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霹靂‐へきれき‐のシルト  作者:


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楽しい楽しいハウジング

ーん?

なんだかダンジョンの入り口が騒がしい。ダンジョンマスターは眠い意識を起こすと、入り口付近に意識を集中した。



ーあ、こんな所にシミが!

そこは、さっきしつこく剥がれなくて手こずった魔法系の魂がいた場所だった。



ー魂の一部が残留してるわね。あれだけ抵抗した上にシミが残るなんて、余程この場所に未練があったのかしら。

ゴシゴシと床をこすってみるが、深く染み込んでいるようで残留した魂は剥がれない。そしてバンシーが湧いてきた。



ーもう! ここは植物系を揃えて置いてお庭っぽくするはずだったのに、勝手に湧いちゃって…。地盤の入れ替えは大変なのよ。ハウジング計画を練り直さなきゃ。


とれないシミを諦めてダンジョンマスターは、修復していた新ボス予定の子を最深部に移そうと、意識を飛ばす。



ーそろそろ動かせるくらい元気になったかなー。あれ?

元いた場所に魂が見当たらない。



ーあれ? あれあれあれ??

隅々まで探すが、ダンジョンの中に新ボス予定の子の気配はなかった。



ーええー! やだ! いなくなってるじゃない! 外に出ちゃったの? もうぅー拘束魔法かけとけば良かった! 1から作り直すの面倒なのにぃ!

成長してからの予定が狂いっぱなしである。



ーあの子を代わりに使うしかないわね。

ぷりぷり怒りながら、ダンジョンマスターは4階層に置いてあったサンディの魂の珠を取り出し元の姿に戻す。サンディは相変わらず叫び声を上げ続けていた。



ー……この子、ちょっと五月蝿い。

ちょちょいとイジって大人しくさせてから、まずは、ダンジョンから出られなくなる拘束魔法を焼き付けた。悲鳴をあげているみたいだが、喋れなくしているので五月蝿くない。



ー次のボスは雷獣にしようかと思っていたけど、この子は火属性だからサラマンダーにしようかな。元々火属性持ってるから、属性の種はいらないしぃ。


そう言うとサンディの顔や体に鱗がびっしりと浮き出し太いしっぽが生えてきた。急激な体の変化に痛みがあるのか、全身を痙攣させてもがくサンディ。



ーこの子、魔力もあってきれいだけど、お世話面倒くさそう。しばらく寝かしておこうかな。

ダンジョンマスターがつぶやくと、サンディはまた珠に戻った。



ー内装はあとでしよーっと。


気が乗らない時にハウジングをやってもいい配置はできないと、ダンジョンマスターは珠を元の場所に戻した。



忘れないように3階層に置いておいた魂達にも、拘束魔法焼き付けなきゃと意識を飛ばす。こっちは大人しいようで二人でしっかりと抱き合い眠っていた。



つがいって、初めてなのよね。何にしようかな?


同じ火属性だからって、サラマンダーにするのは面白くない。ちょっと考えたダンジョンマスターは、アールをフレイムバードに変えると決めた。



ー顔は可愛いからそのまま…腕だけ羽根に変えてぇ足は鉤爪にして…っと。身体はそのままでいいかな。


あとでこっちの子とお揃いの衣装でも作ってあげようかなと、楽しい事を思いついた。アールの身体がみるみるダンジョンマスターの言葉通りに変わる。



ーでーきたっと! うん! なかなかいいじゃない?

赤い髪に赤い翼のパーピーのような外見に、ダンジョンマスターは自画自賛する。



ーんでもって、こっちの子ね。あー、下半身が無いイメージが固定化しちゃってる…。


しょうがないと、ルツのぶつ切りにされた胴体から何かを伸ばし、一本の長い下半身を造った。半人半蛇に変化されられたルツは、その新しい下半身をしっかりとアールに巻きつけ、アールは翼になった腕でルツを包み込む。



ーまぁ! しっかり抱き合っちゃって…番ってほんとに仲が良いのね。じゃ、特別に拘束魔法は刻むんじゃなくて、首輪にしてあげようかな。お揃いの。


ダンジョンマスターがそう言うと、二人の首に拘束魔法が刻まれた茨をモチーフにした金色の首飾りが現れた。



ーうんうん。似合う似合う!

眠る二人を満足そうに眺めたあと、ダンジョンマスターはこのフロアは森にすると決めた。フロアボスが鳥と蛇なら住処は絶対森である。



ーこの子達のおうちは何にしようかな。

オーソドックスな鳥の巣? それとも瀟洒な飾りのついた鳥籠がいいかなー? まずは残っているダンジョンパワーでどれだけいろんな物を揃えられるかよね。他のフロアもあるし、隠し部屋も作りたいし…カタログ見て計算しなきゃ!



楽しい事が次々と思い浮かぶ。

うきうきとしながら、ダンジョンマスターは第3層から気配を消した。


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