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勇者スレイヤー 勇者絶対殺すマン  作者: ランタン丸
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謁見



シエン王国王都ザマル。


ザマルに住む者たちの間で今最もホットな話題、それは間違いなく聖国の勇者モモタロウがザマルに凱旋したことであろう。

勇者を乗せた馬車は、盛大にザマルの民たちに迎えられた。その歓迎ぶりは近年稀にみるほどのものであり、正門一帯はまさにお祭り状態であった。


そして現在、モモタロウはシエン王国国王クルカに謁見していた。王宮にある謁見の間にはシエン王国の重鎮である貴族たちが勢ぞろいしており、王座にすわる王の前には勇者が一人立っていた。


「此度の遠征での勝利は実に見事であった。勇者殿よ、シエン王国王として礼をいうぞ!」


「クルカ王よ。礼を言う必要はないぞ!俺が遠征に参戦したのも全ては聖国いる教皇様の意向によるもの。薄汚い魔族を滅ぼし尽くすことは勇者としての当然の責務だからな!」


国王クルカの労いと感謝の言葉に対し、勇者モモタロウは特に畏まるわけでもなくいつも通りの口調で返答する。

これが勇者以外の者であれば不敬罪として処罰されてもおかしくはないのだが、謁見の間にいる者たちは誰もモモタロウを咎めようとはしない。

国王クルカも勇者の返答に頼もしさを感じることはあっても不快感を感じることはなかった。


これは、勇者が特別な地位にあるためだ。勇者は、『勇者』という称号とそれ見合う力を神アポクリフにより神授された存在だとされる。そのため神により正当化された存在として、勇者は各国の王たちと対等な地位であるとされているのである。


「流石は聖国の勇者よのぉ。その正義感の強さは見事だ。神アポクリフに選ばれただけのことはあるのぉ。それで此度の遠征の報酬はいかほどお望みかな?」


「俺への金銭類での報酬は不要だ!先に申した通り、勇者の当然の責務を果たしたまでだ。その代わりに国王に要求したいことが2つある」


「ほお、金銭類での報酬は不要とな?して、私に対する2つの要求とは何じゃ??」


報酬とは別の要求があるという勇者モモタロウの言葉に、何か無茶な要求をされるのではないかと国王クルカは身構えてしまう。しかし、そんな国王クルカに対し勇者モモタロウは笑いながら要求を告げる。


「フフフ、何も無茶な要求をするつもりはない。安心するがよい。1つ目は、教皇様と聖国のために布教への協力を求める」


「うむ、それはもちろんじゃ!私も信心深きアポ教の教徒であるからな、アポ教布教のため援助に惜しまんぞ!!それで?2つ目とは?」


1つ目の要求を聞き国王クルカは少し安心すると、急かすように2つ目を尋ねた。


「2つ目は此度の遠征にて俺が討ち取った魔王の亡骸をもらい受けたい」


「魔王の亡骸をとな?そんなものでよいのなら一向に構わんぞ!」


魔王の亡骸という妙な要求を不思議に思うものの、国王クルカは快く承諾した。どうせ死体の使い道など晒し首にする程度であり、それを勇者に譲ったところで何ら問題はないからだ。


「ならよい。今後ともアポ教への協力を頼むぞ!」


「うむ、もちろんじゃ!それよりも魔王の亡骸をどうするつもりじゃ?首でも晒すのか?」


国王クルカの疑問に勇者モモタロウは眉間に皺を少し寄せて答えた。


「それは俺にもわからん!つい先ほどここ(謁見の間)に来る前にザマルの教会の祭司から連絡があり、聖国に魔王の亡骸を運ぶようにとの教皇様からの指示だそうだ」


「不思議な指示じゃのう」


「ああ、俺もそう思う!だが考え深き神の代行者たる教皇様のこと。きっと何か理由があるのだろう!」


「それもそうじゃのお!」


勇者モモタロウの言葉にクルカ王は納得すると、思いだしたとばかりに口を開く。


「おお!!そう言えば、マーベルから聞いたぞ!帰還中に謎の者に襲撃されたらしいのぉ? マーベルは神アポクリフに剣をむける異端者と言っておったが、それは本当か??」


「ああ、はっきりとわかってはいないが襲撃はあったぞ!襲撃者は人間だったが、その口ぶりから魔王を慕っているようだった。恐らく異端者だろう。しかし俺が殺したからもう関係ないな!」


「なんと!魔王に魅せらるとは、愚かな人間じゃのぉ」


「同感だ」


勇者モモタロウは眉をしかめて同意する。




その後、国王クルカは今後の遠征についての話をしばらくすると、勇者に対して謁見の終了を告げるのだった。



「ふむ、今日は素晴らしい話が聞けた。次の遠征も期待してるぞ!部屋を用意したゆえ、今日はゆっくりと休むがよい」


「ああ、そうさせてもらおう!次の遠征の日取りが決まったら教えてくれ!じゃあな」

勇者モモタロウはツカツカと歩いて謁見の間から出ていった。


そして、

勇者が出て行ってからは、国王クルカの前に沢山の財宝がつまれた。全て魔王の城から運び出されたものだ。

国王クルカはその財宝の多さに満足気に頷くと、目に欲を灯しながらつぎの遠征について考えるのだった。


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