135.男子高生
昨日はアンジェ達戦乙女部隊を、今朝はクララとルカを抱いた。この十数時間はかなり濃密で濃厚な時間だった。比喩ではなく。
部屋に戻った時間は昼を過ぎた頃。オレの帰りを待っていたのか、今朝いた8人が全員いた。が、楽しそうにお喋りしている姿を見るに、もしかしたらオレはお邪魔虫かもしれない。
「あら、おかえり」
「ただいま」
だが、オレの姿を見て全員目を輝かせる。オレを待っている、というよりクララとの出来事を聞きたくてしょうがないって感じだ。
「で、どうだったの?」
ミカエラが期待しながら問う。まあ期待通り、というか彼女からしたらルカの事も含めたら期待以上の成果かもしれない。
「その・・・クララと繋がった」
そう言った瞬間、両手を顔の前で合わせて嬉しそうに笑顔を向ける。なんでオレが他の女性を抱く度に嬉しそうな顔をするのだろうか?
もしミカエラが他の男に抱かれたなんて事があったら発狂するけどな・・・。もしかしたらミカエラはクララを狙っているのかもしれない。クーナさん、イザベラに続いてクララが次のターゲットなのかな?
一方でクーナさんとメイシャはうんうんと頷くだけ。アンジェ達は驚いている他方、イザベラは興味なさそうにタバコの箱を取り出しすが、それを没収する。
「ちょっと坊や!」
「最近吸ってなかっただろ」
「口が寂しいんだよ」
だからと言ってタバコを吸うのはやめてほしい。理由は、まあイザベラの体調を気にしてっていうのもあるが、何よりキスが不味くなる。オメガ因子のせいで五感が鋭くなっていると余計に不快感を抱いてしまうからだ。
とは言え、イザベラの口を寂しくさせてしまったのはオレが原因でもある訳で。要はタバコを吸うのはオレに相手をしてほしいっていう意思表示なのだ。意外とイザベラは甘えん坊で、四六時中ベッドの上で色欲と怠惰に満ちた生活を送りたいと思っている程だ。
昨夜も今朝もハッスルしたけど、今からも頑張らなければならない様だ。もしかしたら8人全員相手しないといけない事態になり兼ねないけど、彼女の禁煙に協力する為には仕方ない。
タバコを取られて怒っているイザベラにキスすると、あっさりとオレの首に腕を回してくる。こうしてまんまと騙されたオレは、空のタバコの箱をゴミ箱に捨てながら彼女に良い様に貪られるのだった。
もちろん、結局全員の相手をする事になり、気が付けば『翌朝』だった。
「20時間もヤッてたのか・・・。8人もいればそうなるか」
だが、昨日は何も食べていないせいで超回復も使えない。体内のエネルギーを全て使い切ったのだ。これぞデトックス効果。・・・いや、絶対に違うな。
眠気と疲労に負けない様に立ち向かい、空腹を満たす為に軍事基地の食堂に一人寂しく向かう。冷蔵庫に軽食が入っていたとは思うけど、それはみんなが食べるだろう。オレは大人しくボッチ飯だ。
食堂で目玉焼きとソーセージをパンで挟んで口に押し込んでいると、マキナがこちらに向かってくるのが見えた。
「よう団長さん。一人なんて珍しいな」
「みんなまだ寝ててな」
「ハッ、団長さんが頑張り過ぎたせいで気を失ったのか?」
「・・・」
「・・・マジかよ」
冗談で言ったつもりだったらしいが、言い当てた事に自分自身が驚いていた。唖然としたマキナだが、すぐに我に返る。
「俺もアソコは残してるけど、さすがに4人同時に相手なんて出来ないぜ?」
マキナのマキナが残っているのは知らなかった。知りたくもなかったけど。てっきりコマンダーの事だから弱点になるから切除したと思っていた。俺もやられそうだったし。
「実はな・・・4人じゃなくて8人なんだ・・・」
「・・・は? 残りの4人って誰だよ?」
「戦乙女部隊のアンジェ、アニー、ケイシー、メアリーだ」
「マジかよ!? 俺アニーちゃん狙おうと思ってたのに・・・」
「アニーちゃんって、お前より5つ上だろ? どんだけ年上好きなんだよ」
「団長さんだってイザベラの姉貴ともっと歳離れてんだろ」
確かに。イザベラとは歳の差はちょうど十。オレが今18で、イザベラが28。まあ、イザベラは綺麗だけど、意外と可愛いところもあるからそんなに歳が離れているって感じないんだよな。
でもよくよく考えたら同い年はミカエラだけ。そして年下はクララだけ。あとルカもか。それ以外は全員年上なんだよな・・・。別に年上好きって訳ではない。ただ、好きになったのが偶々年上だっただけだ。
「そういえばそうだったわ」
「このままだと軍の中にいる良い女が全員団長さんの毒牙にかかっちまうな」
「いや、さすがに全員は言い過ぎだろ」
「じゃあ他に抱いた女はいないのか?」
「クララ」
ルカの事は言わないでおこう。デリケートな話だし、何より同い年のマキナにバカにされたら心に傷を負う可能性がある。
「・・・ロリコンかよ。さすがに守備範囲広すぎないか?」
「いや、クララはもう16だぞ? ロリって歳じゃないだろ」
「でも見た目は13,4ぐらいじゃねぇか。外国人の割には幼く見えるからなぁ、あの子」
「否定はしないけどさ。クララだって立派なレディだよ」
「ハッ。ヤリチンが言いそうな事だな」
「誰がヤ・・・」
ここ数年の生活を思い返してみると、もはやシていない日の方が少ない。マキナにそう言われても仕方がないだろう。
「否定できねぇだろ?」
「うるせぇ」
ニヤニヤするマキナに、オレはそれ以上言い返せなかった。ただ、そこに不快な感情は一切ない。久しぶりに歳相応のバカ話が出来た事を楽しいとすら思ってしまう。
もしオレが軍人にならずに、普通の高校生になっていたらこんな話を友達としていた事だろう。好きな子が誰かとか、好きな女優や芸能人が誰かとか。オレ達が歩むはずだった思春期真っ盛りの高校生活。それは、この人生では永遠に歩む事は出来ない。
でも後悔はない。バカな事を言い合う悪友みたいなコマンダーとも出会えたし、こうしてバカ話も出来る後輩もいるのだから。もし同じ高校に通っていたとしても、コマンダーみたいに堅苦しいヤツやマキナみたいな人種とは関わる事はなかっただろう。でも、不愛想だったり口が悪いだけで悪いヤツらじゃない。そういった事も学べたのだから。
それに大切な人がたくさん出来た。今のオレは、地球上の誰よりも幸せ者だ。




