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黎明を灯す光 ~神に至るまでの軌跡~  作者: Mr.Z


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159.惑星マザー防衛作戦

 オメガの軍勢。その数は今までの戦闘とは比較にならない。今までの戦闘では多くて数万。それに対して今回は、約15万強。


 斥候型オメガはトウテツだけでも10万頭。そして宇宙遊泳しているメジェドが5万匹。久々に姿を見せた異能型オメガのクトゥルフが100。特殊型オメガのビームを放つ目玉状のアイテールが30。最後に新型が3種類。


 非常に醜悪な見た目と厄介さがトップクラスのクトゥルフとアイテールがいるのは精神的によろしくない。それに新型が3体、ではなく3種類。


 新型の姿はまだ見えない。姿を現す前に出来る限り敵の戦力を削るのが得策だろう。オープンチャンネルで総員に作戦を通達する。


「一般兵はトウテツを! 機械兵はメジェドを対処して! 騎士団はクトゥルフとアイテールを優先して対処ッ!」


「「「了解っ!」」」


 ケイジがいない以上、指揮権を持つべきなのはクーナだが、残念な事に彼女にはアールヴヘイムへ別動隊として出撃してもらっている。次に指揮権を持つのは、誰か決めていない。そこで白羽の矢が立ったのは私だった。


 正直、他の誰かが指揮を執ったとしても、私と同じような指示を出すだろう。今までの経験と合理的な判断から、同じ結論に至るのは仕方のない事だ。それにもし間違った指示を出していれば、ミスターコマンダーが指摘するはず。という事は私が出した指示は特に間違っていなかったという事だ。


「ミスターコマンダーは新型の相手をお願い出来るかしら?」


『無論、そのつもりだ』


 こちらの最高戦力であるガーディアンを雑魚相手に遊ばせる訳にはいかない。強さが分からない新型オメガの強さを相手してもらい、少しでも情報を集めてくれればいいが。あまつさえそのまま倒したのなら万々歳だけど、そう甘くはないだろう。


 指示を聞いた全員が動き出す。一般兵は横並びに展開し、前列が片膝を付いて屈み、後列が立ち、2列になってトウテツに対して射撃を始める。機械兵は岩山等、高所を陣取って宙を泳いでいる魚型オメガのメジェドを正確に撃ち抜く。


 私達騎士団も動かなければ。クトゥルフとアイテールを逃がしてしまえば甚大な被害が出てしまう。そうなってしまう前にみんなと協力してさっさと倒してしまおう。


「私達は正面を突破しつつ後方にいるクトゥルフとアイテールを始末しましょう。クララちゃんは後方で待機。マズい状況になるまで力は温存しててね」


「ん。分かった」


 度重なる訓練で力の容量は増えたとはいえ、まだまだ長期戦には向いていないクララちゃんを前線で戦わせるのは得策ではない。ギリギリまで彼女は温存しておき、新型にぶつけたいところだ。


 宣言した通り、私達は正面突破する。側面から迂回して後方に回っていては、時間が掛かり過ぎる。新型が3種類もいる以上、何か目的があるはずだ。であれば、時間はあまり掛けたくない。


 既にその新型を探しにガーディアンは飛び立ってしまった以上、私達もモタモタしている訳にはいかない。


「辛い戦いになるだろうけど、死んだらダメよ?」


「ハッ。随分簡単に言ってくれるね」


「いつもと違って弱気ですね。ケイジ様の前でもそのくらいしおらしくした方が可愛げがあると思いますけど」


「うるさいよ」


 バシンッ、と良い音が響く。腕を振り抜いたイザベラと後頭部を抑えているメイシャ。緊張し過ぎるのは良くないけど、緊張感が全くないというのもいかがなものだろうか。


 アンジェ達も緊張してガチガチに固まってないといいけど・・・――


「ほら、いつまでじゃれてるの?」


 後ろで愛想笑いしてこの光景を微笑ましく見ているルカ君に申し訳ない。


 呼吸を整え、一般兵と機械兵が押さえているオメガの大群に目を向ける。楽な戦いではないのは確かだけど、彼がに頼ってばかりいられない。彼がいなくても戦えるというのを証明出来る機会でもある。


 私だって彼がいないと何も出来ない女じゃない――


「じゃあみんな、行きましょうか」


 いつの間にかじゃれるのをやめていたイザベラとメイシャ、そして後ろにいたルカ君も隣に立って頷く。3人共その瞳に宿る覚悟は本物だ。


「楽しみを独占する気か? 俺も混ぜろよ」


 機械兵率いてメジェドを相手していると思っていたマキナが、気付けばすぐそばにいた。わざわざ持ち場を離れて彼からもらったハルバードを使いたくて我慢出来なかった様だ。まあ、人手は多いに越した事はない。


「遅れないで下さいよ」


「お前もな」


 相変わらずの二人のやり取りを横目に見ながらサイコキネシスで自身の体を持ち上げ、飛行してトウテツの群れに向かって移動する。メイシャとルカ君、マキナが続く。移動が遅いイザベラと重装兵はその場でバトルライフルを構えて援護射撃に専念してもらう。


 サイコキネシスでトウテツを複数体持ち上げては別の個体に頭上目掛けて勢いを付けて落下させる。


『アタシもアールヴヘイムの方に行っておくんだった!』


 後方でイザベラが文句を言っているが、言い方からして本音ではないのはすぐに分かった。聞き返してもどうせ下らない返事が来るのを悟って無視するも、メイシャが過剰に反応してしまう。


「何をバカな事を言っているのですか!?」


『この惑星マザー〇〇〇〇だとタバコが吸えないからに決まってんだろ!』


「汚い言葉を使わないで下さい! それにもしタバコを吸ったらケイジ様に言いつけますからね!」


『ハッ。勝手にしな』


 やはり下らない事だった。どうせ吸わないくせに良く言う。吸ったらケイジに相手されなくて拗ねるのなんて目に見えている。まあ、構って欲しいから喫煙アピールという不器用な甘え方をするのが彼女の可愛いところでもあるのだけれど。


 後ろに目を向けると、3人共剣と刀、ハルバードを振り回しながら付いてきている。ルカ君とマキナは新しい武器に満足しているのか、楽しそうだ。


「ふふ。男の子ね」


「ミ、ミカエラさん!? すみません、恥ずかしいところをお見せしました・・・」


「はん。女にゃ分からねぇよ」


 可愛らしいルカ君と生意気なクソガ、子供みたいなマキナの反応に嗜虐心がくすぐられる。いじめてあげたいのと、ボコボコにしたいという嗜虐心が。こうも対極的な2人が仲が良いのは本当に不思議だ。


 と、余所見している場合じゃない。目の前にいるトウテツの大群を突破しなくては。


 先程の様に数体ずつトウテツを始末していたら時間が掛かってしまう。方法を変えなくては、犠牲者が出てしまうかもしれない。多少なりとも無茶をする必要がありそうだ。


「私の本気、見せてあげる」


 惑星マザー限定の私の切り札をお披露目するならこの時しかない。


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