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黎明を灯す光 ~神に至る道~  作者: Mr.Z


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122.妖刀ムラマサ

 ベリアルに対抗する為の武器。コマンダーが用意したと言ったが、おそらくアダマンタイトで出来たものではないだろう。では一体どんな武器で、何で造られているのか、全く想像がつかない。


 そうしてコマンダーが用意したものは、銀色の『刀』だった。刀身はおよそ2メートル。柄も合わせれば2.5メートル程だろうか。鞘はなく、むき出しの刃に目を向けると、今まで感じた事がない程の力を有しているのが分かった。冷や汗が噴き出し、無意識で固唾を飲み込んでしまう程に。


『オリハルコンの刀だ』


 オリハルコン。全宇宙で最強の物質。惑星マザーのどこかで眠っているが、それが爆発してしまえば銀河系一つが消し飛ぶ威力があるらしい。そんなもので刀を造っても大丈夫なのだろうか?


 そんな不安が脳裏によぎるが、コマンダーがそんなミスを犯す訳がない。おそらくだがいきなり爆発して辺り一帯が消し飛ぶ、なんて事はないはずだ。多分。


「オリハルコンってアダマンタイトより貴重なんだろ? いいのか?」


『マザーから許可をもらっている。とはいえ、そう気軽に手に入る訳ではない。それが最初で最後の一振りになるだろう』


 一体これの価値はどれ程のものなのだろうか? コマンダー、というかオートマタはこれまでに広い宇宙を探索したはずだ。だというのにアダマンタイトは極めて貴重な鉱物なのか、その量は限りなく少ない。それをも遥かに上回る価値と力を有しているこのオリハルコンで出来た刀は、全宇宙でたった一振りしかない。その価値は計り知れない。国家予算なんて簡単に超えるだろう。


「これがあれば、ベリアルを完全体にしても簡単に倒せる」


 それを受け取って手にしてみると、不思議な事に一切重さを感じない。試しに軽く振るってみると、シャリンと空を切る音が響く。まるで風鈴みたいな音だ。見た目もそうだが、神秘的で美しいと思うのと同時に、畏怖してしまうが目を離せない。


『その刀であれば、斬れないものはないだろう。アダマンタイトであっても、紙同然だ』


「それは凄いな・・・。でも鞘は? むき出しのまま持ち歩く訳にはいかないし」


 アダマンタイトをも容易に斬れる鋭さを誇るそれを、むき出しにしたままにしておくのはあまりにも危険だ。


『問題ない。オリハルコンの刃に耐えられる鞘は同じオリハルコンで出来た物を用意する必要がある。それにアダマンタイトの様に形状を変える事はできない為、対策として転送装置を付けている。君の転送装置と連動し、手元に転送される様になっている』


 これまた用意周到だこと。オレが眠っている間に、色々と対策を講じてくれていたのだろう。あまりの手際の良さに感心するが、コマンダーはこういうヤツだ。二手も三手も先を見ている。その計算力は人間では太刀打ちできない。


「なるほどねぇ。ならありがたく使わせてもらうか」


 装飾が施されている(つば)を軽く撫でると、刀が光輝いたと思ったらその姿を消す。その消え方は普通の転送とは違う様だ。それもそうか。これだけ貴重なものだ、その取扱いも通常とは異なるのも不思議ではない。


『その刀はこの母艦内部で最も厳重な場所に保管されている。マザーがいる部屋だ。あそこに侵入できる者は存在しない』


 確かに母艦の中で最も厳重な場所はどこかと言えば、オートマタのボスでいるマザーがいる場所だろう。逆を言ってしまえば、オレがこの刀を使う度にマザーに見られるという事だ。


 まだマザーとは会った事も話した事もない。コマンダーが言うには、全てのオートマタの設備と繋がっている為、母艦内でのオレの行動は全て知られているらしい。


 監視されているみたいで良い気分ではないが、見ているのが人間ではないと思えば、あまり気にする事ではないのかもしれない。そういう訳で気にしない様にしている。


『それと盗まれたり奪われたりするのを防止する為、君以外の者が触れた瞬間に転送される様にもなっている』


 オメガだけではなく、その貴重さから人間に奪われる可能性もあるからな。地球の命運が掛かっているにも関わらず、オメガを信仰する馬鹿げた宗教まで出来ているのだから油断できない。


 まあ、その宗教に関してはガブリエル大統領が対処しているが、もし武力行使する事になればオレも手伝う羽目になるかもしれない。


「まあ、人間相手に奪われる事はないだろうけど」


 今後盗みに特化したオメガが出てくる事も否定できないから用心するに越したことはない。


『最後に、その刀の名前だが――』


「無難にオリハルブレードとかでいいからな?」


 コマンダーの言葉を遮って言う。コイツの事だ。天叢雲剣とか天羽々斬とか名付けるだろう。正宗とかならまだ許せるけど。


『妖刀ムラマサだ』


「もっとひどかった! いやだよ、もっとマシな名前にしてくれよ!」


 オリハルコンで出来た刀を妖刀って言うなよ。見た目は神秘的なんだから。


『妖刀ムラマサだ』


 もう一回言いやがった。


『妖刀解放ジャキンジャキン』


 アダマントソードの刀身を伸ばすのを魔剣解放と呼んでいるのは遠い昔の話だ。それを今更持ち出してバカにするとはいい度胸だな。


「もうそういうのは卒業したんだ」


 オレだってもう18歳なんだ。そういった類のものはもうやめた。


『ちなみに漫画によくある飛ぶ斬撃を放てる』


「マジで!?」


 妖刀ハンパねぇ・・・。


『いや、嘘だ』


「おい! この妖刀のサビにするぞ」


 ちなみに刀身が伸びるといったギミックは特になかった。純粋に万物を斬る事ができる絶大な切れ味を誇る刀だった。名前はとりあえずムラマサは却下で。名前がないから『無銘』とかカッコいいかもしれない。


 ――いや、絶対に後で恥ずかしくなるからやめておこう・・・。


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