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黎明を灯す光 ~神に至るまでの軌跡~  作者: Mr.Z


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179/251

176.???型オメガ ???

『グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』


 雄叫びが大穴の内壁に反響して鼓膜が振動する。大穴を脱する為、ヴォーティガンの細胞を複製し、背中からドラゴンの翼を生やして飛行能力を得る。翼には胸に刺さっていたアダマンタイトの剣を使ってコーティングする。


 それを羽ばたかせ、落下の速度を抑えて重力と一瞬均衡するが、すぐさま上方向に移動を開始、重力に逆らって上昇。あっという間に大穴から脱する。


 惑星マザーを照らす多くの恒星から発せられる光のおかげで、自分がどんな姿をしているのか改めて認知する事となった。黒くて鋭利な突起がいくつも手足から生えており、触れただけで相手を傷付ける禍々しい体をしている。


 顔は悪魔オメガと同じ様に長い牙がいくつも生えており、そしてそれ以外は先程まで着ていた衣服のアダマンタイトでいつも付けているマスクを再現されていた。無意識の内にそうしていたのだろうが、顔が覆われていてもしっかりと視界が確保されている。


 その為、眼下に地面に座り込んでいるミカエラを殺めようとしている忌々しい悪魔オメガの姿がはっきりと見えた。


 彼女を助けないとヤツを殺さないと殺せ殺せ助け殺せ殺せ殺せ――


 頭の中で殺意が反芻し、気が付けば悪魔オメガに向かって突っ込んでいた。


「グルァアッ!」


 高速で飛行し、爪で悪魔オメガの体を斬り裂こうと腕を振りかぶる。先程殺したはずの相手が反撃してくるとは思っていなかったのか、無防備なその胸に3本の傷を付ける事に成功した。そのまま通り過ぎて振り返り、ヤツの同行を見据える。


 アダマンタイトの武器では傷すら付けられなかったその強靭な肉体に、初めて傷を付けたのだ。この体であれば、ヤツを殺せると確信する。悪魔オメガもオレを危険視したのか、ミカエラを無視してコチラに視線を向ける。その胸に付いた傷から白い血が少しだけ流れたが、傷は既に再生しており、血は止まっていた。


「ケイジ、なの・・・?」


 声が聞こえたが、オレの頭の中は既に別の事でいっぱいだった。


 先程の一撃、空中で姿勢が崩れたせいで傷が浅くなってしまった。姿勢を制御する為に、それ用の『部位』が必要だ。尾てい骨の上部から、ワニに似た尻尾を生やす。その上部には鱗の様なアダマンタイトのトゲをいくつも生やし、先端は剣の様に鋭く、より攻撃的なものにする。


 これで空中での姿勢制御、新たな攻撃手段を得られ、更にヤツに傷を付けられる方法が増えた事に喜びを感じる。どんなに強くても、傷を付けられるのなら、殺せる。


 尻尾による姿勢制御をしつつ、跳び、飛ぶ。踏み込みによって加速したままヤツに向かって飛び掛かり、再び爪を振りかざすと、穴に落ちない様に横に跳んで躱し、ヤツも翼を羽ばたかせて飛ぼうとする。


 それよりも早く、尻尾を利用して空中で急転回。すぐにヤツの背後に飛び掛かり、翼の付け根を両手で掴んで跳ぶのを阻止する。この悪魔オメガには尻尾がない為、今の様な動きが出来ないから予測も出来なかったのだろう。


 そのまま悪魔オメガの背中に張り付き、首に牙を突き立てる。そのまま肉を削ぎ落したかったが、あまりの硬さに牙が途中で止まってしまった。


 ヤツも抵抗する為に暴れるが、鋭利にした尻尾をその足に突き刺して簡単に振り落とされない様に体を固定する。更に爪を肩に突き刺すが、あまり深くは刺さらない。


 形状が悪いのだろうと、爪の形状を尻尾と同じく刃物の様に細くし、再度突き刺す。今度は深く刺さるが、ヤツが暴れ回るせいで爪が折れてしまった。そのせいでヤツに振り落とされ、距離を取られる。


