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霹靂‐へきれき‐のシルト  作者:


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夢の跡


コンコン

遠くでノックの音が聞こえた。



「クァズ様」

今度は足元で声が聞こえ、女達を抱いて良い気持ちで眠っていたところを起こされた。


寝ぼけまなこをこすって見ると、俺付きだった給仕を2人従えて初老の支配人がベッドの足元にいた。



「ああ? なんでぇ…」

「ギルド長が特別室にてお待ちでございます」

「ギルド長が?」

ギルド長と聞いて、俺は飛び起きた。


やっとか! この部屋で何日だぁ? まぁ、いい。やっと認定されるのか! 待ちくたびれたぜ!


俺は飛び起きると、慌てて服を着た。

「待ってろよ。俺が帰るまでゆっくり寝てな。そうだ。もう酒がねぇんだ。用意しといてくれ。帰ったら祝杯だぜ」


俺がそう言うと、女達はベッドに横たわったまま「待ってるわ」「早く帰ってきてねぇ」と可愛く手を振った。高級娼婦いいおんなってのは、寝起きの顔も色っぽいもんだな。


「ご案内いたします」

酒の用意に残ると言った給仕を置いて、クァズが支配人達に連れられて部屋で出ると、女達は伸びをしてベッドから起き上がり、サッと湯を使って裸のまま化粧を始める。


給仕がどこからかワゴンを押して戻ってきた。


「何か報告はありますか?」

「新しい話はなかったわねぇ」

「そうそう、ずーっと同じ自慢話」

最後に口紅をぬって、女達は手早く服を着た。



「そうですか。今回の依頼は本日までとなります。こちらはギルドからの報酬です」

ワゴンの上には握りこぶし大の革袋が2つ。



「そして、こちらはギルド長からの『紅代べにだい』でございます」

給仕がワゴンの下から取り出した革袋も同じ大きさだった。女達はポーチに革袋を詰めると、それぞれ金貨を1枚取り出して給仕の胸ポケットに滑り込ませた。


紅代とは娼婦達に払う口止め料の事だ。



「ふふっ。また呼んでね。副支配人」

「プライベートでもいいのよ。サービスするわ」

「ご冗談を。破産しますよ」

女達は薄衣のマントを羽織ると、副支配人に連れられ部屋を後にした。



クァズが泊まっていた部屋は、その後すぐにルームキーパーが入り酒と情事の残り香が一掃され無機質な空間を取り戻すと、次の客に備えて静かに眠りについた。



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