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黎明を灯す光 ~神に至るまでの軌跡~  作者: Mr.Z


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137.怪獣

 怪獣襲来。その情報を聞きつけたのか分からないが、報道ヘリが怪獣を撮影しているのが見えた。いや、おそらく取材か何かで近くに来ていたのだろう。


 本来であれば巻き込まれる危険がある為、避難しろと言いたいところだが、先日の配信で危険を顧みない戦場カメラマンの心に火が付いたのかもしれない。気概があるヤツは嫌いじゃない。とりあえず好きにさせておこう。


「コマンダー。巨大ロボットを送ってくれ」


 怪獣を相手にするには、合体ロボか変身してウルト〇マンになるしかない。日本人の常識だ。


『そんなものはない』


 が、あっさりとコマンダーから否定される。冗談で言ったものの、あれを相手にするにはあまりにも火力が足りない。


「どうするつもりだい?」


 隣にいるイザベラもあの大きさ相手では、バトルライフルが役に立たないの理解している様だ。


「どうしようか・・・」


 と言ってもオレもどうしたらいいか分からない。魔剣開放して斬ってみるのが有効かもしれないが、それには地上で戦う必要がある。怪獣はまだ海の上にいる為、オレに出来る事はない。ただ、アレを地上に来させてしまえば、ここら一帯にあるホテルは全て蹴散らされてしまうだろう。


 ヤツからしたら、ここら辺の建物は全て障害にすらならないだろう。そしてその重量で地上を歩かれては、地盤が傾いたり、地中にある様々な配管がダメになってしまう。


「珍しく弱気じゃないか」


「んーでも、あの大きさだしなぁ・・・」


 こういう時のセオリーは体内入って暴れるっていうのがあるけど、さすがに体が汚れるのは嫌だし、それが成功するのはフィクションの中だけだろう。消化液で溶かされる未来しか見えない。


「コマンダー、何か良い方法はないか?」


『君がアレの中に入って暴れたらいい』


 結局はそこに辿り着くんかい。とは言ってもコマンダーも冗談で言ったつもりだろう。・・・多分。


「それは最終手段だ。オレも胃液で溶かされながら戦うのは嫌だぞ」


『冗談だ。だが、あれの相手をするには既存の兵器では火力が足りない』


「空軍に爆撃してもらうか?」


『地球の爆薬では外皮を破るのは不可能だ。焦げ跡を付けるだけで終わる』


「だよなー・・・」


 やっぱり口の中から入ってみるか? いや、もしヤツの消化液がアダマンタイトをも溶かす酸だったら、さすがのオレでも死ぬ。


『ダモクレスを・・・いや、アレに対処できる爆弾を用意する。時間稼ぎをしてくれ』


「なるはやで頼む」


 英語だとこの場合、略してASAPって言うんだっけ? まあ、いいや。


「という訳で、時間稼ぎに専念しよう。総員、正面からありったけの弾丸をお見舞いしてやれ」


 即座に重装兵、機械兵、ソルジャーによる一斉射撃が始まる。耳をつんざく銃声が響き渡り、海を歩いている怪獣に着弾するも、その歩みは止まる事を知らない様だ。とは言え手を止める訳にはいかない。


 およそ3分のトリガーハッピーが終わったところで、怪獣の足が砂浜を踏みしめる。


「近くで見るとでかいな・・・」


 距離でいったら100メートルはあるのに、200メートル以上その巨体が視界に全て入りきらない程の大きさだ。そしてその重さは、海底を歩いていた時から、一歩進むごとに震度3以上の揺れを感じるレベルに達する。


『推定だが、10万トン近くの重量がある』


「10万トン・・・」


 あまりの数字のでかさに、もはや想像できない。キログラムに直すと1億って事だろ? 1億キログラムって何キログラム?


 なんてバカな事を考えるよりも、目の前の怪獣を何とかしないと。間近で見ても、海から上がるまでの射撃でダメージを受けている様には見えない。銃がダメなら剣でやるしかない。


「総員退避。踏み潰されない様に気を付けろ。足だけじゃなくて尻尾にも注意するんだ」


 もし尻尾の下敷きになれば、容易に挽き肉になってしまう事だろう。みんなにはコマンダー特製の爆弾が出来上がるまで退避してもらおう。


「さてと、怪獣退治といきますか」


 ロボットも光の巨人もいないけど、やるしかない。オレは剣を手に、また一歩進もうとする怪獣の足の根、太もも向かって跳躍する。そこまでの高さは、体高20メートルのゴライアスをも超えている。およそ50メートルといったところか。


 怪獣はやや前屈姿勢をしている為、体高に比べて足が長く感じる。背筋を伸ばしたら短足だろうけど。ちなみに某巨大怪獣みたいに背中にギザギザした突起はない。多分、青い熱線を吐く事はないだろう。


 太ももの高さまで跳んだところで、その太い足に刀身を伸ばした剣を突き刺す。30メートル程伸ばした刀身が、奥まで突き刺さらず、およそ5メートル程で止まってしまう。外皮だけでなく、肉の密度も高く、堅い。


 グァアアアアアアアオオオオオオオオオオオオッ――


 轟く怪獣の咆哮。致命傷にはなりえなかったが、爪楊枝が足に刺さった程度には痛かったのだろう。だが、その程度であげた声であろうと、容易にオレの鼓膜を破裂させる。


 ヴォーティガンの咆哮なんて比じゃないレベルの咆哮に、危うく意識を失いかける。アイツの咆哮で鼓膜が破れるのに慣れていなかったら、きっと意識が飛んでいた。


 三半規管にもダメージがあり、眩暈がするが、何とか再生するまで持ちこたえる。


 生身でデカブツと戦うとこういうリスクがある。以前にヴォーティガン対策でマスクに一定以上の音を遮断する機能を付けてもらったというのに、それすらも貫通してくるのだ。嫌気がさしてくる。


 多分、骨が直接振動しているレベルの音量なのだろうが、諦める訳にはいかないので我慢するしかない。


 刺した剣を足場にしつつ、2つ目のオレの武器である愛刀を召喚する。そしてアダマントソードですらまともに斬れなかったその足を、豆腐の様に斬り裂く。ただ斬っても大したダメージにならないのは分かっている。


 一撃目で付けた傷とは別の角度で斬撃をお見舞いする。肉を削ぐ様に。それをひたすら繰り返して足の肉を1メートル四方のブロック肉へと変えていく。


 これは先程よりももっと痛いだろう。


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