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黎明を灯す光 ~神に至る道~  作者: Mr.Z


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012.異能型オメガ クトゥルフ

 奴らの姿はが複数確認できた。数えると十二体いるのが確認できた。下手に銃を撃っても、反撃の機会を与えてしまうだけだ。絶望的な状況的に冷や汗を流していると、不意にクーナさんがより一層オレを強く抱きしめる。


「心配するなケイジ。ここは私達に任せておけ」


 そう言って彼女は他のアールヴ部隊と合流し、魔法の準備に取り掛かる。ならばオレどう時間稼ぎをするべきか、そう悩んでいると通信装置が起動する。


『司令部より通達。新型のオメガの名称は異能型 クトゥルフと命名。既にパルスグレネードが有効である事が判明しています。総員、パルスグレネードを投擲して迎撃して下さい。また研究の為、可能な限り対象を損傷させずに撃破して下さい』


 クトゥルフ。クトゥルフ神話の代表的な存在で、タコの様な頭をしている怪物だったと記憶しているが、まあその不気味さからその名が付けられたのかもしれない。


 それと最後にとんでもない要求を言われたが、これは努力義務だと割り切ろう。あんな力を持った存在相手に、手加減をしている余裕なんてない。


 他の隊員達が上空にいるクトゥルフめがけてパルスグレネードを投擲を始める。オレもそうしようとするも、手ぶらであることに気づく。先程手放したライフルを拾いなおし、近くの死体からマガジンとパルスグレネードを剥ぎ取る。


 その行為を見ていた他の隊員に怪訝そうな顔をされたが、死人には必要のないものだ。拝借したパルスグレネードをクトゥルフに向かって投げてはみるものの、やはり止められてしまう。先程オレが一匹仕留めたのを模倣し、誰もがそれに続いて射撃を始める。だが、今回は上手くいかなかった。


 銃弾を受け止めている最中に物体を飛ばす力は使えないという仮定は正しかったようだ。しかし、今回敵は複数いるのだ。弾丸を受け止める係とグレネードを跳ね返す係で分かれているのか、サイコキネシスによってパルスグレネードだけがこちらに向かって跳ね返される。


 このスーツを着ている限り、パルスグレネードの効果は無効化してくれる。その情報が頭から抜けているのか、グレネードが近くに落ちた隊員は慌てて頭を手で守りながらその場に伏せる。その後起爆したパルスグレネードの音に悲鳴を上げるも、体に何の異変もない事に気が付き、顔を赤らめながら何事もなかったかのように立ち上がる。良く見たら戦場に行く前に絡んできた金髪だった。


 どうでもいいかと思い、金髪から視線を外して、改めてこの状況をどう対処すべきかと頭を悩ませながらクトゥルフの群れに視線を向ける。弾丸の雨を受け止めている事もあり、反撃に細心の注意を払いつつ、奴らを観察する。


 そして奇妙な点に気が付く。弾丸やグレネードを防いでいる2つの個体とは別に、残りの10体のクトゥルフが空中で地面と平行になる様に輪を作っていたのだ。そのサイズはおよそ直径500メートル程の円。地上からは300メートル程の高さだろうか。


 ミステリーサークルのつもりだとうかと、疑問を抱く。その瞬間、先程橘を殺害した空間を歪める力を使い、輪の中心の空間を歪める。その歪みは徐々に強くなり、そして空間自体の色が段々と黒くなっていった。


 まるでブラックホールみたいだと思って眺めていると――不意に足元から風を感じた。その風は次第に強くなっていく。アールヴの魔法かと思ったが、その風が足元から吹いているものではなく、クトゥルフが生み出したブラックホールに吸い込まれているものだと気付く。


「ホントにブラックホールかよ!?」


 吸い込まれないように踏ん張るが、徐々にその勢いは増していき、立っている事すらままならなくなる。オレはライフルを投げ捨ててその場にかがみ、そして右腕に目いっぱい力を込め、拳を地面に突き刺す。腕が肘あたりまで地面の中に入り、アンカーの様に体を固定する。


 直後、体が浮かび上がる。重力よりも強くなった吸引力に、他の隊員達はなす術もなく宙に浮きあがり、ブラックホールに吸い込まれていく。オレは辛うじて突き刺した腕のおかげで耐えられているが、それも時間の問題だった。


 他の隊員達の悲鳴が響き渡る。体が浮いた隊員達の数名が、悪あがきでクトゥルフに向かって射撃するも、弾丸の軌道すらもブラックホールに吸い込まれる様に曲がってしまう。


 このままでは全滅する、そう思った瞬間、オレの腕が地面から抜けてしまった。


「なっ!?」


 慌てて地面を掴もうとするも、あっという間に浮き上がってしまった体。伸ばした手はむなしくも宙を切る。


 あ、死んだ――


 刹那、自身の死を悟る。


「ケイジッ!」


 不意に下からオレを呼ぶ声がする。いつの間にかクーナさんが駆けつけてくれていた。サファイアの様な美しい青い髪から淡い光を放っているのを見るに、何かしらの魔法を行使しているのだろう。


 ただ、オレの体は既に10メートル程地上から離れてしまっている。こんな状況の中、オレを助けるのは無理なのに、彼女は躊躇なくジャンプする。瞬く間にオレと同じ高さに到達した彼女に向かって手を伸ばした。彼女とオレの手をが重なる。そのまま引っ張り、お互いに抱き合う様に体を寄せる。


「クーナさん! なんで来たんですか!?」


「助けに来たに決まっている」


 余裕な表情を浮かべながらクーナさんが地上に向けて手を向けると、木の根が地面から飛び出し、そのままオレとクーナさんの体に巻き付く。そのままオレ達を地面まで引き寄せる。


 無事に着地したオレ達の体を、今度は木のドームが覆い隠す。


 こうして、クーナさんの手によってあっという間にブラックホールからの脅威から救われたのだった。


クトゥルフ:タコに似た頭部をしている神。もしくは宇宙生物とされている。テレパシーを使い、人間に害を与える存在。超能力を使うという共通点から初めて観測された異能型オメガの由来となった。

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