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黎明を灯す光 ~神に至るまでの軌跡~  作者: Mr.Z


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156.ランアンドガン

 おそらく首が弱点だろうと判断した私達だったが、どう攻撃するか頭を悩ませる事となった。今はアールヴを狙うのをやめ、振り返って私達をターゲットにしたヘビ型オメガ。


 このまま背中に乗り続けるのは危険なので、とりあえず地面に降りて散開する。狙い目を分散させようと判断しての行動だったが、大蛇の視線はメアリーに釘付けになっていた。


 首を切断できる刃物を持っている人間を危険視しているのだろう。4つの首が縮んだかと思った瞬間、メアリーに向かって弾丸の様に射出される。


「メアリーッ!」


 彼女を守ろうと4つある頭部をひたすらに射撃するが、止まる気配はない。そのまま4つの首がメアリーの体を覆い尽くしてしまった。


「早く助けないとマズいッス!」


 ケイシーの言う通り、メアリーの姿が見えなくなってしまった以上、すぐに助けなければ。もし飲み込まれたりしていたら、大変な事になってしまう。それに毒ガスの存在もある為、状況は急を要すると瞬時に判断。


 3人で首に飛び掛かり、眼球に銃口を押し付ける。


 バララララララッ――


 弾丸を何十発と撃ち込む事で首を退ける事に成功。ケイシーとアニーのおかげもあって、他の2本の首も退いたのを見計らい、急いでメアリーの安否を確認する。だが、そこには誰もいない。


「そんな・・・」


 もしかしたらどれかの首に飲み込まれてしまったのかもしれないと、首に膨らみがないか目視で確認しても、それらしきものは見当たらない。


「メアリー・・・。メアリーッ!」


「なに?」


「うおぉっ!?」


 彼女の名前を叫んだ途端、背後から返事が。驚きつつも、慌てて振り返ると、特に怪我もなく元気そうにしている彼女がいた。一体あの状況でどうやって脱出したのだろうかと疑問を抱くも、それよりも無事でいてくれた事に安堵する。


「無事だったでありますか!? 死んだかと思ったであります・・・」


「危機一髪。下顎を斬って脱出した」


 彼女の言う通り、良く見ると首の一つが下顎を失っていた。アダマンタイト製の剣、恐るべし。という事は、彼女は私達が救出するよりも前に、自力で脱出していたのだろう。


 あの状況下で、最適解を導き出した彼女には素直に驚いた。どうやら、私が思っている以上にメアリーの近接戦闘のセンスはずば抜けて高い様だ。


「無事だったならもっと早く報告するッス! 心配するこっちの身にもなってほしいッス!」


「ん。ごめん」


「まあまあ、無事だったなら良かったじゃなぁい」


 四つ首の大蛇を前に、またもや緊張感のないやり取りをする3人。安心するにはまだ早いが、一先ずは良かった。誰かが欠けるなんてあってはならない事だから。


 とは言え、打開策が見付かっていない事に変わりはない。このままではジリ貧になって負けてしまう未来が視える。


 ――どうしたものか・・・。


「ここからは私も加わろう」


 頭を悩ませる私の元に、救世主が現れる。サファイアの様に美しい瞳と髪を靡かせながら駆けつけてくれた彼女は、この世の者とは思えない程の美貌を有していた。


「ク、クーナ殿ぉ」


 騎士団の中でも最上位クラスの強さを誇るクーナ殿の参戦。これなら何とか出来るはずだと自身を鼓舞し、戦意を燃やす。彼女がいれば勝てないはずがない。


 どう戦えばいいのかも、どう倒せばいいのかも分からない。それでも出来る限りの事を精一杯やろう。


「各自散開っ! 集中攻撃されそうになったら後退っ! メアリー! クーナ殿! 隙をついて首を斬り落とすであります! 他は彼女達の援護を!」


「合点承知。騎士様に代わり、私が成敗する」


「了解だ。私も負けてられないな」


 勝ち筋は見えていない。でも、確かな事はこの戦いでのキーパーソンは剣を持っているメアリーとクーナ殿だ。点での攻撃よりも線の攻撃が出来る武器。つまり銃ではなく、剣がこの状況では最適解のはず。私達は彼女達のサポートに徹し、道を切り開く。


 更にアールヴの調和魔法による支援もあるのだ。上手く立ち回りさえすれば、勝てるはず。戦力は足りている。足りないのは活路を見出す頭脳か突破力だけ。ただ、残念な事に私には両方とも持ち合わせていない。


 ――私は彼ではないのだから。なら私は私の戦い方を選ぶ。


「必ずしも同じ道を辿る必要はない・・・。ゴールにさえ着ければ、過程はどうでもいい。例え、どれだけ惨めであっても・・・」


 そう、彼の様にスマートに勝つ必要はない。私は私らしく、泥を啜ってでも勝利を掴み取る。


「アールヴの方はヤツの拘束に専念して欲しいであります! 一般兵は輸送船に乗って誤射しない様に上から援護射撃を! アニーとケイシーは私と一緒にひたすら走りながら撃って撃って撃つであります!」


「まだ走らなきゃダメなの~・・・?」


「文句言ってる場合じゃないッス! ほら、キビキビ走るッス!」


「うへ~・・・」


 文句を言いつつも、走るアニー。それに続いて私とメアリーもヘビ型オメガの周りを走りつつ、目や胴体に射撃する。『ランアンドガン』。ひたすら動いて気を引くだけの作戦。少しでもメアリーとクーナ殿から注意をそらす為に。


 案の定、自分の周りを飛び回っている羽虫が煩わしかったのか、ヘビ型オメガは私達に牙を向ける。迫りくる頭部を躱すと、死角から尻尾で攻撃しようとするのを『感じ取る』。咄嗟に後方に跳躍しつつ、それを回避。


 ――ん? なんで今攻撃が来るのが分かったでありますか?


 ふと疑問が湧いてくるが、攻撃を躱した私に怒りを向けるヘビ型オメガが、再度噛み付く為に首を伸ばす。サイドステップでそれをやり過ごすと、その陰に隠れていたもう一つの首が眼前に迫る。が、スライディングでそれすらも回避すると、目の間にいるヘビ型オメガと目が合う。


「き、気持ち悪いであります!」


 嫌悪感を抱くと同時に、その眼球目掛けて引き金を引いていた。弾丸が柔らかい眼球を貫き、一時的にその視力を奪う事に成功する。


 グルァアアアアアッ――


 悲鳴が轟く。咄嗟に耳を塞ぐと、通信機から透き通った声が聞こえた。


「アンジェ、良くやった」


 刹那、青い閃光が走り、4本あった首が3本になる。


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