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黎明を灯す光 ~神に至る道~  作者: Mr.Z


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118.最終兵器

 超新星爆発の様な、凄まじい爆発の光が辺りを覆いつくす。そしてその爆風が私達に襲い掛かる。咄嗟にサイコキネシスでみんなを守り、事無きを得たが、肝心の爆心地にいた彼の姿が見当たらない。


「ケイジは!? 誰か見た!?」


 みんなに聞いてみるが、誰も見ていない様だ。今すぐにでも全員で捜索しようとしたその時、『ヤツ』の姿がそこにあった。


「まだ生きてるって言うのかい・・・」


 イザベラの言う通り、生きているのが不思議なくらいボロボロになっている黒いオメガ。その胴体はほとんどが欠落している。胴体の右側は消し飛んでおり、右腕はおろか、肩すら存在していない。そして反対側は皮と少量の肉でつながっている程度。両足は残っているが、無傷ではない。


 そんな状態でも、まだ生きていたのだ。そして傷口の肉がうねり、今にも再生しようとしている。


「させない!」


 止めを刺そうとサイコキネシスを発動しようとするも、鋭い痛みが頭を襲う。先程の爆発を防いだ時に力を使い果たしたのだろう。初めて力の使い過ぎで頭痛を感じた私は、ケイジの言葉を思い出す。もしこのまま力を使えば断片的にだが、記憶を失ってしまう事になる。


 ――それでも! ここで退く訳にはいかない!


 ケイジが作ってくれたチャンスを逃す真似はしないと、頭痛を堪えてサイコキネシスを発動しようとする集中する。けど、もしこのままママやケイジとの思い出を忘れてしまたら、果たして私は耐えられるだろうかと恐怖を抱いてしまった。途端に練っていた力が弾けて、サイコキネシスが消滅する。


 葛藤のせいで集中できず、力を発動できないでいると、クーナが前に出てユグドラシルの枝で出来た剣でオメガ斬るも、かすり傷すら付けられない。そしてクララも続いて攻撃するが、無駄に終わってしまう。


「そんな・・・」


 あんな瀕死の状態でもクララのサイコキネシスで止めを刺しきれないなんて・・・。あのオメガに勝つ術なんて、最初からなかったのかもしれない。


 誰もが諦めかけたその時、『青い光』の塊が上空から舞い降りた。もしかしてケイジかと思ったが、その期待はすぐに裏切られる。


 青みがかった銀色のボディ。それはまるで、ダビデ像を彷彿させる彫刻みたいな体。男性の裸体を模写した様なその体に、のっぺりとした頭部。顔のパーツは何もなく、ケイジが付けているマスクに似ている。


 が、それはケイジではないのはすぐに分かった。身長が3メートル程あったからだ。では、一体何者なのか。みんなが疑問を抱いていると、通信機が起動する。


『待たせた諸君。ここからは私に任せてくれ』


 コマンダーだ。初めて見るそれを操作しているのか、みんなに下がる様伝える。


『害虫が。今すぐ消し去ってくれる』


 珍しく怒りを露わにしているコマンダーが、その体でオメガに向かって駆ける。今も尚再生しようとしているオメガの眼前まで迫り、半分以上欠けた胴体を蹴り上げる。私のサイコキネシスでも持ち上げる事が出来なかった、戦車の様に重いその体がいとも簡単に宙を舞う。


 そしてコマンダーは空中にいるオメガを追う事はせず、ただ掌を向ける。


『消えろ』


 その言葉と同時に青い光線が迸り、オメガを包む。その光が消えると、下半身だけになったオメガが落ちてきた。また再生するのではと思ったが、その気配はない。上半身を全て失い、ようやく完全に絶命したのだ。


 余りにも呆気なく、私達が手も足も出なかったオメガとの戦いは、こうして幕を閉じた。けど呆けている場合じゃない。私達はすぐにケイジの捜索を始める。そして数分が過ぎ――


「いたぞ!」


 クーナの声。それを辿ってその場に着くと、再び右腕を失ってボロボロになっているケイジの姿があった。それはあまりにも痛々しく、見るだけでもこちらが苦しくなってしまう程だ。そして見るからに呼吸をしていない。


『心臓が停止している。すぐに蘇生措置を図る』


 コマンダーの言葉でこちらの心臓までが止まってしまった様な錯覚に陥る。急いで転送装置を起動してケイジをヒーリングポッドに移送する。


 それからは、コマンダーがいつもの体に戻って集中治療を行ったおかげで蘇生に成功。


『数日もすれば意識が戻るだろう』


 との事。その言葉を聞いて私達は安堵の息を漏らす。だが、イザベラは違った。


「もっと早く『あれ』を出していたら坊やはこんな事にならなかったんじゃないのか」


『あれ』とはコマンダーのあの体の事だろう。確かにあれだけの戦闘力を誇る兵器を隠していたのなら、ケイジがあれ程の怪我を負わずに済んだかもしれない。だけど、コマンダーにも事情があるのだろう。あれだけの強さだ。気軽に使えるものではない可能性が高い。


『・・・その件に関しては謝罪しよう。出来る事なら、あれは使いたくなかったのが本音だ』


「坊やがこんな状態になったっていうのにかい?」


 ヒーリングポッド内で眠るケイジ。その右肩は黒く変色し、赤い血管が浮き出して脈打っている。侵食されている、という言葉が正しいのかは分からないけど、明らかに正常ではない。そのせいで腕が再生する事はなく、今も左腕しかない状態だ。


『あれは惑星マザーの根源、「オリハルコン」を守る者。つまり我々の守護者だ。あれを使ってしまえば、オメガにオリハルコンの位置を特定されてしまう可能性がある。いや、既に特定されたと考えるべきかもしれない』


 つまり、オメガの企みが今回の襲撃で大きく進展してしまった事を意味する。本来であれば、私達を退けてオリハルコンを見付ける為、惑星マザーを隅々まで調べ上げるつもりだったのかもしれないが、結果的に成功してしまった。


 そうなるとオメガが総力をあげて惑星マザーに襲撃する可能性が非常に高い。もしかすると、オメガとの最終決戦は近いのかもしれない。


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