの気配を感じた。振り返ると、光り輝く少女の姿が。


「今度は何を教えてくれるんだ?」


『君に預けた世界樹の種が芽生えた』


 ユグドラシルがオレの胸に向かって指を差す。2年程前、ユグドラシルから世界樹の種を渡されていた事を思い出し、胸に手を当てる。すると手はそのまま胸の中に吸い込まれてしまったかと思えば、棒状の何かにぶつかる。それを掴んで引き抜く。


 胸の中から現れたのは、一振りの剣だった。神々しい光を放つ白い長剣。


「これが・・・世界樹・・・?」


 なんか思っていたのと違う・・・。が、それはまるで愛剣の様に手に馴染み、握っている事に一切の違和感を覚えさせない。


『それは生命を司りし世界樹。名はセフィロト』


「セフィロト・・・剣の世界樹、か」


 確かユグドラシルは調和を司っている世界樹だったはず。つまりこちらの世界樹セフィロトの加護を得られれば、生命魔法なるものが使えるのかもしれない。


『今は剣の形をしているが、それは君に合わせて変化しただけだ。役目を終えたその時、それは樹に戻る』


 なら一時的なものなんだな。それがいつ樹に戻るかは分からないが、長い付き合いになる様な気がした。


「この剣でオメガ共を一掃すればいいのか?」


『世界樹の力の一端を見せよう。共に唱えるんだ』


 ユグドラシルが詩を歌う様に詠唱を始める。それに続いてオレも言葉を紡ぐ。


『生命を司りし世界樹セフィロトよ。無限に光り輝く命の灯(ともしび)をもって、敵を打ち払え』


 剣を頭上に掲げて唱えると、オレの背後に巨大な黄金の魔方陣が浮かび上がる。一瞬、精霊魔法を彷彿とさせるが、何かが違う。いや、根本から力の本質が違うと感じる。


 精霊魔法はユグドラシルや自然の力を借りて使う一方、今オレが使っているこの魔法はオリハルコンを吸収して得たエネルギーを、魔方陣を通す事で変換しようとしているのだ。つまり、自然の力を借りているのではなく、全て自分の力だという訳だ。


 セフィロトはその補助をしているだけに過ぎない、と理解したところで、ユグドラシルが最後の言葉を発する。


『アイン・ソフ・オウルッ!』


 『無限の光』という意味を持つその言葉を口にした瞬間、魔方陣から黄金の光の矢が無数に現れ、今しがた地表に降り立ったばかりのオメガを全て貫いていく。それはまるで花火みたいで非常に美しい光景だったが、同じく刹那的でもあった。空中で光の華が咲いたかと思えば、一瞬でオメガの大群が塵へと帰り、光もまた消え失せる。


 死骸の山が出来そうだと思ったが、光の矢に貫かれたオメガは光の粒子となって消滅してしまった。そして光の粒子はそのまま惑星マザーの大地に吸い込まれていく。命が大地へと還元されたのだろう。


 もしかしたら、今は植物一つ生えていない惑星マザーの地に、遠い未来では自然に溢れた美しい惑星になるかもしれない。それこそが『生命魔法』なのだ。


 先程からそうだが、自分が知らない事でも、遠くで起きている事も感じ取れる。悟りを開いた訳ではないが、今の状態だと物事の本質を見抜く事が出来るようだ。


「どこに行くつもりだ?」


 唯一の生き残りであるサタンが再度逃走を図ろうとしている事も手に取るように分かる。その前にテレポートで先回りし、退路を塞いだのだ。


『貴様は・・・貴様は一体何者なんだ!? 先程までは足元にも及ばない雑魚だったというのに! 同胞に化けたかと思えば今度は圧倒的なまでの強さを手にして立ち塞がる! 後はオリハルコンさえ手に入れれば計画は成功していたはずが! 貴様のせいで! 貴様のせいでェエエエエエエエエエエエエッ!』


 ――えぇ・・・めっちゃ怒っとる・・・。その内「キィエェエエエッ」とか言い出しそう。


 とは言え、そもそもアールヴヘイムも惑星マザーもオメガのものではない。無論、オリハルコンもだ。オレが取っちゃったけど。オメガ風情にくれてやるものなんてそこら辺の砂ぐらいしかない。甲子園の土的な。


「人の世界を侵犯しておいて略奪までしようとしてたくせに何言ってんだ・・・」


 オリハルコン取っちゃったけど。コマンダーに何言われるか分からないな。マザーは許してくれるはず。多分・・・。


 憤り、我を忘れたサタン。地上なら地団太を踏んでいそうだ。先程まで強大で絶対的な強者だったにも関わらず、今では小物にしか見えない。


「さてと、遺言はあるか?」


『最後に勝つのは我々だ! 精々今この瞬間だけは勝利の喜びを噛み締めるがいいッ!』


「はいはい。言ってろ」


 剣と化したセフィロトを振るい、サタンを斬る。二度と再生出来ない様、バラバラに。


 こうしてアールヴヘイムと惑星マザーの防衛作戦はあっけなく幕を閉じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。