 おかげで――――と距離が空いた。これで安全だろう。それよりも、もっと戦闘に最適化した進化を遂げなければ。


 爪を細くしなければ刺さらず、細くすれば折れてしまう。最適というものは中々難しいものだな。であれば、次は円錐状に、竜の鉤爪を再現してみる。


 そして足でも掴める様に、踵から鉤爪を生やし、自由に動かす為の関節も付ける。物を使ったり投げたりする訳ではないので、直立の二足歩行である意味もないと、前屈姿勢に体の構造を変形させる。


 戦闘に特化した生物として、より獣に近い見た目になる。今度は振り落とされる事はないだろう。


 時間を掛けても再生されるだけと判断し、変化が終わったと同時に駆ける。ヤツも警戒しており、身構えているが、毎回攻撃パターンが変わる事に対応できていない。


 今の内に片を付けたいところではあるが、まだヤツを仕留めきれるだけの形態に至っていないのは理解している。


 だが、まだまだ足りない。頑丈で屈強で強靭で頑強で、全てのオメガを殺戮して蹂躙して暴虐の限りを尽くせる圧倒的な力を手にしなければ。


 その為にも、目の前にいるこのオメガを倒せる進化をしつつ、力を奪い取って強くなる必要がある。


 地を駆けて接近し、顎目掛けて右の爪を振り上げる。それは半歩下がり、顔を上に向ける事で難なく躱されるが、同時に左足でヤツの右の太ももに爪を刺して掴み、更に尻尾を左の脇腹に突き刺す。


 視線を上に向けたが故に、躱す事も防ぐ事も出来ない連携。一連の動作に続いてオレの左足を引き抜こうとしている右腕を左手で掴み、大きく口を開ける。このまま噛み付いても、大したダメージは与えられない。


 では一体、どうするのかというと、先程―――から受け取った怪獣オメガの因子で得た能力を使うのだ。凝縮された熱が体内で作り出され、太陽に近い温度へと急上昇していく。そしてそれを球状にして口から放つ。


 流石にこれは危険だと判断したのか、何としてでも逃げようとするが、体を拘束された上でのゼロ距離ブレス。避けられるはずがない。が、体を横に傾けて左肩にそれを着弾させる事で致命傷を避ける。


 回避を諦めてダメージを最小限に抑えたのは良い判断だが、今の一撃で左肩が溶け、左腕が辛うじて繋がっているだけの状態になった。白い血液がとめどなく溢れるその傷口に、オレは容赦なく牙を突き立てる。


 甘い。まるで甘味だと感じる程、悪魔オメガの血液は甘かった。それを飲み干そうとするが、ヤツがオレの腕を払って右手で頭を掴んでくる。ミシミシと頭蓋骨が軋む音が脳に直接振動して伝わり、このままでは危険だと直感する。


 そして脱力感に襲われた事でオレの力を吸収しようとしている事も把握し、一度体勢を立て直す為、脇腹に刺していた尻尾を引き抜き、ヤツの喉に向けて伸ばすとオレの頭から手を離して後退する。


 少しだけ力を奪われたが、まだまだこちらが優勢だ。それにヤツの血液を摂取し、その能力を奪い取る事にも成功している。―――――の手を借りなくても、今なら因子を取り込む事も一人で出来る。もはや負ける理由が見当たらない。


 勝利を確信したその時、体の奥底から殺意が込み上げてくる。


 殺せ――

 殺し尽くせ――

 根絶やしにしろ――

 絶滅するまで狩れ――

 オメガの存在を許すな――


 何の為に? ふと疑問に抱く。


『みんなを守る為だ』


 遠くからかつてのオレがそう言った気がした。







































              みんなって、誰の事だっけ・・・?






































『全ての火種がくべられた』


 近くで聞き覚えのある声がした。


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